五十名山

庵座谷から羽鳥峰峠道〔三重県三重郡菰野町〕

5 釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)1092m

往路は長丁場で岩溝と急登の難コース

釈迦ヶ岳(南県境稜線より)
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登山口→山道→下山口
難易度 C B
安全度 D C
体力度 C B
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竜ヶ岳と御在所岳の中ほどで、釈迦の寝姿からその名がついた、という解釈も頷ける堂々として存在感のある山。山域が広いので登山道も多いが、県境稜線以外は長丁場で厳しく山慣れた人向き。

県境稜線上の、北の八風峠から南の羽鳥峰峠までの長い山域を持つ釈迦ヶ岳は、鈴鹿山地有数の巨岳である。ただ人里が遠く開発されにくい地勢のためか、一般向きの登山道は朝明渓谷から限定されて数は少ない。

紹介する庵座谷から登って南の県境稜線を朝明へ下る周回は、その数少ない代表コースの一つであるが、踏み跡が明瞭で解りやすい県境稜線に比べて、庵座谷は岩ガレの急登が多く、迷いやすい所もあって相当な難コースである。ただし谷途中の「庵座の滝」は、鈴鹿有数の名瀑で一見の価値がある。

朝期ヒュッテ前の駐車場に隣接するバス停から道標の立つ山道へ入る。この道は固定ロープや鉄梯子で、強引に道を付けたバンガロー村への近道で、庵座谷を渡って右からの舗装路と合流し、橋を渡ってキャンプ地を抜け、道標の立つ所で渡渉して左岸へ移る。

●見どころは庵座の滝

しばらくは谷沿いの高巻き道になるが、踏み跡の薄い岩道を、テープ目印に注意して登り、低い尾根に出た所が小峠で、正面に庵座の滝が見えてくる。さらに固定ロープを頼りに、ガレた岩肌を横切りながら谷へ下り、谷沿いを進んで「庵座の滝」に着く。

滝を鑑賞後少し戻り、谷へ下りたすぐ手前の岩ガレ溝を登って山道に出る。滝を高巻きした後再び谷へ下り、谷中の遡行から細い滝を避けて左手の岩ガレを登り、谷へ戻ってパイプ製の古い堰堤を左から越える。やがて谷幅が細くなり「落石注意」の標識から谷を離れて右手の山道へ入る。ロープのある掘れた山腹道は、急登になって大ガレの左に沿って登り、展望の開く岩上に出た後、もう一度灌木下の溝道を急登して、広い裸地に展望の拡がる松尾尾根頭に出る。

さらに北へ踏み跡が続き、県境稜線の分岐の先で釈迦ヶ岳山頂に着く。なお庵座谷の登山道は、踏み跡の消える岩道が多いので、テーブ目印を参考に、慎重にルート読みする必要がある。

東の展望が開く狭い切り開きの山頂から、少し戻って分岐を右折し、南の県境稜線を帰路にとる。往路の谷道から一変して、笹と樹林の下に明瞭な踏み跡が続き、ガレ脇に出ると東方の展望が開く快適な登山道になる。ピークを一つ越えて登り返した所が猫岳で、猫岩と称される大岩が山頂を占めている。猫岳の先も、笹が切り開かれて歩きやすい樹林帯を、アップダウンしながら下るうちに、白滝谷道の分岐に出て、すぐに砂礫場の羽鳥峰から広々とした羽島峰峠に着く。

ここで県境稜線を離れて、岩道を下って林道に出て駐車場に戻る。なお駐車場から伊勢谷小屋の間は、拡幅整備されて広くなった。

【アプローチ】

□車・湯の山分岐から大安分岐へ22キロ。分岐Cから6.9キロで登山口の朝明駐車場。

■交通・近鉄湯の山線菰野駅から朝明ヒュッテバス停。【その他の登山道】

◆朝明水無から松尾尾根

分岐Cから51キロ登山口(バス停から徒歩5)