--鈴鹿を歩く194(新ハイ・岩野氏例会)

御池岳                                                                                                      平成160530(曇り)

磯部記(地形図:篠立、竜ヶ岳)

コース  小倉6:007:50鞍掛トンネル西口広場8:20→8:45鞍掛峠9:05→10:10鈴北岳10:20→10:25元池→10:35日本庭園の池→10:44夕日のテラス→11:00丸池→11:15風池天狗の鼻→11:25ボタンプチ12.30→幸助の池サワグルミの池南池→14:00真ノ池14:20→14:35鈴北岳→15:10鞍掛峠→15:30鞍掛峠トンネル西口広場15.50

前夜の滋賀県北部の降水確率は、30日午前70%、午後40%の予報。サブに電話すると、「例会は雨なら中止とするが、集まってくる人もいるので、その人達と個人山行をする」とリーダーから返事があったとのこと。とりあへずは雨でも集合場所へ行ってみることにする。御池岳のテーブルランドへは1年半ぶりの訪問だった。

夜明け前に降っていた雨も上がり、明るい空模様。免許証を忘れて一旦家まで戻ったことはあったが、6時には小倉を出発することが出来た。濡れていた路面も、信楽まで来ると乾いていて、雨が降った気配は全く無い。水口から見た綿向山はクッキリと姿を見せ、それに続く鈴鹿の山々も雲に隠れていない。天気予報は良い方へと外れてくれたようだった。6時半に車を停めて、山科の大兄へ電話をすると、真面目な大兄は天気予報を信じ、例会は中止と思って未だ床の中。これからすぐ家を出れば間に合うので、奥様に「滋賀県は晴れている」との連絡をお願いしたのだが~

集合場所である鞍掛トンネル西口広場へ着くと、8時前だというのに、既に広場は車で一杯。点呼をとると、結局、「前夜の天気予報で、当日の降水確率60%以上は例会中止」を信じた4名が姿を見せずに、21名もの山気違いがこの広場に集まっていた。空を見ると雨が降る気配は全くなく、この時点で個人山行から例会へと切り替わった。

820分に、名古屋の彼を先頭に登り出す。杉林の登山道には、風にそよぐ葦の様に、鈴鹿の主が至る所で揺れている。ジグザグに登り、杉の林が切れると雑木林の斜面を横切るが、アチラコチラにヤブデマリの白い花が咲いていた。登り始めて25分、やっと鞍掛峠へ到着。峠のすぐ側の岩の上には、真新しい地蔵尊が鎮座していた。そこには「参宮街道鞍掛地蔵ひざくりげ」と書いてあったが、何の意味があるのか分からない。この峠で遅れたリーダーを待つが、中々姿を現さない。あまりに遅過ぎたので、待っておられず元気な3人が様子を見に下るが、「先に登ってくれ」との伝言を持って帰ってくる。どうやら体調不良で、道の下の方で座り込んでいたらしい。

ロスタイム20分。リーダー不在のまま、再び名古屋の彼を先頭に登り出す。尾根道の両側はシロモジとアブラチャンの疎林。道脇にはタニギキョウの白い花も目にする。急勾配の尾根を登り、熊池を過ぎて雑木の林を抜けると、笹原の登りに変わる。以前は道を覆うように笹が生い茂っていたが、今では道も広く切られ、笹も大分低くなっている。天気が良ければこの斜面で後を振り返ると、霊仙山や伊吹山を間近に見ることが出来るが、この日はガスが出ていて、何も見えない。見えるのは近くの林の様子だけ。笹斜面の両側の林には、アチコチに白い花を付けた木を見る。四日市の彼の解説によると、カマツカとゴマギだと言うが、どの花を見ても同じように見えて区別がつかない。足元には茜を持ったフタリシズカや白い小さな花を付けたクルマバソウが点々と続いていた。

1056mを越えると最後の登り。ガスで斜面の上が見えないので、「あんな所まで登らなくてはならないのか」と意気消沈することがない。昨年の1月雪の中を登った時には、この坂を登る時にバテかけていたが、この日は快調な登りが出来て、鈴北岳へは1010分に登り着く。山頂に立つとガスが切れ、丸山までは見ることが出来なかったが、池の平が目の下に広がっていた。

"息を整えた後、サブを先頭にまずは「元池」へ向かう。池にはイモリが何匹も泳ぎまわっていた。ここから戻り南東へ歩く。以前は笹の原だったが、久し振りに来てみると、笹の間に苔が至る所に姿を見せていることに驚く。水のない「平原池」の側を通って、南の林へ入ると「日本庭園の池」。ほんの小さな池で、日本庭園らしい光景はどこにも見ることが出来ない。何故に「日本庭園の池」と名付けたのか分からなかった。

「日本庭園の池」の東から笹斜面を南へ登り、テーブルランドの端を東へ向かうと岩が目立つ場所がある。「夕日のテラス」と呼んでいる場所で、ここから見る南方の光景は素晴らしい。ただ、この日はガスが出ていて、目の下に御池橋が見えるだけで、目の前の天を突くような天狗堂や、サンヤリの姿はボンヤリと霞んでいる。遠くに見える筈の銚子ケ口の尾根、雨乞岳、御在所岳や静ヶ岳の姿は勿論、全く見ることは出来なかった。ここからの風景を写真に撮ることを諦め、せめて岩の間に咲いている一輪のヒメフウロを写す。テラスから東へ下り、ヌタ場状の窪地を渡って、北の斜面に添って進むと、廻り込んだ所に岩がある。この岩の北側に「丸池」がある筈だが、先頭はドンドン南東へと真っ直ぐに行ってしまう。間違いに気付いて引き返そうとした時に、尾根を歩いていた四日市の彼が幸運にもあの花を発見。小さな群落だったが、花は三つ程咲いていた。「御池のテーブルランドで何個所が花のある場所を知っているが、この群落に会ったのは初めてだ」と彼は言っていた。この花の廻りに全員が集まり花の鑑賞会。先頭が池の場所を勘違いしていなかったら、花には会うことが出来なかったに違いなかった。

少し戻り、「丸池」を確認した後、山腹ではなく今度は尾根を進む。しばらく進むと、先頭が立ち止まって何かを伺っている様子。行って見ると、林の切れた草原に十五六頭の鹿が群れていた。写真を撮ろうとザックからカメラを出すと、それに気付いたのか、鹿の群れは向こうの林の中へと消えてしまった。

後を追うように進むと、すぐに「風池」。少なくなった水の岸辺には、オタマジャクシが寄り集まり、黒く帯状になってうごめいている。池の上の木の枝には、幾つかの卵塊が残っていた。この池から南東の尾根を越えて下ると、すぐに「天狗の鼻」。その東にある「ボタンプチ」で、時間は早かったが昼食となった。食べ始めるとガスが晴れてきて、目の前にミノガ峠からサンヤリ、天狗堂へと続く尾根が姿を現した。T字尾根もクッキリと目の下に横たわっている。静ヶ岳、御在所岳、雨乞岳もガスの中からボンヤリと輪郭を出し始めてきた。昨晩の天気予報が嘘のような光景だった。

相変わらず鈴鹿のお兄とお嬢のやりとりは漫才そのもの。それを聞きながら、廻ってくる自慢の惣菜を頂いて楽しむ。やっと食べ終った頃、遅れていたリーダーが姿を見せた。それまで「リーダーは体調不良で家に帰ったかも知れない」「いやいや、車で寝ているだろう」と言っていた彼女。リーダーに出会った途端「追いついてくると思った」と言うから、実に白々しい。前の言葉を聞いている人達は、それを聞いて苦笑い。この場所は我々だけの世界だと思っていたのに、清掃登山だと言う十五人程のグループがやって来た。あてこすりのように我々が座っている廻りのゴミを拾っていたのには、参ってしまう。

1230分、今度はリーダーを先頭に「幸助の池」へ向かう。池までは5分程の歩きだったが、着くなり座り込んでしまうリーダー。余程、体調が思わしくないようだ。そこから奥の平南峰へ登る。バイケイソウとトリカブトが一面に生えている斜面を登って行く。私だけが列を離れて西側を登っていたが、突然、2mも離れていない茂みからガサゴソという大きな音でビックリ。何だと思って見ると、小鹿が一頭逃げていくではないか。続いて後の方でももう一頭。カメラを構える間もない、アッと言う間の出来事だった。

南峰へは1245分に着く。ガラガラな岩の間に彫られた観音像が一体が置かれている。こんな場所には似つかわしくない物だが、観音像となると捨てようにも捨てることが出来ない。何のために置いたのか、困ったことをする人がいたものである。その像に花を添えるかのように、後の岩の上にはヒメレンゲが花を咲かせていた。

ここから先はリーダーの指名により、四日市の彼が先頭を受け持つ。笹を掻き分け尾根を西へ。1241mを越えて、西に斜面を登ると道に出た。一旦少し下って登り返すと、丸山。山頂には十数人の昔の青年女達のグループが屯していた。

.

丸山から登山路を離れて、バイケイソウが一面に驚っている斜面を北西に下る。少し右手に振ると、僅かに水を溜めた「山西池」、更に下ると「上池」だ。水が少なくなった池の中には、アップアップしているようにオタマジャクシが黒くうごめいている。

右に谷を見て尾根を下ると、「丸池」の北東に立っているマユミの老木の側に下りた。朝と一寸見る方向が変わっただけで、全く違った所へ来たように思えるから不思議。ここで一息入れて、今度は北へ伸びる尾根を下ると、ハート形をした「中池」に出会う。この北には「平池」があるそうだが、水が枯れているので行かずじまい。そのまま「ウリハダ「カエデの池」へ向かう。その北にある「サワグルミの池」が、これまで見た池の中で最も池らしい池といって良く、趣がある。特に、池の側に立つサワグルミの大木が圧巻だ。谷を北へ向かうと「南池」「南小池」の緑を通り、林を抜けると一般登山道へ飛び出す。丁度、「真の池」の東外れだった。ここで最後の瀬田の彼のスナックが開かれる。

ここからは一般登山道を歩くだけ。途中でワラビを摘んで、鈴北岳を1435分に下り始める。下りは快調なペースで、1時間足らずで7人が鞍掛トンネル西口広場まで下ってしまう。残りの人達はそれから10分遅れで到着。1550分に解散となった。

思いがけず天気予報が外れて雨に出会うことなく、御池岳にある13もの池巡りを楽しむことが出来た例会だった。