--鈴鹿を歩く286(新ハイ岩野氏例会)-- リョウシ、コザト 平成20年05月18日(晴) 磯部記(地形図:彦根東部、高宮、篠立、霊仙山) |
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コース 小倉6:00⇒7:50芹川寺院広場8:10⇒8:25白谷出合8:30→9:45 Ca600m→10:55リョウシ(722m)→11:00リョウシ岩峰12:00→12:45木通原→13:30コザト13:40→14:30白谷林道→15:05白谷出合15:30⇒15:40芹川寺院広場⇒(黒丸SA)⇒17:25小倉 |
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岩野さんの例会へ参加するのは今年初めてで、昨年の忘年山行以来、半年振りの参加であった。今回の例会で登る山は「リョウシ」。案内によると、「リョウシ」に登った後、滝谷出合へ尾根を下って、行者谷から奥の権現へ出る」とあり、一度は歩いてみたかったルートだったので参加したが、参加人数が多いとの理由で、「リョウシ」からは、コザトを踏んで白谷林道へ下るルートに変更になったのは、残念としか言いようがなかった。この「リョウシ」へは、岩野さんの例会で、10年前の12月に登ったのが初めて。その時は、奥の権現から1km程南へ歩いた所から、昔の峠道を登りリョウシ坂へ出て、尾根を登って「リョウシ」「コザト」を踏み、霊仙山の山腹の林道を歩いて、笹峠から西南尾根を安原へ下った。それ後、数年前から毎年5月、個人山行で花を見に白谷出合からリョウシ南尾根を登っているが、例会で白谷出合から登るのは、初めてのことだった。この尾根には貴重な花が数多くあり、これまで親しい人達だけで楽しんできたが、岩野さんがどうしても皆に見せてあげたい気持ちが勝り、例会で取り上げたのであろう。それだけに、「絶対にインターネットなどで紹介しないように」と言う注意があっての山行であった。 6時に家を出て、信楽廻りで走って、集合場所の芹川寺院広場へ着いたのは7時50分。着いたのが早過ぎたと思っていたのに、岩野さんの山行は、前と変わることなく、参加者が集合時間の30分前には集まっているようで、私が最終の到着だった。着くとすぐ会費の徴収があり、足廻りを準備する間もなく、6台の車に分乗して、権現谷・白谷出合の道広場へ移動する。この日の参加者は29名。半年参加しなかった間に、知らない人の顔が数多くあり、見知った顔は半分以下。吹田や高槻の彼女の顔も無く、何か場違いな例会へ参加したような気に襲われたが、リーダーやサブ、お兄や鈴鹿のお嬢など、何時ものメンバーから、「久し振り!」「どうしてた?」「何処を浮気していたの?」と言われると、やっと、古巣へ帰ったような気に戻ってきた。 8時30分、権現谷・白谷に挟まれた尾根に取付く。尾根は最初から急斜面で、その上がレ場。29名もの人がガレ場を登り始めると、アチコチから落石が発生する。列はガレ場の左手を登ったが、その後を登ると落石が怖く、四日市の彼と一緒にガレ場の右の端を登ることにする。後ろから4人が付いて来たが、下に人がいると落石が気になり、下を登る人の安全を確認してからでないと動けない。傾斜が急なこともあるが、待って待っての登りで、遅々として進まなかった。ユックリ登り、やっとガレ場を過ぎて、藪の急斜面を一登りすると尾根に乗る。そこには、我々を歓迎してくれるようにエビネの群落が、一杯花を開いていた。花はエビネばかりでなく、ミヤマハコベの白い小さな花もアチコチに見る。ここから尾根を北へ登って行く。傾斜の急な尾根の登りであるが、足元に咲いているマムシグサやウラシマソウを見て、気を紛らわす。ウラシマソウと言えば、奥島山の北斜面に群生していることはよく知られているが、鈴鹿のこの尾根に咲いているのを知っている人は少ない。登るにつれ、尾根は土斜面から岩ガラの尾根に変わってくる。所々に現れる大きな岩には、可憐なピンクの花、ヒメフウロが花を開いていた。岩の間の地面には、点々とミヤマハコベの白い花が続き、アチコチに蕾を付けたサワギクも一杯。それらの花を見ながら登って行くと、あんまり登り始めて時間が経っていないのに、比較的平坦な斜面で休憩。そこにはヱビネの群落が花を開いていた。ここでも花を見ながら休憩を取る。“少し登るとCa600mの岩ガラが多い平坦なピーク。ここまで随分歩いてきたと体では感じていたが、ユックリと写真を撮りながらの登りで、地形図で確認すると、尾根取付きから500mも登っていない。ピークから緩く下って行くと、フタリシズカの蕾や、花の終わったヤマシャクを見る。ここの浅い鞍部がリョウシ坂と呼ばれる場所で、10年前、ここに登って来た筈だが、西の斜面を探してみても、道跡を見付けることは出来なかった。 リョウシ坂から北へ登って行くと、先行した人が集まり写真を撮っている。何だと思ったら40cm程の高さで、小さな赤紫の花を付けている草。サツキヒナノウスツボと長い名前の草花で、ゴマノハグサ科の花らしい。そう言えば、2年前にもここでこの花を見たことを思い出したが、名前は忘れてしまっていた。10分前に聞いた花の名前を忘れてしまうのだから当然と言えば当然。その花をもう一度写真を撮ったが、花が小さくハッキリ写っていなかった。そこから、更に急尾根を登ると大岩があり、岩にはヒメフウロが密やかに、ヒメレンゲは華やかに咲いていた。ここでも写真を撮って遅れがちになったが、岩ガラの尾根を登って、勾配が緩くなった所まで登ると、先頭が待ってくれていた。そこには岩がラが無く、平坦な場所になっていたが、とにかく獣か、尿の臭いがプンプン。おそらく鹿の集まり場所なのだろう。この場所に花は無かったが、上にマユミのツボミア?が一杯。緩い尾根をクルマバソウやコンロンソウの花を見ながら登って行くと、斜面には三度ヱビネの群落が現れる。ここの花は下で見た花と違って、幾分ピンクがかっている。リーダーは当然、この場所でも休憩をして、写真を撮る時間を割いてくれた。 この先、急尾根を登り、勾配が緩くなると、尾根の東斜面に杉の林が現れる。その林を過ぎた高みが「リョウシ」山頂。10時55分の到着だった。権現谷には、役行者が大和の大峰山へこもる前に、この権現谷で修業したと言う言い伝えがあり、その名残か、口の権現や奥の権現が今でも残っている。その修業の場のひとつに「リョウシ」西の岩峰が挙げられ、「リョウシ」の名は、「霊祠」から来ているのではないかと、岩野さんは説く。時間はまだ11時前で、ザックを置いてリョウシ北東尾根を散策する案も出されたが、思っていた以上に腹も空き、リョウシ岩峰で昼食することになった。西へ突き出た岩峰に座り込むと、中空に座っているような気にもなってくる。北には霊仙山がドッシリと横たわり、近江展望台から南霊山、1036mへと続く尾根、その右手奥に最高点が見えている。その山腹を切るように走っている林道は、ここからしか見ることは出来ない。一方、南には鍋尻山が間近に見えている。鍋尻山から右に流れる稜線の先端にあるコブは岳の畑。その右奥に見える尖った山は阿弥陀ヶ峰か。鍋尻山の左手には、昨年歩いたザラノから標高点720mへ続く尾根が横たわっていた。すぐ左のリョウシからは、今登ってきた尾根が細く急勾配に畝っていた。ユックリと辺りの光景を楽しみながらの昼食だった。ここでイヌワシの姿を見ることができれば最高なのに、イヌワシが飛んでくることはなかった。 ユックリと憩いの時を過ごし、12時に出発となる。一旦「リョウシ」へ登り返し、北東の尾根を下って行く。伐採斜面のコブを越えると、その先は平坦な尾根で、シロモジやアブラチャンの多い灌木の疎林。この一帯を「アケビの原」と呼ぶくらいで、この時期、五葉アケビの花をアチコチの木に見ることができた。秋にこの尾根を訪れれば、アケビの実を採ることが出来ると分かっていても、中々来ることが出来ないのは残念である。その尾根の格好の良い岩の前で集合写真を撮ってもらい、北東の尾根先端の岩場まで散策の足を延ばした後、この場に集まり、コザトへ向かうこととなった。 12時45分、ここから滝谷出合へ下る筈が、少し尾根を南に登って、東へ向かう尾根に乗る。尾根は杉の林で、微かな踏跡が付いている。釣り尾根状の尾根を歩き、登りにかかると、杉の林から雑木の林に変り、尾根の方向も北を向く。尾根は次第に勾配を増し、昼食後の登りは、より体が重く感じるが、足元に現れる残り花のイワカガミやチゴユリ、上咲くヤマツツジを見て活力を得る。急な尾根を「ヒイ、ヒイ」言いながら体を持ち上げ、斜面の勾配が緩くなると、東が桧の植林斜面の尾根に乗る。木々の間からは、烏帽子岳から双耳峰の三国岳、その右手に藤原岳や御池岳の姿も見えていた。その尾根を右手へ廻り込むように緩く登って行くと、尾根の北端がコザト山頂。13時30分の到着だった。 三角点は山頂広場の北端に立っていた。標高829.9mで三等三角点。点名は霊仙山の霊仙寺に関係あるのか「霊山」である。標石は北東を向いていて、北から60度東へ振っていた。標石は少し大きく、南北が16cm、東西が15.5cmの大きさだった。 山頂で喉を潤した後、桧と雑木の林の境界になる尾根を東へ下る。この尾根は、2年前の5月に、岩野さんの個人山行で下った尾根であるが、その時には、尾根の先端で大岩の上に出てしまい、下ることが出来なくなって少し戻り、滑り落ちそうな斜面を谷へ下ってから白谷林道へ降りた。その年の10月にサブの山田さんは、岩野さんが参加出来なかった例会「コザト、霊仙山、谷山」で、白谷林道から杣道を登ってこの尾根へ出て、コザトへ登ったことがあるので、今回はその道に下るよう山田さんが先頭にたって下って行く。急斜面の間引きされた桧林の斜面を下り、尾根に乗ると、いくぶん藪も少なくなり下り易くなる。尾根の幅が次第に狭くなってきて、右下に狭い広場が見え、尾根が右手へ曲がる高い木がある所が杣道に下る地点か。そこから南の急斜面を谷へ向かって下って行く。地形図を見ても、この地点を判定することが難しい地点だった。滑り落ちそうな急斜面を、枝に把まり、木を跨いで、何とか下って行くと、谷に近くなった地点で仙道に降りた。どうやら。もう少し上から斜面を下れば、短い距離の斜面下りで杣道に出たようだが、その地点は確定出来そうにない。出合った杣道を下って谷を渡り、南の尾根に乗って、その尾根を下ると、やがて白谷林道へ下りた。時間は14時25分。そこからは林道を下るだけ。タニウツギやオオカメノキの花、カキドオシやコンロンソウの花を見ながら、35分かけて林道を歩き、車を置いた権現谷白谷出合へ戻ったのは15時5分。 皆が揃うのを待って、最後にもう一度、岩野さんから「くれぐれもこの日の花情報をインターネットに乗せないよう」注意があって、15時30分、例会は解散となった。 |
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