湯ノ山と宮妻峡に跨って、鎌ヶ岳の前衛峰の如くに、人里近くで立ちはだかる山が雲母峰である。南隣の入道ヶ岳より登山人気は低いが、四方から幾筋もの登山道が通じ、山裾を東海自然歩道も通っている。雲母峰の基本的なルートは、湯ノ山側の岳不動道と宮妻側の宮妻口道とされているが、車でアプローチするなら宮妻側がお勧めで、雲母峰に向かって爽快な田園地帯を走り、広い駐車地があって道も歩き易い。それに変化を持たせるなら、小林新道を組み合わせた周回も可能である。但し小林新道は「夏期山ビル多し」の看板があり、気になる人は盛夏の時期を避けた方が無難である。
国道から宮妻峡へ向かい、宮妻口バス停の先を右折し、宮妻荘の前で再び右折する。道は湯ノ山へ向かう東海自然歩道で、山沿いの舗装路を走り、雲母橋手前の広い空き地に駐車して歩き始める。案内板の左から分岐する林道も歩けるが、谷沿いに付いた地道の林道へ入り、山道になった所で左上の林道へ出る近道があり、右折するとすぐに、道標と山頂迄の距離表示のある登山口に出て山道へ入る。植林下の山腹には、ジグザグに切った道が続き、高度が上がって東の展望が開いてくると、単調な植林道が終わって明るい尾根に乗る。二次林下に変わった尾根道を急登し、左手が再び植林になる尾根沿いの巻き道から本尾根に出る。右折して緩く登ると、次第に木の根が違うヤセ尾根になるが、木立の間から鎌尾根方向が覗いてくる。ピークを過ぎると樹林の間の急降下になるが、正面に雲母2峰がドーム状の山容を現し、晩秋の頃は全山紅葉の見事な景観を見せてくれる。鞍部から山腹を急登し、平坦になって笹が深くなるとすぐに雲母2峰に出る。西方向に展望が開き、休憩に良い広い草地のある2峰山頂から、北西の鞍部へ降り、登り返すと十分程で雲母峰に着く。こちらは三角点を埋めた狭い空き地で、展望も優れないので、2峰へ戻る時はザックを置いて往復すればよい。
帰路は雲母峰から「少年自然の家・小林新道」の道標が立つ東の尾根へ入る。植林沿いに広い尾根を降り、平坦になるとすぐに、小林新道の道標を見て、右折して山腹へ降る。明瞭な踏み跡が次第に木の根や岩屑の多いヤセ尾根に変わり、尾根芯を巻く所もあるが、尾根を外さず降るうちに、突端に出て左折して谷地へ降る。この付近から古い作業道の様な岩屑の多い広い道になり、岳不動への分岐を右折すると、薄暗い植林下に入りジグザグと降るうちに、東海自然歩道の林道に出て、右折して駐車地迄一歩きする。