五十名山

八風東谷から東尾根〔三重県菰野町〕

15 三池岳(みいけだけ)971m

八風渓谷から古道の八風峠へ

三池岳(八風峠近くより)
登山口→山道→下山口
難易度 B C
安全度 B B
体力度 B B
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中世戦国期から近世にかけて、近江商人などで賑わった八風街道は、県境の八風峠を越えて近江と伊勢を結んだ山越古道の一つで、登山者や山仕事者が歩くだけの現在でも、峠の八風大明神碑や道筋の石仏など、わずかに残る遺構や道型に往時を偲ぶことができる。

八風峠に隣接した北の山が三池岳で、竜ヶ岳と釈迦ヶ岳に挟まれて地味な存在ではあるが、石榑峠から八風中峠に及ぶ広い山城をもった山で、宇賀渓砂山付近から眺めると、長い尾根を引いた山容に迫力があり、好展望の県境稜線や御菊池の見どころもある。往時の八風街道は、滋賀県側の紅葉尾集落を過ぎ、現在の八風谷橋あたりから谷沿いの道になって八風峠に出て、八風東谷から三重県側に下る道筋であったが、東西の八風を通して歩くのは距離が離れすぎるので、今回は三重県側から八風峠へ登り、三池岳から東尾根を下る周回で歩いた。

国道から八風渓谷へ向かい、キャンプ場を過ぎて八風射撃場に出た所が登山口で、付近の空地に駐車して歩き始める。分岐する左の林道が八風峠の道で、岩の多い荒れた地道をしばらく歩くと、堰堤の横で林道終点となる。左へ渡渉して次の堰堤を越えた所で、山側へ直進せずに河原へ下りると、谷沿いに踏み跡が続き石段状に岩を敷いた古い道型も残っている。谷幅が狭まり渡渉して右へ移ると、歩きやすい道にテープ目印も多く、中峠の分岐から三体の石仏を過ぎ、山腹の溝道をジグザグに登ると、ザレた岩道に変わって鳥居と石碑の立つ八風峠に出る。

●県境の展望と御菊池が見どころ

鳥居の手前から笹尾根の県境へ入り、ピークから急降下してザレ地を登り返し、石柱の立つ好展望の県境山頂部に出て、さらに東へ笹を分けて三池岳(三角点)に着く。

帰路は東尾根をとって細い笹尾根に入ると、尾根が拡がって二次林が覆ってくるが、明瞭な踏み跡があってテープ目印も多い。ガレ場に出た所は草の無い上端を足元に注意して通り、再び笹道に入った窪地で、水量のないときはヌタ場のような御菊池に出る。

その先で尾根が分岐して福王山方向と八風射撃場に分かれるが、道標に注意して南東()の尾根に入る。なお福王山へ下る尾根は、すぐに展望の良い岩尾根になるので間違えたときの目印になる。八風渓谷へ下る尾根に入ると、ヤセ尾根や岩尾根が交互に現れるが、南東方向へほぼ一直線の尾根で解りやすい。それに射撃場の開催日は、射撃音が歩くごとに大きくなるのでこれも目標になる。やがて射撃場の注意板を掛けた分岐に出て、右の山腹へ下ると三池谷沿いの林道に出る。すぐ先が林道終点で、こちらから登るときは立木の赤テープが目印になる。林道をわずかに歩くと射撃場を過ぎて林道分岐に戻る。

なお山慣れた人なら往路途中の分岐から中峠経由でも歩ける。近くに仙香山と山の南窪地に仙香池の見どころがあり、一時間ほど加算すれば県境稜線から八風峠へ行ける。

【アプローチ】

□車・湯の山分岐から大安分岐へ63キロ、分岐1から45キロで登山口(駐車地)

■交通・近鉄湯の山線菰野駅から江平バス停、徒歩1時間10分。

【その他の登山道】

◇石榑峠から県境稜線(縦走路)2時間。