美濃の山(新ハイ金谷氏例会) 大白木山のA1234.5m 平成17年09月10日(曇り) 礒部記(地形図:下大須) |
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コース 小倉6.40⇒6:15山科駅6:25⇒8:25樽見駅8:30⇒9:05上大須ダム(舗装路歩き)9:55→10:15折越峠→11:15No.29送電線鉄塔11:20→12:20大白木山13:15→14:10No.29送電線鉄塔14:15折越峠15:10⇒15:45樽見駅15:55⇒16:20満願の湯17:20⇒19:05山科駅⇒19:40小倉駅 |
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今年五回目の金谷さんの例会で登る山は蠅帽子嶺だった。この山の概要に付いては、新ハイ誌第51号、第64号にあるように、登山口に取付くには根尾西谷川を渡らなくてはならない。この週の始め、日本列島を襲った台風14号は各地に雨の災害をもたらし、増水した谷を渡ることが出来るかどうか危ぶまれていたが、この前日に稲沢の彼女がワザワザ谷水の様子を見に行ってくれ、「増水していて、渡るのは危険」とリーダーへ連絡してくれた。急遽、登る山を変更しなくてはならず、集合場所から近い刈安山、ドウの天井、大白木山が候補に上がったが、刈安山は温見峠へ向かう峠道が9時から午前中通行止め。大白木山は新ハイでも例会で登ったことがあることから、舗装路歩きが長くなるが、誰も登ったことのないドウの天井へ登ることに決め、その旨、地図を持って歩く方6人に連絡した。山科駅6時22分到着の列車でやってきた6人を乗せて、リーダーと私の2台の車は名神関ヶ原インターへ向け走る。何時もの農道近道を池田温泉、谷汲山華厳寺の前を通り、集合場所の樽見駅へ着いたのは8時25分。我々の到着で参加者全員が揃う。この日の参加者は一人を除いて何れも顔を知っている人ばかりで、19名の参加だった。久し振りに鈴鹿の彼女、彼女の天敵である一宮の彼、いつも地下足袋で歩くあの人の顔も見る。まずは、谷増水のため危険なので、行き先をドウの天井に変更する旨伝えた後、6台の車に分乗して上大須ダムへと向かい、ダム手前の中部電力専用道路ゲート前に駐車した。 以前、ドウの天井は山懐が深く、容易に登ることの出来ない山で、上大須方面から登る場合には、上大須ダムの北の東河内谷を遡り、谷分岐から中央尾根を登って主稜線へ。そこから明神山を経てドウの天井へ登り返すのが、クラシックルートだったようだ。だが、最近になって、この山の南に川浦ダム湖が出来てから、山頂近くまで伸びている中部電力の建設道路を利用すれば、簡単にドウの天井へ登ることが出来ると聞き、このルートを登ることにしたのである。現にこの5月、津島市の夫妻がこのルートで登っている。 中電の建設道路は、有刺鉄線の付いたゲートで塞がれており、このゲートの横から柵を乗り越えて道路内へ入る。ここから山頂近くまでは舗装路を歩くと、スニーカー履きや、山靴を背に、草履履きの人まで現れる。ルンルン気分で道を登っていると、道が東に廻り込む先で斜面の工事していた責任者に止められる。「何とか通して欲しい」と言ったが、「中部電力の方に聞いてくれ」と言われ、呼んでもらった中部電力の人に「道路を歩かせて欲しい」とお願いしたが、「許可は出来ない」の一点張り。結局、ここから泣く泣く引き返さざるを得なかった。稲沢の彼女は「中電の人は融通がきかないので、絶対通してくれない。見付かったのが不幸」と言っていた。これまでこの道を使って登った人達は、エ事の人のいない日曜日に通ったので、見付からなかっただけなのであろう。 時間は既に10時前。登る山を予定になかった近くの高屋山に変更して越田土へ下り、ここで車を4台にまとめて、越波へ向かう林道を登るが、折越峠まで来るとリーダーの車が停まっている。どうやら、時間も時間だし、道のない藪の登頂となる高屋山を変更して、初めの候補にあった大白木山へ登ることに決めたようだった。この山へは、殆どの人が登っていると思っていたが、登ったことのある人は5人だけだった。 峠から50m程南に下った所から斜面に取付く。この斜面にある道は巡視路になっているらしく、手すりがあり、階段が切られていた。すぐ横の斜面にはミヤマボクチ?が顔を覗かせており、尾根に乗ると、足元には赤紫色をしたアサギリの花が咲いていた。緩く登って行くと816mの比較的広いピークで、東は杉の林だが、西は雑木の林が広がっている。足元にはクルマバハグマやモミジハグマがアチコチに花を開き始めており、セリバオウレンの葉と思われるセリ状の葉が、一面に敷きつめられていた。 緩く下った鞍部から急登が始まる。巡視路歩きの初心者向けの山と書いてあるガイドブックもあるが、中々どうして、この急勾配の登りには手を焼かされる。道の両側は藪で茨が多く、登る時に、木を良く見て掴まないと、刺が手に刺さってしまう。ハアハア言いながら急斜面の尾根を登り、西の尾根が合流する地点まで来ると、やっと勾配が緩くなる。そこには太い桧の大木が立っていて、その大桧にリョウブの木が絡みつくように共生しているのが珍しい。そこから先へ進むと、両側の林には、太いリョウブの木が目立ち、大きな実を付けたシロモジも見られた。道はしっかりしていたが、道に笹や木々が覆いかぶさり、それを払うようにと進まなくてはならない。しばらく藪と格闘して登っていくと、手前のピークにあるNo.29の送電線鉄塔へ出た。日は陰っていたが蒸し暑く、汗は止まることを知らない。これから登る山頂の方を見ると、平坦に見える大白木山の頂きはガスの中に頭を突っ込み、ガスの中に山頂の反射板がボンヤリと見えているだけ。 このピークから方向を西南へ取り、標高差60m程下る。足元の藪の間に、アキチョウジが密やかに咲いていた。鞍部から高原状の尾根を歩くと、ミズヒキやキンミズヒキが点々と咲いている。勾配が急になってくると、道は右手へ斜面を切るように延び、道脇には名の知れぬ小さな花が一杯に咲いている。No.27の送電線鉄塔まで来ると、そこから急斜面の階段を真っ直ぐ上に登って行く。初めの予想では、道は緩い尾根から南へ登り、1123mを踏んで大白木山へ向かうのかと思っていたが、どうやらこのピークは通らないようだ。階段があっても、直登は厳しい。フウフウ言って尾根に乗ったが、この辺りはガスの中に入っており、尾根の南に林は無いのだが、展望は利かない。僅かに左手下の尾根の状態が見えるだけ。この尾根道も藪と笹が両側から覆いかぶさり、それを掻き分け、足元にある段や木を探りながら登って行く。10分も登ると林は切れ、平坦な山頂へ登り着いた。三角点は小さな山頂広場に立っていた。点名「黒須」で、二等三角点である。標石はしっかりと真南を向いている。標高は色んなガイドブックに「1234.4m」と書いてあるが、点の記を見ると「1234.46m」となっており、地形図に表示している「1234.5m」が妥当である。三角点の北側には、大きな反射板が2基設置されており、その周りは広場になっている。北から東へかけては開けていたが、生僧のガス。リーダーによれば、「天気が良ければ日永岳、ドウの天井、天神山、左門岳、そして、ピラミダルな形をした屏風岳が、手の届きそうな所に見える」と言うが、この日はガスに閉ざされ全く何も見えない。ただただ、その山容を白いガスの中に想像するしかなかった。 この広場に腰を下ろし、昼食とする。この日はサブなので、アルコールは飲むつもりはなく持ってきていなかったが、つい瀬田の彼の横に座ったのが運のつきで、一杯が二杯と手が出てしまう。その上、惣菜が次から次にと廻ってきて、自分の持ってきた物を食べる暇も無い程だった。食べている間中、顔の周りを蚊か蠅?が飛び交い、それを払うのにも気を遣う。ところで、最近は、鈴鹿ばかりでなく、京都北山や比良山にもヒルが見られるようになってきており、まさか美濃の山には居ないだろうとこれまで信じていたが、この昼食の時、「足周りを見るとヒルを見付けた」と言っている人がいたのでビックリ。それだけ、ヒルを運ぶ動物が増えてきているのかもしれない。 15時15分、下山にかかる。山頂から下る尾根で、鈴鹿の彼女に教えてもらった「ハシバミ」の実を採りながらの下り。「ハシバミの実」は知る人には日本のアーモンドと呼ばれていて、中の実を歯で割って食べると美味いとのこと。以前、山でチーズを食べようと、義歯を欠いてしまったことを思い出し、食べるのは家に帰ってからにして、ここで歯で実を割って食べることは止めにした。 一旦下って平坦尾根を歩き、No.29の鉄塔まで登り返すと、やっとガスが幾分薄れ、山頂の反射板を見ることが出来た。ここから見ると、平坦な山頂が横に広がっていて、反射板が無ければ、どこが山頂か分からない程だった。更に大桧まで下ると、ガスから完全に抜け出して、展望も広がる。東に、頭をガスの中に突っ込んだドウの天井が横たわっていたが、山腹を横切る林道の傷が痛々しい。あんなに山頂近くまで林道が走っているのでは、山頂までの尾根歩きは僅かで、殆どは舗装路歩きをしなくてはならなかった。めったに登れない三角点はもったいなかったが、今更ながら、大白木山へ登って良かったと思った。登りは足を上げることに必死だったこともあり、気が付いていなかったが、いざ下るとなると斜面は急過ぎる程急。体を支えようと道脇の木を掴むと、それが茨で思わず離して転んだり、木に足を滑らせ尻を打ったり、3回も転んでしまった。それでも、心の余裕はあったようで、登りに見なかったユキザサの真っ赤な実やツルリンドウの花、イチヤクソウの実も見た。最後に道路に下る前の細い尾根には、登る時には気が付かなかったが、ツクバネウツギの実が、羽子板の羽のように、枝にちりばめられていた。 折越峠へ15時10分に戻る。そこから樽見駅へ下り、解散となった。帰路、京都方面組8名と鈴鹿の彼女、豊中の彼は、谷汲満願の湯で汗を流す。 今回の例会は、谷増水で危険なため案内の蠅帽子嶺に登ることが出来ず、行く先変更。ドウの天井で侵入を断られ、高屋山は時間不足と二転三転したが、最終的には大白木山へ登ることが出来た。初心者向けの山とは名ばかりで、道はあっても藪山にと変わっていたが、この時期に花にも楽しむことが出来た山行と言えた。強いて言うなら、折角行ったのだから、展望が良ければ、言うこと無かったのだが~。 |
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