五十名山

宮妻新道から奥の谷〔三重県鈴鹿市〕

9A入道ヶ岳(にゅうどうがたけ)最高点915m

アプローチの良さ。アセビの群生で人気

奥宮方向から「北の頭」の景観

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登山口→山道→下山口
難易度 B B
安全度 B C
体力度 B B
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入道ヶ岳は三重県側の山では人気最高で、椿大神社、宮妻峡、小岐須渓谷、県境稜線の四方から登山道がある。山頂部は三角点、奥宮、北の頭の三峰に分かれ、信仰の山、展望の山、アセビ群生の山、アプローチしやすい山と四拍子揃っている。なお数多い登山道では、椿大神社から登るルートが歩きやすく初心者向きである(次項参照)

県境稜線を離れた三重県側の山に限ると、最も歩かれるのが入道ヶ岳で、山麓から眺める両隣の雲母峰や野登山も、山容自体はさほど遜色が無いのに、登山道の多彩さ、雄大な山頂と展望の良さ、見どころの豊富さ、といった好条件が重なり、それがかけ離れた人気の高さになっているようである。

今回は数多い登山道の中から、宮妻峡キャンプ場脇の宮妻新道を登り、磐座尾根を下って奥の谷から宮妻林道を戻る周回コースを歩いた。

鎌ヶ岳(7Bカズラ谷から鎌尾根)と同じアプローチをとり、宮妻峡駐車場から歩き始める。駐車場に隣接する舗装路が登山口で、キャンプ場へ下りた所から、道標を見て谷を二回渡り、堰堤の左から山道へ入る。山腹をジグザグと急登して尾根に出ると、傾斜が緩み道も広く明瞭になってくる。

やがて尾根の両側に、背の高い笹とアセビの群生が現れると、道は細くなるが歩きやすく笹が切り開かれ、ヤセ尾根になって樹林を抜けると、視野の拡がる笹原に出て、宮林道と北尾根道と合流しながら北の頭に着く。

●高度差のない三つの峰

入道ヶ岳の山頂部は、茫洋とした笹原を挟んで、高度差の少ない三つの峰があって、三角点と南の展望が開く本峰、椿大神社の奥宮を祀る最高点、北方に大展望の開く北の頭と、それぞれの見どころを適宜に周回していくが、磐座尾根を帰路にとる場合は、奥宮の左手か樹林下の道をわずかに登ると、すぐにヤセ尾根の急な下りになる。

尾根沿いの踏み跡は、歩きやすい溝道と険しい岩道が交互に現れるが、松の木谷源頭の鞍部まで一度下った後、岩塊の左から登りに転じ、幾つかのガレ脇を通過して、再び下った峠状の鞍部で、尾根を離れて奥の谷へ右折する。逆方向に大岩谷から小岐須渓谷へ下る道標があり、尾根はこの先から急登になるので、これらが目印になる。また磐座尾根を全踏して県境稜線に出て、水沢峠からも戻れるが三十分ほどの時間と労力が必要。

奥の谷の入口は広いザレ地で、気分良く谷の源頭に下ると、細い支流が幾筋も合流してくるが、谷沿いに踏み跡が付いている。幾度か谷を渡り、堰堤の左から谷へ出た所が広い河原で、そのまま宮林道につながっている。林道に出て左折すると、すぐに水沢峠へ登る登山口を過ぎ一歩きして駐車場へ戻る。なおこの林道は入道ヶ岳北の山裾に延びていて、往路の宮妻新道と合流する道もある。余談になるが、宮妻新道の入り口から笹尾根までの間は「山ヒル」が多いので特に梅雨の季節は避けた方が無難。奥の谷は地質が異なるためかヒルはいない。

【アプローチ】

□車・湯の山分岐から亀山分岐へ58キロ、分岐Dから75キロで登山口(宮津峡駐車場)

■交通・近鉄四日市駅から宮妻口バス停、徒歩45分。