--鈴鹿を歩く201(新ハイ岩野氏例会) 霊仙山の池と洞窟巡り 平成16年10月03日(雨) 礒部記(地形図:彦根東部、霊仙山) |
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コース 小倉6:00⇒7:45いぼとり地蔵広場8:15⇒8:35谷山谷登山駐車場8:45→9:35横道分岐→10:35横道→11:55ひょうたん池12:05→12:20横道分岐→12:50三蔵池(洞窟巡り)13:45→14:30魔洞口→14:50漆が滝→16:00谷山谷駐車場16:10⇒16:15浄水場⇒18:45小倉 |
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第201回目の「鈴鹿を歩く」例会は阿弥陀ヶ峰へ登って、谷山の池と洞窟を巡る山行。この山域はめったに訪れることが無いので、都合を付けて参加したのだが、雨と先日の台風の惨禍か、道が荒れていて思いの他時間を要してしまい、池と洞窟を見ただけで時間切れ。阿弥陀ヶ峰へは登ることが出来ず、次回の楽しみに残こす結果となってしまった。 この日の集合場所は上丹生の「いぼとり地蔵」前広場。岩野さんの例会では最も宇治から遠い集合場所で、どうしても高速を利用しないと時間までに着きそうにもない。だが、最初から名神へ乗るのでは経費がもったいなく、八日市から米原まで高速に乗って、8時前に「いぼとり地蔵」前広場に着いたが、既に広場は車で一杯。計画ではここに一部の車を置いて、乗り合わせて林道奥へ入ることにしていたそうだが、地域の行事があってこの広場へは駐車出来ず、急遽、歩くルートを逆廻りに変更し、全員車で谷山谷登山口駐車場へ向かうことになった。そのため、下山場所の浄水所に車を3台置き車をしなければならず、時間前に4台の車が出発する。 8時45分、人員確認をした後、出発となる。この日の参加者は34名だったが、10人程名前の知らない人達が参加していた。駐車場から林道を谷奥へ向かうと、道の至る所に鈴鹿の主が揺れている。どうやらこの谷山谷は、ヒルで有名な藪谷と同じで、ヒルの住家になっているらしい。歩いてすぐ左上に、のしかかってくるように屏風岩がそそり立っていたが、「主」が靴やズボンに這い上がって来ないか見ながらの歩きで、殆どの人が屏風岩を見ていない。左に堰堤を見ると道は河原へ下り、その先で谷脇の小道へ入る。 谷を右岸へ渡り、「囃子ヶ坂」と書かれた標識を見ると、すぐ左は岩の崩れているガレ場。そこを横切る道脇には、我々を歓迎してくれるようにツリフネソウやピンクのゲンノショウコ、ミズヒキが花を開いていた。所々にトリカブトの花も見る。 谷を何度か渡り返しながら、「千ヶ坂」を歩き、「コウモリ穴」を見て、谷脇の道を45分も遡ると右手から来る谷と合う。ここが一ノ谷で横道登山道との分岐だった。4年前に山田さんの例会でこの逆ルートを歩いているが、辺りの光景の記憶は全く残っていない。一息入れて、谷山谷道と分かれて横道へ向かう右の谷を登る。谷は荒れており岩だらけで、道と呼べるものは無い。所々の谷の岩に赤いペンキで矢印が書いてあるので、かろうじてルートが正しいことが分かるだけ。やがて、谷は左へ曲がって行くが、上へ登るに従い谷を流れる土石流の跡に行く手を阻まれる。谷が広くなると踏跡は右手の杉林の斜面に入り、ジグザグに登って行く。斜面のアチコチに咲くミカエリソウやアキチョウジが我々を慰めてくれていた。 この辺りまで登ると、ポツリポツリと雨が~。前日まで降水確率が高かったのが、今朝になり下がったと喜んでいた人がいたのに、後を見るとガスまで上がってきているではないか。雨対策をして、とにかく上へと登って行く。上方に横道の標識が見える所まで登るが、相変わらず谷は荒れ谷。1時間もかかりやっと横道まで登り着いたものの、すぐ東は土石流で道が寸断されている。右手上方に注意しながら、幅50mもある土砂の流れを横切って、ホッと一息ついたまでは良かったが、道を東へ向かい、右手へ尾根を廻り込んだ先に、もう一つの土石流の爪痕が道を寸断していた。急斜面にV字状に5m程の幅で、3m程の深さに切れ込んだ溝で、足を出すと小石が崩れ出して行く。一人一人慎重に渡らなくてはならず、全員が渡り切るのに30分近くもかかってしまう。唯一の救いは、溝を這い上がり道に出た時に出会ったサラシナショウマの花が、その苦労を癒してくれたことだった。 道を東へ歩くと一瞬ガスが晴れ、阿弥陀ヶ峰の姿を目の前に見ることが出来たが、すぐその姿はガスに隠され、雨も幾分きつくなってきた。八日市の彼が先頭に立ち、緩やかに登りながら右手へ廻り込むと、右手は緩斜面の雑木の疎林。もう一度尾根を廻り込んで先へ進むと、後から「ひょうたん池へはここから登るんだ!」との声。「谷から行ってもいいよ」と言ってくれたが、リーダーの言う通りに戻り、指摘の尾根を登った。 緩い二次林の林斜面を南へ登り、低い台地を越えて笹原を登ると884mのピーク。そこを西へ向かうと、くぼ地にひょうたん池があった。横道から884mへ登る取付きで、位置と方向を確認したが、微妙に方向を変えて登ってきたので、池に来て位置を確認しようと地形図と磁石を見ても、磁石の赤針と頭の北が合わずにピンと来ない。方向感覚が狂ってしまったのだ。慌てて瀬田の彼のGPSを見せてもらい、やっと頭の磁石を修正する。 ひょうたん池は10m四方程の池だが、静かな林に囲まれた情緒ある池だった。ただ、惜しむらくは、池の水が泥で濁っていたことだった。池の西、10m程の所には小さな穴が開いているが、その深さは何れ程あるか分からないと言う。思いの他時間がかかり、ここで既に12時になってしまったが、食事はもう少し我慢することにして、東へ谷を下る。途中、井戸ヶ池があったが、土砂に埋まって水は無い。そこから細まった谷を下ると横道に合い、すぐ谷山谷登山道へと出た。 登山道を70m程登り、左から谷が来る手前の左斜面に取付く。急勾配で、水を含んだ料面は泥で滑り易い。谷に沿って奥へ登ると、どんずまりは池状の平坦地。「Qちゃん池」と呼ばれている池なそうだが、ここも土砂に埋もれて水は無かった。 ここから、斜面を巻くように西北へ斜めに下って行くと、尾根の緩くなった所に10m四方程の池があった。この池もまた、池の水は泥で濁っている。この池を「三蔵池」と呼んでいるとリーダーは言っていたが、その昔この山に霊仙寺が栄えていた頃の僧、「霊仙三蔵」に因んで付けた名前かも知れない。時間は既に13時前。この場所でやっと昼食にありつけた。雨は僅かだが降り続いており、とても座る気にはなれず、吹田の彼女と二人は傘をさして立ったりしゃがんだりの食事。喉が渇き切ってビールを口にするが、寒さが込み上げてきて、少しも美味いとは思えなかった。 リーダーは皆が食べ終るのを見計らい、洞窟を見に行くことになった。常連の2人をザックの番に残し、空身で池から北へ斜めに50mも登ると、5mもある縦穴が開いていた。石を落すと2~3秒して音がするので、相当深いようだ。今度はここから北西へ延びる尾根を下ると、尾根に先程より大きな穴が開いていた。こちらの穴もまだ名前が無いが、とりあへずは「山田さんの穴」と呼んでいるそうだ。今回見た「三蔵池」と二つの縦穴は2年前に発行された多賀町の「霊仙地域の自然その1」に載っていない所を見ると、最近見付けられたものなのかも知れない。 13時45分、阿弥陀ヶ峰へ登るべく、今登ってきた道を谷山道へ向かい下る。ここからなら稜線へ登って、尾根伝いに行った方が、距離は長いが高低差は少なく体は楽で、時間は掛からないように思うが、個人山行ならともかく、例会では熟知したルートを歩かなければならないのだろう。一旦、横道分岐まで戻り、魔道を下る。岩のゴロゴロしている見下ろすような谷である。先頭を下って行く人の姿がすぐ目の下に小さく見えている。こわごわ下り、三つの谷の分岐点・魔洞口まで下ると14時30分。ここから、阿弥陀ヶ峰へ急勾配の斜面を、標高差200m登るのでは1時間以上は掛かり、更に、尾根を浄水場まで下るのでは、日の短い秋の日に暗くなるのは必定。ここで、阿弥陀ヶ峰へ登るのは次の機会に廻して、谷山道を下ることに決まった。気が付くと、雨はいつの間にか止んでいる。 谷を下るとすぐ道は左岸に移る。急斜面を横切って歩くと、右下に滑滝になって流れ落ちる細くなった水流を見る。道をジグザグに下ると、坂の途中で右手に「漆が滝」の全容が姿を現す。二段の滝で15mもある上の滝は水量も多く、ゴウゴウと音を立てて流れ落ちていた。この光景を見ながら、しばしの休憩となる。 ここから下ると三の谷、「くぐり岩」を抜けると道は左岸を高巻く。小曲の坂を下って谷道になると、何度か谷を渡り返し、やがて、朝に分岐した横道分岐に着く。そこからひたすら谷を下り、駐車場へ着いたのは16時丁度だった。ここで解散となった。 上水道に停めた車に戻り、濡れたシャツを脱ごうとすると、右袖にヒルが1匹。ズボンにも這い上がってきている。長靴を脱ぐと、左の脛に1匹が吸いついて丸まると太っているではないか。右の長靴を脱ぐと靴下は真っ赤で、靴底に潰れたヒルが1匹。長靴を履いていてもこんなに靴の中に入り込むとは、アキレル他ない。ただただ、身の回りを点検して、ヒルを家へ持って帰らぬようにするしかなかった。 帰りは八日市まで地道を走り、八日市から名神に乗り帰途についた。 |
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