五十名山

朝明渓谷から愛知川周辺道〔滋賀県東近江市〕

16 水晶岳(すいしょうだけ)954m

山頂は中部鈴鹿の展望台。周辺山域も紹介

タケ谷出合から愛知川を渡る
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朝明渓谷から県境稜線を歩く場合、一般的には南の国見岳や御在所岳は根の平峠へ出るし、北の釈迦ヶ岳は羽鳥峰峠へ出てその逆はとらない。つまり根の平峠と羽鳥峰峠の間(歩行約二時間)は、一つの独立した山域とも言えるが、その中から選んだ水晶岳は、単に展望の良さだけでなく、山域を代表する山としての存在感がある。

水晶岳の代表ルートは南北の峠から県境をたどる二つだけで、本書では概説だけにとどめ、愛知川遡行、お金明神、イブネ、クラシなど、利用度の高い水晶岳周辺の、朝明渓谷から愛知川周辺を巡るルートを取り上げてみた。ただし特定のコース設定はせず、ルート(七分割)ごとの概説にとどめた。

水晶岳ルートの概説

朝明から根の平峠に出て北の県境稜線に入る。縦走路は笹を切り開いて解りやすく、高所へ登った所で分岐を見落とさずに、左へ折れるとすぐに水晶岳に着く。四周に展望の開く山頂から来た道を戻り、分岐を左折して下った鞍部が中峠で、ここから朝明へ戻る道が一番早いが、さらに県境を先へ歩いて、羽鳥峰峠から戻るのが一般的な周回コース。

【根の平峠からタケ谷出合】

根の平峠から両側の笹を分けると、岩の多い溝道になるが、峠付近は水流もある。総じて左岸沿いの道は明瞭で解りやすいが、二つ目の分岐は直進して入りやすく、テープ目印もあって紛らわしい(往路注意)

【中峠から大瀞橋】

総じて右岸沿いの道は解りやすく距離も短いが、笹は切り開かれず歩きにくい。渡るしか方法のない大瀞橋は「通行禁止」の看板が何年も吊るしたままで、国定公園である以上は危険なら改修して欲しい。

【羽鳥峰峠からヒロ沢出合】

道は全般に切り開かれて歩きやすい。峠付近は湿原もあって水流がある。溝道・岩道・高巻き・細い山腹と、道筋は変わるがテープ目印も多く解りやすい。出合から帰路すぐの紛らわしい分岐に注意。

【白滝谷口から白滝谷出合】

県境入口は道標に注意。初めは小沢の渡り返しが多いが、すぐに安定した山道になる。植林下の高巻き道が長く距離も最大。中ほどの本流渡渉は道標を確認してナメ床を渡る。白滝の見どころがある。

【タケ谷出合から大瀞橋】

左岸沿いに川沿い道が通る。途中にクラシ谷やオゾ谷を歩くルートもあり、明瞭な溝道が多い。支流の間は主に高巻き道で、明るい二次林と薄暗い常緑灌木が入り交じる。

【大瀞橋からヒロ沢出合】

大瀞橋とお金谷の間は歩く人が多く、テント場向きの平坦地もあって良い道が続くが、お金谷からヒロ沢間は、道筋が薄く支流の渡渉で紛らわしい所もある。踏み跡を外さないように要注意。

【ヒロ沢出合から白滝谷出合】

ヒロ沢から右岸に移る。ほかの川沿い道と様相が一変して、両端の出合以外はすべて高巻きで、岩場を越える厳しい山腹道に終始する。山慣れた人と同行したい。

【アプローチ】5釈迦ヶ岳と同じ