五十名山

大貝戸道から聖宝寺道〔三重県いなべ市〕

3A 藤原岳(ふじわらだけ)展望丘1140m

人気の花の百名山。袴腰三角点を付記

展望丘(藤原山荘より)
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登山口→山道→下山口
難易度 B B
安全度 B B
体力度 B B
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花の百名山で知られる鈴鹿北部の名山。西藤原駅の近くに登山口があり、交通機関に鈴鹿で最も恵まれた山で、春の開花期は特に登山者で賑わう。また冬期は豊富な積雪量で雪山も楽しめる。ただし鉱山掘削の影響か、主要ルートで土石流が多く、道筋が変化しやすいので要注意。坂本谷は現在も入山禁止中。

鈴鹿北部の名峰藤原岳も、三重県側から眺めると山肌が痛々しく掘削され、山裾に近づくと、鉱山会社の建屋や煙突が林立して、一大工業地帯の錯覚すら覚える。それでも花の百名山で知られ、駅に直結する登山道もあってハイカー人気は高く、大貝戸道と聖宝寺道の周回や、藤原山荘から展望丘や天狗岩の往復は、鈴鹿の案内書では必ず紹介されている。本書でも藤原岳を二つのコースに分けて、初めは基本コースの大貝戸から聖宝寺を周回する南部編。藤原山荘から展望丘を巡り、それに鉱山採掘に浸食されて「風前の灯火」の感がする袴腰三角点ルートを加えた。

西藤原駅から北へ出た交差点(藤井電器)大戸登山道に向かうと、土石流で荒れた谷は改修されて堰堤が並び、公共駐車場、登山者休憩所、駅への近道など、登山口周辺は様変わりになった。

舗装路から鳥居を潜って山道に入ると、迷いようのない広く良い道が、聖宝寺道と合流する8合目まで続き、その先は灌木帯に変わる山腹のジグザグ道で、よく踏まれて早春の雪解けころは、ぬかるんで歩きにくくなるが福寿草などの花も道脇に多く、やがて笹と石灰岩が増えるとほどなく藤原山荘に着く。いつも登山者で賑わう山荘前広場で一息入れた後、道標を確かめて展望丘に向かうと、背の高い笹原に切り開き道が通り、鞍部から緩く登って展望丘に着く。石灰岩を積み重ねた山頂から、雄大な景観が拡がっている。

●傾斜のきつい聖宝寺道は慎重に

帰路は来た道を戻って藤原山荘から8合目へ下り、往路を分けて聖宝寺道へ入る。土石流で荒れた谷沿いを巻く山腹道は、ロープで囲ったり階段を付けて道は整備されている。坂本谷の支流を離れて鳴谷側へ下ると、植林下になって谷へ出たり山腹を高巻いたりする道は、明瞭ながら傾斜がきつく大貝戸道より歩きにくい。

水場(長命水)を過ぎると林道になって聖宝寺に下り、整備された遊歩道から鳴谷神社横に出る。鳥居の前を右折すると、地道の遊歩道が車道沿いにあって、大貝戸の駐車場や西藤原駅に行ける。

【袴腰(三角点・点標名)

藤原岳に二つある三角点の一つで、藤原山荘の南東で採掘地近くにある。山荘から展望丘に行く途中で、道が曲がって下る所で樹林下の尾根筋へ直進すると、笹原に薄い踏み跡が続くが、低いピークを過ぎると尾根も踏み跡も消えて笹原の斜面になる。笹を分けて下ると地形図にもない造成道に出て、採掘場の真上に出た所で、雨量観測所の右から小さい茂みへ登ると三角点に着く。眼下に大展望が開いている。帰路は来た道を戻る。西方の展望丘へ笹を分けて直登もできる。

【アプローチ】

□車・桑名分岐から約35キロで大貝戸登山口。公共駐車場と休憩所ある。

■交通・三岐鉄道西藤原駅から徒歩10分で登山口。