五十名山

宮の谷林道から黄和田巡視路(滋賀県東近江市〕

35(だけ)781m

愛知川沿いの信仰篤い山

(黄和田より鉄塔越しの遠景)
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登山口→山道→下山口
難易度 C C
安全度 B B
体力度 C B
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御池川と茶屋川を隔てる長い稜線が、御池岳の南から愛知川沿いの黄和田集落まで延びている。稜線上には旭山などの秀峰もあるが、この山域を代表するのが南端の山「岳」で八風街道筋に堂々とした山容でそびえ、山麓黄和田集落の信仰篤い山でもある。

御池川と茶屋川を隔てる長い尾根が御池岳の南から愛知川沿いの黄和田集落まで延び、稜線上には二本の送電線が通じてその鉄塔が林立し、整備された巡視路も造成されている。一方御池川沿いには、政所や君ヶ畑などの古い歴史を持った集落があり、尾根を越えて近江と伊勢を結んだ峠路も、今もかすかに面影を留めている。そのような新旧混交した山域から、五十名山に選んだ岳も同じ奥永源寺周辺の日本コバや天狗堂と比べると、知名度も登山人気も低いが迫力十分の山容で、山麓の黄和田集落で「嶽御池雨乞山」として畏敬され、信仰篤い山であったことも頷ける。

今回のコースは政所の宮の谷林道から黄和田へ下る巡視路利用の周回で、国道(八風街道)から集落道へ入り、政所小学校を過ぎて家並みが途絶えた所で宮の谷林道に入る。なお駐車地は林道入口に数台分あり、車が多いときは林道内の空き地が利用できる。

谷沿いの道をしばらく歩くと分岐に出るが、左は山の神峠に通じる道で、本来なら由緒ある峠から周回したかったが、数年前に歩いたとき、谷沿い道が崩壊や倒木で廃道状態だったので諦めて右の林道へ入る。ここの分岐から巡視路表示(鉄塔番号)が現れ、要所ごとに道案内してくれるので解りやすくなる。傾斜がきつくなり小石で荒れた林道が堰堤の前で終点となり、谷沿いの山道から尾根に登って最初の鉄塔下に出て、その先で巡視路の交差する稜線分岐に着く。

●信仰の池をしのばせるヌタ場

右折して岳へ向かうと、植林下の尾根に歩きやすい巡視路が続き、アップダウンしながら好展望の鉄塔に三度出て、その先の分岐で黄和田へ下る巡視路を離れ、直進して尾根を登る。なおここまでは明瞭な巡視路で迷うこともないが、コースを外れると鉄塔と巡視路でない尾根に注意する。岳へ直進する尾根に入ると、道は溝地に下って杉古木の前に出て、そこで尾根に登っても溝地を直進しても、高所へ登って三角点を埋めた岳の山頂に着く。木立で展望のない山頂から藪を分けて南へ出ると、二次林下の平坦地に信仰の池をしのばせるヌタ場がある。

帰路は来た道を戻り、鞍部の分岐から巡視路を下ると解りやすいが、戻らずに石灰岩の集まる尾根の突端に出て、北西に山腹を下る歩き方もある。道は無いので二次林下の急斜面を、方位を確かめながら慎重に下るうちに植林の尾根が現れ、鉄塔を二つ過ぎると稜線からの巡視路に合流する。山腹をジグザグと下って平坦地に着き、大杉と岩谷三社(山の神・天之分水神・稲荷大明神)を祀った祠の脇から黄和田集落に出る。その後集落の道を三十分ほど歩いて政所の駐車地へ戻る。

【アプローチ】

□車・永源寺ダム東の分岐Nから1.8キロで登山口(宮の谷林道口)

交通・東近江市永源寺支所から政所バス停、徒歩10分。

【その他の登山道】

◇黄和田から巡視路(稜線に出て右折)◇政所から山の神峠(荒れた谷道で難路)

◇箕川から東山尾根(旭山南の稜線に出る)