五十名山

東尾根から保月登山道〔滋賀県多賀町〕

29 鍋尻山(なべじりやま) 838m

大展望の拡がる山頂突端

鍋尻山(地蔵山より)
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登山口→山道→下山口
難易度 B C
安全度 A C
体力度 A C
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霊仙山の南に脇ヶ畑カルスト台地と呼ばれる高原地帯がある。台地上の五僧峠と杉坂峠を結んだ街道には、往時は五僧、保月、杉といった集落が栄え、近江と美濃に通じた軍事・経済・文化の要衝路だったと言う。その周辺にも十指を超える山々が点在し、中でも鍋尻山は山容と展望の良さで知られる秀峰で、鈴鹿山地でも屈指の名山である。

その鍋尻山も山麓の保月までアプローチすれば、一時間強で往復できる近さになるが、保月までの車道は舗装されているが相当な険路で、車の運転にも苦労を伴うので、どうせ走るならほかの山も、ということで鍋尻山に続いて小鍋尻山と地蔵山を巡回したが、道筋には杉坂峠の多賀御神木や地蔵峠の乳地蔵と杉古木、それに往時の面影を残す廃村の杉や保月の光景など見どころがある。

多賀町久徳の国道から河内風穴方向へ折れ、最初の白い橋(渡った所に調宮神社)から細い舗装路に入る。急坂道をジグザグと登り、杉坂峠から杉(廃村)と地蔵峠を過ぎ、家屋は残るが廃村の保月に着いて小学校跡地の広場に駐車して歩き始める。

神社の左から登山道の溝道に入り、分岐を直進して地形図に破線の残る古い道へ直進する。山腹に通した踏み跡は徐々に薄くなってくるが、北東へ歩いて正面に現れる石灰岩が集まる二次林の尾根に乗り、尾根を北へ下った鞍部で、ダケノ峠へ行く山腹道を離れて左手の尾根末端に取り付く。山頂へ直登するこの尾根は、道は無いがどこでも歩けるので、二次林下を自由に歩きながら高所へ向かい、やがて一面に石灰岩が敷き詰まってくるが、岩を避けながら登ると鍋尻山の山頂に着く。

●地蔵峠から二山を巡る

雑木越しに展望の開く山頂から、草地を切り開いて歩きやすくなった一般登山道を帰路にとって下る。琵琶湖の見える展望地から大展望の開く突端に出て、急降下しながら草地を抜けて植林に入るとすぐに、登山口の車道に戻り着く。なお往路のルートに自信がないときは帰路の登山道を往復すればよい。

右折して車道をしばらく歩くと、杉古木に囲まれた地蔵峠(地蔵堂の祠)に着き、逆方向の窪地から小鍋尻山を往復する。植林の山で道も目印も無く解りにくいが、高所へ登るとすぐに石灰岩の散乱する山頂に着く。帰路は道もなく四方が同じ光景で方向を間違えやすいので、尾根筋の方向を磁石で確かめながら忠実に地蔵峠へ戻る。

続いて地蔵堂の右から地蔵山へ登る。この山も道は無いが、明瞭な尾根に乗って高所へ登ると一直線で山頂に出る。木立に囲まれて展望は優れない。帰路は東の山頂部から尾根伝いに保月に下る近道もあるが、今回は南西の尾根から巡視路経由で戻った。遠回りで時間はかかるが、二次林の良い尾根を下り、植林に入って巡視路に出て左折する。好展望の鉄塔を二つ過ぎてから集落道に出て駐車地へ戻るが、以前より巡視路はかなり荒れている。

【アプローチ】

□車・多賀分岐から彦根分岐へ09キロ、分岐Bから11.0キロで登山口(栗栖から保月)

■交通・久徳バス停から便なし。タクシー利用。【その他の登山道】

◆河内アケン原からダケノ峠道