五十名山 藤切谷から西稜線〔滋賀県東近江市〕 8A 雨乞岳(あまごいだけ)本峰1238m 鈴鹿山地第二の高峰。山越古道を歩く |
東雨乞岳(雨乞岳本峰より)
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御在所岳西稜線上の山で、標高は鈴鹿山地第二の高峰。竜ヶ岳に似た笹原の山頂部に三つの分蜂がある。鈴鹿スカイラインの北西山域を占め山裾の北側に中世戦国期から続く古道、南側には国道の舗装路が通る対称的な道筋を持った山。
千草越と呼ばれた山越古道の一つが、東近江市の甲津畑から根の平峠を越えて朝明渓谷へ通じている。中世戦国期から歴史上に登場したこの街道も、今は細々と山仕事や登山者が通るのみであるが、甲津畑から切谷と杉峠を経て雨乞岳へ登り、帰路は西稜線から大峠に出てツルベ谷を戻ると、古道の面影を偲び、雄大な清水頭周辺の景観を堪能する鈴鹿山地有数の充実したコースになる。ただし長丁場に加えて、荒れた谷筋や踏み跡の薄い尾根筋もあって、慣れた人向きの難コースである。
走ると送電線を潜った先で、橋を渡って林道はさらに延びているが、橋脇の広い路肩に駐車して歩き始める。少し戻って「林道岩ヶ谷線」の標識が立つ細い林道に入ると、ここから杉峠へ向かう千草道になる。
●蓮如上人旧跡などの遺構も
一部で路肩が崩壊する地道を注意して歩き、桜地蔵の祠を過ぎた先で、手摺のない鉄橋を渡ると、林道が終わって岩屑の多い山道になる。岩ガレや朽ちた丸太橋の荒れた古道も、二次林が豊富でルートは解りやすい。なお、この道は織田信長が通行中に狙撃されたことで知られ、林道の途中に狙撃者「杉谷善住坊「かくれ岩」がある(178頁参照)。
帰路で戻るツルベ谷分岐を過ぎると、蓮如上人旧跡、大シデの木、向山鉱山跡、窯跡などの遺構が続き、谷を離れて山を登ると、幹の曲がった老杉が目印の杉峠に出る。
八風街道や日野方面から甲津畑へ向かい、山道が十字に交差する峠から、東へ下る古集落の手前で左折して林道へ入る。装路を道を離れ、笹の斜面を急登して展望の開く尾根に出て、深い笹藪下の溝道を抜けると、池の右手から雨乞岳に着く。
帰路は山頂から西へ下る稜線をとり、笹を分けて南から回り込むと、枝道と合流して展望の開く低い笹尾根に出る。緩く下って登り返した所が南雨乞で、右折して西へ下ると、尾根端と灌木の間に切り開き道が続き、尾根が拡がって展望が開く快適な稜線道を、低い丘状のピークに登って清水頭に着く。
四周好展望の山頂から笹の切り開きへ入り、灌木帯に沿って右折すると、植林と二次林に挟まれた稜線が、次第に拡がって踏み跡が薄くなる。西から北へ向きを変える所は、地形が複雑になるのでテープ目印を見失わずに歩くと、再び明瞭な稜線になり、シャクナゲが群生するヤセ尾根から、大岩を越えて山腹を急降下すると、標識を幾つも付けた大峠に着
急登に変わる稜線を離れ、踏み跡のない
ツルベ谷の谷芯に向かって下る。谷筋に出た後も、谷中の岩を踏み両岸の踏み跡を探しながら下降し、最後に右岸へ渡って土手を越えると、植林下の往路で歩いた分岐に出て、さらに一時間ほどかけて駐車地へ戻る。
【アプローチ】
□車・八日市分岐から大安分岐へ5・3キロ、分岐Eから8・1キロで登山口(甲津畑から林道)。
■交通・東近江市永源寺支所バス停からタクシー利用。
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