五十名山 北西尾根から鐘吊谷〔岐阜県大垣市上石津町〕 12烏帽子岳(えぼしだけ)872m 鈴鹿北部の秀峰。物見岩が好展望 |
烏帽子岳(北の猿登林道より)
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三国岳から分岐するもう一方の県境稜線の山が烏帽子岳で、大垣市上石津町の時山から五僧峠に通じ、島津越の故事で知られる昔の街道の南で守護神のごとく聳えている。熊坂長範(盗賊)の伝説もある山。
三国岳で分岐する東側の県境から北は岐阜県になり、関ヶ原町に向かって鈴鹿山地の低い山塊はまだ続くが、この山域を代表する山が烏帽子岳で、北麓の美濃と近江を結んだかつての要衝路とともに、里人や旅人に往古から親しまれ敬された山だったと思う。
烏帽子岳の登山道では鐘吊谷道がよく知られているが、荒れが進んで以前は楽に歩けた道も、今は一般向きと言えないほど危険なルートになっている。それに代わって推奨されているのが時山バンガロー村から登る北西尾根で、今回は巡視路に整備されている北西尾根を登り、鐘吊谷から戻る周回で歩いた。
国道から時山へ向かい、集落の手前で時山バンガロー村へ入る赤い橋を渡り、右脇の駐車場から歩き始める。烏帽子岳の道標を確かめながらバンガロー村へ入った所で、巡視路の階段が付いた山道へ登る。
植林下をジグザグと登って山腹から尾根に乗ると、すぐに展望の良い鉄塔に出て、二つ目の鉄塔を抜けると植林下から明るい二次林に変わり、尾根も広くなって快適な道になる。やがて岩を巻いたり雑木が覆う細尾根になるが、高所へ登るうちに三国岳の道標がある二つ目の分岐で、階段道の県境稜線に出る。
●吊谷道は難路が多く慎重に
左折して平坦で良い道から岩尾根を越え、右折する巡視路を過ぎて急登すると烏帽子岳の最高点に着き、三角点は五分ほど東の尾根続きにあって、北の展望が少し開いている。鐘吊谷を帰路にとって二次林下の北尾根を下ると、尾根の突端に出た所が物見岩で、雄大な展望を楽しんだ後、直角に折れて植林下の谷地へ下る。谷の両側に尾根が並行していて、踏み跡は谷の悪場を避けて左の尾根に寄り、再び谷へ下って渡渉し、山腹を巻きながら右の尾根に乗る。ただしこの山腹道は、一部で踏み跡が薄く足場も悪くなり、谷側は急崖で危険なので、携行ロープを張って安全を確保して通過したい(ロープの無いときは右手の尾根に出た方が安全だと思う)。
山腹から尾根に出た踏み跡は、テープ目印の所から左折して谷へ下り、左岸へ渡ると細い岩尾根になるが、今度は以前無かった固定ロープが頑丈に張ってあり、緊張はするがまずは安心して歩ける。谷へ出て二度渡ると、再び固定ロープがあって、谷を離れて高巻きしながら小岩の散乱する斜面から、薄い踏み跡を探して下ると、防護壁の横から開発公団前の車道に出て、十五分ほど歩いて駐車場へ戻る。なお登山口には「遭難者が多く危険」の看板もあり山慣れた人向きである。
【アプローチ】
□車・関ヶ原分岐南の分岐Gから5・6キロで登山口(時山バンガロー村駐車場)。
■交通JR東海道線大垣駅から時バス停、登山口まで徒歩1時間20分。
【その他の登山道】
◇狗留孫岳から県境稜線
県境稜線は巡視路で良い道。狗留孫岳までは立田小学校から支尾根、細野から林道、立林道から巡視路の三ルートがある。
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