五十名山

三つ口谷から武平峠道〔三重県菰野町〕

7A 鎌ヶ岳(かまがたけ)1161m

鈴鹿の槍ヶ岳。最短周回コース

鎌ヶ岳(御在所岳陽台より)
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登山口→山道→下山口
難易度 C B
安全度 C C
体力度 C B
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「鈴鹿の槍ヶ岳」と呼ばれ、どこからもよく目立つアルペンムードの山容で、武平峠を挟んで御在所岳と登山人気を二分している。四周から変化に富んだ登山道は多いが、山頂北面は来るたびに崩壊が進んでいるようだ。

湯の山と鈴鹿スカイラインを挟んで、御在所岳と対峙する鎌ヶ岳は、そのアルペン的な風貌で、登山人気の高さでは御在所岳にひけを取らない。人気の要因は、登行欲の湧く山容・高度・景観の良さに加えて、整備された登山道が多く、車でアプローチすれば、手ごろな時間で往復や周回できるルートがまさに四道八達で、中でも三つ口谷から武平峠の周回は、スカイライン沿いの駐車地から歩けば間違いなく最短コース。ただし武平峠の尾根筋は、崩壊の度合いが早く、来るたびに掘れた溝道が増えているので要注意である。

武平トンネル東の公共駐車場から歩き始める。往路にとる三つ口谷は「歩行者道路」の標識が立つ脇から、笹を分けて谷沿い道に出て、緩く下りながら湯の山方向へ戻る。幾度支谷を渡ると、石鳥居の立つ御在所岳表道登山道口に出て、その先の堰堤ダム沿いで、周囲を伐採したり階段を付けて、整備された三つ口谷入口の分岐に着く。

以前は本流の谷を渡って小尾根を越えたが、この付近も整備されて堰堤ダムの脇からすぐに谷沿いになり、岩壁の巻き道から堰堤の上流に出ると、ようやく落ち着いた谷沿いの山道になる。

●岩ガレ鎖場を急降下

その先で滝道と一般道を分ける分岐があり、滝を見学後にどちらへ戻っても良いが、滝道は木の根をつかんで登る山腹の急登で緊張する。一般道と合流して再び山腹を急登した先で分岐に出て、谷道はさらに続くがコースの重複を避けて、笹道を登って左手の長石尾根から山頂に向かう。尾根に出ると笹を切り開いた明瞭な踏み跡が尾根から山腹に続き、展望の開くガレ脇の通過も多い。最後に笹の間を一直線に登ると鎌ヶ岳の山頂に飛び出る。三十名も立つと満席になりそうな、南北に細長い山頂部は、中ほどに「伊勢皇太神宮」の祠が建ち、北と南の両端には、どちらも迫力のある中部鈴鹿の景観が拡がっている。帰路は県境稜線から武平峠へ下る道をとり、山名札を付けた岩塊の北へ出ると、いきなり岩ガレ場となって、岩の間を鎖や固定ロープを頼りに急降下する。その先も崩壊したガレ地が、三つ口谷の分岐付近まで続き、そこを過ぎるとようやく両側が笹と灌木の山道になる。それでも深く掘れた溝道やガレ脇の通過や大岩を抜けたりまたいだりする所もあって、緊張しながら下るうちに、山道が交差して案内板の立つ武平峠に出る。

右折して岩溝を下るとトンネル近くの車道に出たあとは、駐車場まで車道を歩くと早いが、車道を潜って鉄の階段を登ると、往路で歩いた谷沿い道から駐車場へ戻ることもできる。なお駐車地はコース沿いの車道にも何カ所かあるので利用してもよい。

【アプローチ】

□車・湯の山分岐から武平峠へ112キロ、トンネル東に公共駐車場がある。三つ口谷入口付近にも山道に接続している駐車地がある。

■交通・近鉄湯の山線湯の山温泉駅から湯の山バス停へ。温泉街を抜けて三つ口谷入口まで徒歩約50分。