--鈴鹿を歩く310(新ハイ岩野氏例会) 滝谷山、大見晴、万野 平成21年05月03日(晴れ) 礒部記(地形図:篠立、高宮) |
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コース 小倉6:00⇒8:05多賀町役場8:20⇒8:55近江放車道峠→9:10ミノガ峠林道9:15→9:30滝谷山9:40→10:20シャクナゲ送電線鉄塔10:30→11:15ミノガ峠→11:50大見晴12:40←12:55万野→14:00境谷林道14:10→14:45ユリゴ峠14:55→15:45近江放車道峠→16:00ミノガ峠⇒16:15近江放車道峠⇒18:00小倉 |
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今回の例会は、雨で中止になった昨年11月の例会のリベンジと言って良く、昨年計画したコースが、当日雨の予報にもかかわらず予定コースを歩いたサブから、「藪や倒木があり、登るのに苦労した」と聞いたからか、コースの一部を変更して実施することになったと聞いている。この日通るユリゴ峠は、岩野さんの例会では初めて歩く峠であった。 8時30分の集合時間なのに、8時過ぎには参加者の殆どが集まっている。来ていないのは、何時も早くに来ている高所恐怖症のあの彼だけだったが、8時15分を過ぎても姿を現さないので、不参加と見なして出発することになった。この日の参加者は28名で、久し振りに稲沢市の彼女の顔を見たが、鈴鹿のお嬢の姿は無かった。 8時20分、19台の車が連なり多賀から東進し、霜ヶ原から御池林道を東へ登って行く。次第に高度を上げて走り、近江放(おうみがはなし:「鈴鹿の山を歩く」より)車道峠の道広場へ車11台を置き車をし、8台の車へ分乗してミノガ峠へ向かい、峠から南へ延びる林道を200mも入った所へ駐車する。ここがこの日の出発点であった。 点呼の後、リーダーからの指名を受け、私が先頭になって鞍部から尾根に乗り、稜線を南へ登って行く。尾根にはシッカリした仙道が付いていた。尾根の東斜面には、11年前に植林されていたカラ松が立派に生育し、鮮やかに緑々した葉を見せてくれていた。小さなコブを二つ越えると踏跡は、二重山稜の様な谷へ入るが、谷を登って左の尾根へ逃げ、急斜面を登ると滝谷山山頂。僅か15分の登りだった。山頂広場には、三角点が埋められていた。標高877.0mで、点名は「滝谷」。標石は北向きで、北から東へ10度振っている。 この滝谷山と言う山名は、点名から来ていると推測されるが、犬上川左俣、北谷川の支流である「境谷」が、別に「滝谷」と呼ばれていて、その滝谷の源頭に当たることから、点名、山名が付けられたと考えられないことはない。山頂は二年前とよりも少なくなっていて、北から東の展望が広がっている。北には大見晴(おおみはらし:H17年多賀町役場に問い合わせる)万野と続く尾根があり、その奥に高室山、鍋尻山が見えている。すぐ目の前には、鈴ヶ岳と御池岳の山並みが、迫ってくるように横たわっていた。 この後、どのルートを歩くのかをリーダーに尋ねると、「南にある巡視路を下ってシャクナゲを見て、ミノガ峠へ向かう」との返事。ユックリ辺りの光景を目に焼きつけて、9時40分に出発した。山頂から藪の尾根を南へ下り、巡視路を左へ取ると送電線鉄塔へと出た。鉄塔から東へ向かって斜面を登り、北東へ尾根を歩くと尾根分岐。平成12年の岩野さんの例会、「滝谷山、サンヤリ、天狗堂」では、ミノガ峠から巡視路を下って左の尾根から登ってきた記憶があったが、念の為に後ろを歩いていた岩野さんに「進むのは左の尾根ですね」と尋ねると、「違う!右の尾根だ」との返事。「おかしいな」とは思ったが、岩野さんのことだから、また新しいルートを歩かせてもらえると思い、右の尾根へ踏み込んだ。東側の送電線鉄塔を過ぎ、左へ廻り込むように尾根を歩くと、踏跡は消えかかり尾根鞍部へ乗る。ここに来て、先程の左の尾根道が巡視路で、ここまでの踏跡は、巡視路ではないと分かったが、岩野さんは構わず鞍部から南へ登って、尾根を東へ向かって行く。地形図を見ると、登ったピークから北へ延びる尾根を下れば送電線に交差し、巡視路に出合うことが出来ると確認出来たので、躊躇無くリーダーの後に続く。しばらく歩くと後を歩く岩野さんが、「暫く歩かないと尾根は変わるな。この尾根は初めて歩く尾根だ」ともらしていたが、この辺りの地形は頭に入っているらしく、ただただ敬服するしかなかった。北へ延びる尾根を下り、尾根分岐で左の急尾根を下ると、シャクナゲの木が行く手を遮る。木にはシャクナゲの花が満開。花を見ながら木を掻き分け尾根を下ると、送電線鉄塔へ出た。この鉄塔は、9年前にミノガ峠から谷へ下って登り返した尾根の鉄塔で、あの時にはシャクナゲは殆ど見ることが出来なかったが、今になって、こんなにシャクナゲの多い尾根だったことを実感出来た一時であった。この鉄塔から巡視路を北へ下り、谷分岐から東へ急斜面の巡視路を登り返すと、ミノガ峠に立っている送電線鉄塔へ登り着いた。 目の前に横たわる鈴ヶ岳、御池岳の姿は、圧巻としか言いようがない。しばし、それを眺め休憩を取って、10時30分の出発となる。下の林道へ下りてミノガ峠へ向かい、峠の北外れから東の尾根へ登る。着いたピークから北へ延びる尾根を下って行き、下り始めてすぐ今、どちらの方向へ下ったら良いか迷うような、緩やかな広い尾根へ出るが、斜面を気にせずに、真っ直ぐ北の方向へ下ると尾根に乗った。尾根が方向を北西に振ると、右手に広がった緩い杉林の傾斜地が、4年前の9月、岩野さんの例会で、茶野から滝洞谷へ下り、この尾根へと斜面を登って昼食を取った場所である。この時、名古屋の彼が脱水症状を起こして、彼を連れてミノガ峠へ戻ろうかと思ったことを、昨日のことのように思い出す。更に下ると尾根は細くなり、岩ガラの藪尾根となる。その尾根が登りになり、尾根が斜面に変わると急勾配の登り。上に行く程岩ガラが目立って傾斜がキツクなり、フゥフゥ言わされる。やっと傾斜が緩くなると、疎林の間から前方にカレンフェルトの大見晴山頂が見えてくる。近付くと、4年前には、岩の山頂は茅に覆われていたが、今見ると茅は消え、猪に掘り返されて、耕された畑状の山頂へと変わっていた。辺りにはワラビが出ていて、先に登った人達はワラビ取りに忙しい。時間は11時50分で、この山頂で昼食となった。12時40分に出発する。杉林の斜面を北へ下り、東西に横たわる尾根に乗る。緩い尾根の北側は雑木の林で、林の間から鍋尻山を右手に垣間見ながら、杉林と雑木林の境界尾根を西へと歩く。小さなコブを二つ越えて、一寸した斜面を登ると万野山頂。杉と雑木に囲まれた山頂で、僅かに林の隙間から、間近に高室山と鍋尻山が見えるだけ。この山頂にも三角点がある。標高775.1mで、点名は「足谷」。三等三角点である。標石は北向きで、北から東へ20度振っていた。近くの木には、古ぼけた山名標識が下がっていた。 13時、リーダーが緩い斜面を西へ下り始める。この山行では、万野から西へ延びる尾根へ乗ると聞いており、その尾根へ乗るには三角点から真北の急斜面を下らなくてはならないのに、また新しいルートを歩くのかと期待したら、これは勘違い。すぐ気が付き、斜面を横切り北へ延びる尾根へ乗る。尾根を下ると伐採斜面へ出たが、ここにもワラビが〜。リーダー初め、ワラビに関心ない人は、右往左往してワラビ取りをしている人をそのままに、ドンドン下って行く。鞍部にある御池林道へ下る送電線巡視路を左に見て、そのまま尾根を西へ向かい、小さなコブを二つ越えて、三つ目のコブの登りにかかると後ろから、「行き過ぎ!こっちへ下るのではないのですか?」と声がかかる。岩野さんの歩くルートは、サブでもハッキリ知らないのに、何でルートが分かるんだろうと、不思議な感じがした。そう言えば、4年前に岩野さんが体調を崩し、ミノガ峠で待っていた例会で、我々が万野から送電線の巡視路を下ったと報告したら、「展望の良い開けた場所があるのに、何でもっと尾根を西まで行かなかったんだ」と言われたことがあった。おそらくその開けた場所へ行こうとしているのだろう。二つのコブを越えて尾根の西端へ出ると、地形図にある傾斜の緩い斜面は伐採斜面。目の前に、素晴らしい展望が広がっていた。 この伐採斜面にもワラビが一杯。ワラビを取りながら少し下り、斜面を巻くように南へ向かい、伐採斜面と林の境界まで来ると、シッカリした道が見えている。伐採斜面の作業道だと思われるが、こんな所に道があると知っていたとは、流石、岩野さん。歩いて見た人で無ければ分からない道であった。杉林の中に付けられた道を辿ると、御池林道が境谷を渡った橋から、右岸の林道を150m程北東へ入った地点へ下った。 時間は14時。ここからユリゴ峠へ登り、尾根を歩いて置き車の場所へ戻ることになる。取り付き地点の谷分岐まで、林道を歩くのでは味気ないと、橋から谷へ下りて、谷脇を上流へと遡る。谷の縁には、時期が過ぎて伸び切ったコゴミがアチコチに群生していた。もっと時期が早ければ、山とコゴミ採りの二つを楽しめたのに~と思うと、何か損をしたような気にさえなってくる。そんな葉の伸びたコゴミでも、摘んでいる人が居たのには、ただただ呆れるばかりだった。谷を右に左に渡り返して上流へと遡り、砂防堤を一つ越えたが二つ目は越えることが出来そうもなく、やむを得ず林道まで上り、谷分岐まで林道を歩く。林道脇には、ツルカノコソウやコンロンソウが白い花を咲かせていた。 谷分岐で林道を離れ、右俣へ入る。150mも奥へ入ると、右手上に見える尾根鞍部がユリゴ峠。斜面に取り付き、消えかかっている昔の峠道を見付けて斜めに登ると、14時45分にユリゴ峠へ着いた。ユリゴ峠は、大杉からミノガ峠を通って伊勢尾へ向かう仕事道の峠で、峠の名称はユリ道から転化したようにも思われる。我々が登った峠の東側の道は崩れて消えかかっていたが、峠は深い切れ込みのある立派な峠だった。 14時55分、峠から北西へ延びる尾根を登る。手前のピークを越えると道跡らしき跡はあったが、何時しかそれも消えてしまう。尾根が西へ曲がり、651m辺りまで登ると、尾根は平坦になり、広い尾根の南端は杉林から離れた雑木の疎林。尾根の南は急斜面で展望が開け、目の前に滝谷山から西へ連なる尾根が横たわっていた。足元には、紫の花を付けたヒメハギが密やかに咲いていた。 この場所で最後の休憩を取り、展望を楽しむ。尾根を西へ歩き、送電線を潜ると緩い杉の間引きされた斜面。そのまま斜面を登れば・678mを通るが、切り倒された杉の倒木で歩きにくそうで、ピークを踏むのは諦める。斜面を北へ向かうと破線で示されている林道へ出た。林道を左へ廻り込むように西へ歩くと、右下に御池林道に置いた車が見えてくる。15時45分、近江放車道の峠へ戻る。ミノガ峠へ置いてきた車の運転手を乗せて峠へ向かい、戻ってきてすぐ、16時15分に例会は解散となった。 |
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