五十名山

西南尾根から北尾根(滋賀県甲賀市〕

42 サクラグチ918m

野洲川ダム南の主峰。存在感のある山

サクラグチ本峰()と西峰
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登山口→山道→下山口
難易度 B C
安全度 B C
体力度 B D
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湯の山から県境の武平峠を越える鈴鹿スカイラインは、御在所岳、鎌ヶ岳、雨乞岳、そしてサクラグチの山裾を縫いながら大河原へ下っている。列記した四山の中で、サクラグチだけは整備された登山道も無く、知名度も人気度も低いが、男性的な山容と野洲川とウグイ川を分ける山域の大きさで、野洲川以南では群を抜く存在感を持った山である。

サクラグチのように山域が大きいのに一般向きの登山道が無い山は、最善のコースを紹介するのが難しい。例えば地形図に破線のある西の鮎河から東の猪足谷林道やウグイ川への縦走は長丁場になるし、三角点峰だけの往復も単調になる。と言ってすべての尾根を歩いて確かめるのも限度がある。そこで短時間で歩けそうな周回として、下山口に置き車をして野洲川ダム口から西南の尾根に出て、三角点から北尾根を戻るコース設定で歩いた。野洲川ダムが始まる少し東の、深山橋近くへ置き車の後、東へ移動してダム堰堤の駐車場から歩き始める。少し西の金網が立つ左から山へ入り、土手を越えて左手へ寄り、谷縁へ出た所から枝打ちされた明るい植林下を高所に向かう。山腹の踏み跡は最初から急登になるが、尾根に変わると鹿除ネット沿いになって解りやすくなる。

●ガレを過ぎると遊歩道風の尾根

ネットが途切れると雑木と植林の境となり、再びネット沿いになった所で、二次林下から主尾根に出て、左折するとすぐに展望の拡がるガレ脇に着く。ガレを過ぎると二次林が覆う遊歩道風の快適な尾根歩きになる。

広い尾根が狭まり、樹林のトンネル状を抜けたピークから鞍部に下ると、次の登りは尾根が拡がって山腹に変わり、踏み跡も消えてしまうので、両側の密生した樹林を避けて、疎林を選んで高所へ登ると「西峰」の名札があるピークに出て、もう一度下り植林に変わった尾根を緩く登ると、三角点峰のサクラグチに着く。

山頂から東へ、尾根は横谷山と能登ヶ峰へ続くU字状の稜線となって延びているが、北の尾根を帰路にとって植林下を下る。急降下が緩むとネットが現れ、雑木とネットに挟まれた細道を藪を分けて下ると、尾根が拡がり地形が少し複雑になるが、薄い踏み跡とテープ目印に注意して、谷地の前で右へ回り込むと再び明瞭な尾根になる。尾根はすぐにヤセ岩尾根になり、岩を越えてピークに出ると、祠のあった石組だけが残り、往時の信仰の跡をかすかに留めている。

岩尾根を急降下して再びネット沿いになった途中で、山腹へ下って左の尾根に踏み跡とテープに注意して移り、尾根の突端から左へ折れた岩壁の間を最後の難所はテープ目印と誘導ロープに従って慎重に下り、交差する古い踏み跡にも注意して、岩場を抜けて尾根に戻ると、わずかに下って尾根末端の左から、置き車した深山橋西の車道に出る。

【アプローチ】

□車・大河原分岐から武平峠へ1.0キロで登山口。交通JR草津線甲賀駅から大河原バス停、徒歩10分。

【その他の登山道】

◇猪足谷林道から東稜線(横谷山から稜線)

◇能登ヶ峰から東稜線(横谷山で合流)

鮎河林道から南西尾根(本書のコースに合流)