五十名山

中道から表道(石榑峠)〔三重県いなべ市〕

4 竜ヶ岳(りゅうがだけ)1099m

花崗岩質の山肌をひたすら登る

竜ヶ岳(左側の尾根が中道)
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登山口→山道→下山口
難易度 C B
安全度 C C
体力度 C B
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樹木のない笹原の山頂部は、閉塞感のある谷や尾根を抜けた後だけに、開放感が湧き充足感も強い。竜ヶ岳も霊仙山と同様に笹原の山頂部で、登山道はしっかりしている。ただしどのルートも長丁場で厳しいが、山麓の宇賀渓・砂山遊歩道が周回路に利用できる。

藤原岳と並んで鈴鹿北部を代表する竜ヶ岳。笹に覆われたドーム状の山頂で、北端の霊仙山と好一対とされるが、石灰岩も草花もない花崗岩質の山肌を、笹に埋もれてひたすら登り詰める男性的な山である。ただし白ヤシオなどの樹木は多く点在している。

竜ヶ岳の一般登山道は、宇賀渓口を起点として三通りあるが、山深いのでいずれも長丁場になる。ただし車を利用すれば短時間でも歩けるが、県境の石榑峠から表道を往復するのは面白みに欠ける。そこで石榑峠に近い小峠から、中道と表道を周回で歩いた。それでも随分と短時間になるし見どころも多い。

国道から宇賀渓に向かい、宇賀渓口からさらに石榑峠方向へ、傾斜のきつい車道をジグザグと走り、道の両側に交通規制の大石を置いた手前が小峠で、空き地に駐車して歩き始める。コースは中道を登って表道を下り、石榑峠から駐車地へ戻る周回で「砂山・長尾流」の道標から山道へ入る。細い流れに出て谷沿いを歩き、堰堤を越えて砂山分岐を過ぎ、渡渉して鉄梯子を下った所で長尾滝に着く。滝下で飛瀑を鑑賞して右から左へ移ると、すぐに支流のヨコ谷に出て中道に折れる。左岸沿いの道は一部が不明瞭で、二カ所の堰堤壁に埋めた鉄梯子で越えたり、固定ロープ岩壁を登る所もあってやさしい道とは言えないが、テープ目印も多く谷を離れずに遡行するうちに、土石流で埋まった先で道標に従って谷を離れる。

●笹原越しに開く大展望の山頂

山腹から尾根に移ると、急登になるがよく踏まれた道は解りやすくなる。やがて傾斜が緩んでくると展望が開き、二次林を抜けた所から樹木が途絶えて茫洋とした笹原の道を一登りすると、周囲の笹を伐採して広々とした好展望の裸地に、山座同定の座標盤もあって過ごしやすく整備された竜ヶ岳山頂に着く。帰路は石榑峠へ下る表道をとって笹の切り開きへ入る。南西に開く展望を眺めながら、県境稜線を快適に歩くうちに、山頂部から灌木下の急降下に変わって「重ね岩」に出る。鈴鹿中部の山並みと、その間を縫う国道を一望しながら、山腹を直角に曲がって尾根に出ると、人に踏まれ雨水に流されるのか、来るたびに路面の溝道が深く鋭角に掘れているのが分かる。溝道と笹道を交互に下りながら、最後に岩ガレを鎖で下り、ザレた尾根を越えると、国道の通る石榑峠に着く。

県境稜線は正面の電波塔方向へ続くが、左折して細い車道を下って小峠の駐車地へ戻る。なお小峠から宇賀渓口へ歩くときは、旧道の通る熊谷、好展望の砂山、渓谷沿いの宇賀溪の三通りあるが一長一短と思う。

【アプローチ】

□車・大安分岐から92キロで小峠登山口。

交通・三岐鉄道大安駅から宇賀渓口バス停。遊歩道コースで中道へ歩く(バスは期間限定に注意)。【その他の登山道】

宇賀渓口からホタガ谷道

宇賀渓口から遊歩道を歩き林道終点で登山口。