--鈴鹿を歩く333(新ハイ岩野氏例会) リョウシから重谷、横道を歩き長サコヘ 平成22年05月16日(晴れ) 礒部記(地形図高宮、篠立、霊仙山、彦根東部) |
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コース:小倉6:00⇒8:00寺院広場8:10⇒8:15安原道広場⇒8:35白谷出合い8:40→10:40リョウシ岩峰11:05→11:55重谷・行者谷出会い12:40→13:25・598m 13:35→14:25・712m東ピーク14:30→15:00行者の森→15:55安原⇒白谷出合い⇒16:30安原道広場⇒(SA黒丸)⇒18:20小倉 |
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霊仙山、藤原岳、御池岳などの鈴鹿山系北部の山々には、春の花が豊富に咲き乱れる。平成12年に「近江カルスト花の山」と銘打って、岩野さんが、それまで密かに訪れていた秘密の花園を訪ねる例会を行ったが、その後、インターネットで紹介されたのか、連れて行ってもらった人が言いふらしたのか、花が急激に少なくなってしまった。こんなことでは花は絶滅してしまうと憂いた岩野さんは、暫くの間、花を訪ねる例会を止めていたが、最近になり、一部の花の山を例会で取り上げ、我々を連れて行ってくれるようになった。今回登るリョウシ南尾根もその一つで、それまで何回となく岩野さんの個人山行で訪れて花を楽しんでいたが、例会で取り上げられたのは、2年前が初めて。昨年は雨で例会中止になっているので、春の例会で花を見にこの尾根を登るのは、2回目であった。 雨となっていた天気予報が、3日前に晴れと変り、意気洋々と家を出た。河内寺院広場へは8時に到着。今回の例会では、山シャクの群落のある高取山へ登ることになっていたが、岩野さんが事前に見に行ったら、既に花が終わっていたので、高取山へは行かず、リョウシだけを訪れることになる。ただ、リョウシへの往復では時間が余るので、白谷出合いからリョウシ南尾根をリョウシへ登り、北へ下って重谷、横道を歩いて、長サコ、オオジャレの頭、行者の森を通って安原へ下る一寸長いルートに変更になった。この日の参加者は29名。この中には、半年振りに顔を見るお神酒徳利の二人を見たのにはビックリ。参加者が揃うと、全員が車で安原道広場へ移動し、そこから7台の車に分乗して白谷出合いへ向かう。私は、四日市の彼の車に乗せてもらったが、車が走り出すとすぐ、自分の車の中に、ウエストバッグに入れていたカメラも携帯も忘れたことに気付いたが、時既に遅し。今回の例会では、色んな花に出会うことが出来るのに、写真に残すのは諦めざるをえなかった。せめてもと、彼や彼女に、メイルで写真を送ってくれるよう依頼した。 8時40分、リョウシ南尾根の先端のガレ場の縁から尾根へ取り付く。斜面は急そのもので、木や枝を掴んでの登り。不安定な足下の石を落とさないように、気を付けながら登らなくてはならない。慎重に足を運んで登り、ガレ場を過ぎて少し傾斜が緩くなった斜面まで登ると、エビネの花の群落を見た。右手上には、淡ピンクのヱビネの花も見えている。ヱビネのある場所は、記憶にある2年前と同じ場所で、人に荒らされた様子はない。皆は、歓声を上げてヱビネに群がり写真を撮っていた。ヱビネは家の庭にもあって見慣れているが、ピンクに色着いたヱビネは珍しい。何時もなら必死になって写真を撮るが、この日はカメラは無し。手持ち無沙汰で、皆んなが、右往左往する姿をただ眺めるだけ。 と、「ギンランがある!」と四日市の彼の声。急いで行って見ると、20cm程の小さな花をつけたギンランが一本咲いていた。その姿は。清楚な乙女がヒッソリ立っているとでも形容しようか、めったに見ることの出来ない花であった。写真に撮れなかったのが残念!急な尾根斜面を登って行く。ヱピネの群落をアチコチで見ることが出来、ウラシマソウの花も見た。平坦尾根へ乗ると、地面に花は無かったが、上にはミツバウツギやアズキナシが白い花を付けている。木々の間から南方を見ると、間近に鍋尻山が高く聳えていた。一息入れて尾根を登る。登るにつれて、岩ガラの尾根に変わる。地面にはミヤマハコベの花が点々と咲いており、岩の上にはヒメフウロやヒメレンゲの花も見た。それらの花に出会う度に、皆んなは写真に撮るのに忙しく、列は停滞気味。岩を巻いたり乗り越えたりして北へ登ると、平坦なピーク。相当来た様に思えたが、まだ登り始めて500mも来ていない。辺りにはフタリシズカの葉があったが、花は開いておらず、蕾は小さい。 ピークから僅か下ると鞍部へ下る。ここがリョウシ坂と呼ばれる所で、昔、権現林道からここえ登る道があったというが、覗いてみても道跡を確認することが出来ない。そう言えば、平成10年12月の岩野さんの例会で、権現谷林道からこの地点へ登ったことがあったが、その時でも道があった記憶はなく、道は消えてしまっていたのだろう。 鞍部から登りに掛かると、岩の下にクルマバハグマが咲いていた。6枚葉の真ん中から茎が上へ伸び、穂の様に小さな花が咲いている。ここを登ると再び岩ガラの尾根になる。ここの岩の上にも、ヒメフウロやヒメレンゲが咲いている。岩の上に咲く白い花は、コンロウソウに違いない。山シャクの葉はアチコチで見るが、いずれも花が終わって実を付けているものばかり。至る所に花が終わって伸び切ったフクジュソウの株が点在している。勾配が緩くなった平坦尾根の西急斜面で、この日初めて咲いている二輪の山シャクを見た。そこから急斜面を登って行くと、中途半端な斜面の途中で、後ろから「休憩!」の声が掛かる。「こんな所で?」と思ったら、斜面には二ヶ所にヱビネが群生していた。岩野さんが皆んなに見せたくて休憩の号令を掛けたもので、一ヶ所の群落の花は、通常の白色であったが、もう一ヶ所の群落は、淡ピンクの花。こんな近くにあっても、種類が違っていた。足下には紫の花をつけたキランソウが、ベッタリと地面に張りついていた。 皆んなが写真を撮り終えると、再び行動開始。斜面を登って平坦な尾根に乗り、右手に杉林が現れると、722mのリョウシ山頂。10時40分の到着だった。まずは此処にザックを置いて、西にあるリョウシ岩峰へ向かう。急尾根を下ると、尾根の北斜面すぐ下に花を付けた山シャクが何本も点在していた。先程登る途中で見た山シャクは、遠くに咲いていてハッキリ見えなかったが、ここの山シャクは、鼻をつけんばかりに間近に見ることが出来た。可憐な山シャクを見たことに満足し、岩峰先端へ向かった。可憐な山シャクを見たことにクをつけんばかりに間近に見たことに満足し、岩峰先端に向かった。 リョウシの名称は、霊祠からきている。役行者が大和大峰山へこもる前に、権現谷で修業し、この岩峰でも修業したのかもしれない。それともこの名は、霊仙山に存在した霊仙寺に関係するのだろうか。岩野さんが、最初にこの岩峰を訪れた時、この岩の上には、この山域で棲息していたイヌワシが食べたウサギの骨が散乱していたと言っていたが、今では何処を探しても、イヌワシの姿を見ることは出来ない。中空に飛び出たような岩峰に立つと、展望は言うことなし。北正面には霊仙山の最高点から南霊岳、近江展望台までの尾根が、高く高く横たわり、西には琵琶湖が見え、その左には鍋尻山が座っている。岩峰の両側は切り立つような崖状の急斜面。ここから見る光景は見飽きることがなかった。昼食には早く、先を急ぐ。リョウシから尾根を北東へ向かった。緩く下り、良い匂いが漂ってきたと思った灌木の林が木通の園。木には一杯に木通の花が咲いていた。更に尾根の先端へ向かうと、岩塊の小山に突き当たる。その北側を巻いて、岩のゴロゴロした斜面を横切って北の尾根に乗る。急勾配の尾根を下り、傾斜が急で下れそうもない地点から右手の杉林へ逃げ、滑りそうな杉林の急斜面を下ると、谷へ下りた。その谷を下ると、すぐに滝谷出合い。以前に4月の例会で、岩ノ峰から下ってきたことのある見覚えのある谷だった。朽ちた小屋から右岸の道跡を西へ下ると重谷出合い。11時55分、ここで昼食となった。谷には風が通り、日はまぶしい程に照っていたが、風は寒さを感じる程であった。 12時40分に出発する。岩のゴロゴロしている伏水の重谷を遡る。谷の両側は、切り立つような急斜面。左岸の踏み跡を登り、踏み跡が右岸に変わると、谷は広くなり、谷床に杉林が現れる。その杉林を登り、左から来た谷を20mも登ると横道へ乗った。この道は、地形図にある破線の道で、昔、霊仙山の南山腹に自生していた杉を伐採して運んだ道である。重谷奥の平坦地に集積された木材は、重谷から行者谷、権現谷へと運ばれたそうだが、今では、この横道と行者谷の一部に道跡が残っているだけで、消えてしまっている。 道跡を西へ向かう。道はほぼ平坦に斜面に切られているが、左下には、断崖とも思える程の急斜面が続く。道跡は荒れていて、所々に崩れた個所もあった。歩き始めた所では、ヤマゴボウの蕾を見た。ヤマゴボウの花は白だが、葉の間から、淡ピンクの花蕾が覗いている。道の小石の上で、我々の熱気に起こされたのか、鈴鹿の主がそよいでいた。 道が尾根を右手に巻くと、若い杉林へ入り、道跡は不確かになる。斜面を切るように西へ向かうと、何本もの杉の木が伐採され横たわっている。2年前に来た時の光景と大分様子が変わっていたが、そのまま斜面を突っ切り尾根に乗り、その先の浅い谷を渡って二つ目の尾根に乗ると見覚えのある雑木の疎林の尾根。その尾根を西へ登ると、岩野さんの例会200回記念山行で昼食を取った・598mのピークへ着く。ピークには一抱えもあるようなケヤキの木が何本も立っていて、小岩塊の東にはエビネの群落があった。200回記念山行の時、この葉を見て、てっきり夏ヱビネの葉だと思ったが、春のエビネだった。この時期には葉が茂り、幾分展望が遮られていたが、東には、先ほど踏んできたリョウシ岩峰が、北方正面には、霊仙山近江展望台が、壁のように立ちはだかっていた。 •598mから北へ下り、再び山腹を西へ横切る。谷へ下って登り返し、もう一つの谷を渡って登った尾根が712mへ登る尾根。7人だけがこの尾根を登ったが、残りの人達は一つ目の尾根を登り、上で合流する。この尾根辺りを、岩野さんは長サコと呼んでいるが、正確にここだと言う地点は、はっきりしない。この辺りの地形は、地形図で見ると比較的緩い斜面に等高線が描かれているが、実際には複雑で、浅い谷が何本もあり、712mへ登る尾根も地形図以上に急勾配の尾根になっている。「地形図が間違っている」とブツブツ言いながら登って行くと、笹藪手前の緩尾根に着く。そこにもエビネの群落があり、少し上がった笹敷の陰には、初めて見た黄色かかった花のエビネの群落があった。 岩峰に登り、霊仙山の姿を仰ぎ見て、一旦下って登り返す足下には、フデリンドウが。・712mの南を霞めて、以前のフクジュソウ山行の時に、何度となく登り下りしたことのある、広い雑木林の疎林の尾根を下るとオオジャレの頭。急斜面を左へ下ると趣ある平坦地の行者の森だった。ここで最後の休憩を取り、広い尾根を西南へ下って行く。尾根には下生えもなく、落ち葉を踏んでの快適な下り。尾根先端の上手山から右へ振って急尾根へ乗らなくてはならないが、この尾根への下り口が難しい。尾根に乗ったら、岩の急尾根を下るだけで、安原までは一本道。尾根先端から左へ振って、安原道広場へ下りると、広場ではシャガの花が、我々を迎えてくれた。車を取りに行って戻り、16時30分解散。 今回の山行では17種の春の花に会えたが、写真に残すことが出来ず、残念でならない。 |
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