五十名山 稲ヶ谷からクラ谷(滋賀県甲賀市〕 8B 雨乞岳(あまごいだけ)東雨乞1220m 堂々とした山容。高度差以上の迫力 |
雨乞岳本峰(東雨乞より)
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御池岳に次いで鈴鹿山地第二の高峰の雨乞岳も、県境稜線を遠く離れて人里からは目立たないが、峰を連ねて堂々とした山容は、東隣の御在所岳と比べても遜色がなく、とりわけ周辺の山々が地肌を現す早春のころに、最後まで白々として聳える景観には、高度差以上の迫力がある。
雨乞岳の登山道は、甲津畑と菰野町を結ぶ古い街道筋のほかに、鈴鹿スカイライン沿いにもたくさんあって、その中から最短ルートとされる稲ヶ谷を登り、クラ谷から武平峠へ下る周回を、下山口に置き車をして歩いた。ただし前回歩いた五年ほど前と比べて、登山道が崩壊したための新しい巻き道が三カ所もあって、雨乞岳に限らず鈴鹿全体に、谷筋や山腹の道は、荒れ方が早い感じがする。
武平トンネル西の駐車場(駐車場B)に置き車してさらに車道を下り、橋脇に広場と道標の立つ登山口(稲ヶ谷登山道の表示)に駐車して歩き始める。すぐに谷を渡り、両岸の岩壁が圧迫する谷淵を、左右に渡り返しながら遡行し、大滝の手前で谷を離れて、左の巻き道を急登する。頂部へ出たあたりの山腹が崩壊のために、その手前からさらに巻き登って平坦な植林地に出て再び谷へ戻るが、踏み跡が解りにくいので注意する。
大滝の上に出ると、谷幅が拡がって中州状の谷中や渡り返しが続き、やがて源流になって笹が深くなり、最後に笹のトンネルを抜けると稜線の鞍部に出る。明るく視界の拡がる稜線分岐から、左折して笹原の切り開きを、笹が覆う足元に注意しながら雨乞岳(本峰)に登り、山頂で小憩後来た道を引き返して、樹木がなく裸地の拡がる東雨乞に着く。
●雰囲気の良い二次林の七人山
四周に展望の開く東雨乞からクラ谷道を帰路にとり、道標(武平峠)の立つ笹原の下を、北から北西に回り込んで下る。笹に埋もれた溝道は、来るたびに深く広がっている感じで、やがて二次林が覆ってくると七人山コル(鞍部)に出る。ここを右折してクラ谷へ下る前に、七人山を往復してみる。道はないがほぼ一直線に高所へ登ると数分で山頂に着く。雰囲気の良い二次林は雨乞岳と一味違う趣がある。山頂から戻らずにクラ谷の途中へ下る尾根筋もあるが、コルへ戻って谷へ下ると、すぐに水流のある谷沿いとなって、左右の踏み跡を下っていく。少し地形が複雑になる所で、クラ谷から沢谷方向へ高巻きしながら移るが、この途中の崩壊地を巻く所は、道続きの崩壊地へ入り込まぬよう注意する。
沢谷とコクイ谷の分岐を過ぎると穏やかな地形になり、御在所岳へ登る郡界尾根を過ぎると、笹の深い山腹のトラバースが続く。途中には道が崩壊して上を巻く所もあるが、植林に入って分岐を右折して、トンネル西の置き車のある駐車場に着く。
【参考ルート】
地図の下部中間に記した「尾根乗越」から東雨乞に向かって郡界尾根(1点鎖線)が通っているが(沢谷峠を通過)、この尾根は紹介ルート(谷道)より安全に歩ける。ただし山頂付近が複雑で解かりにくい。
【アプローチ】
□車・湯の山分岐から武平峠12・1キロで下山口(駐車場B)。その先3・5キロで雨乞岳登山口。■交通・近鉄湯の山線湯の山温泉から湯の山バス停、徒歩90分(タクシー利用)
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