朝明から地獄谷と上水晶谷周回

23 御在所岳1212m

「鈴鹿の上高地」を加えて

上水晶谷(愛知川出合近くで)

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御在所岳の一般ルートは、いずれも湯ノ山側に集中していて、比較的短時間で歩けるうえに、いざとなればロープウエイもある。一通りのルートを歩き終り、バリエーションの領域となれば、北側から登る幾つかのルートもある。今回紹介する二つの谷筋もその一部で、地獄谷から三角点脇の望湖台へ登り、帰路は裏道登山道から国見峠へ出て、上水晶谷を降る周回コースである。但し御在所岳の北側へは、朝明渓谷から根の平峠へ出て、一度愛知川方向へ降ってから登り返すので、長丁場になり陽の短い季節は時間計画を慎重に行う必要がある。また時間に余裕のある時は、愛知川迄足を延ばし、右岸の二次林下を歩くのも面白い。周辺一帯を「鈴鹿の上高地」と呼んで、愛知川沿いの自然の変化を、四季折々に訪ねる人も多いようである。
朝明渓谷の駐車場から歩き始め、伊勢谷小屋を過ぎた先で分岐を左折し、渡渉して林道に入る。舗装路から地道に変わって荒れた林道を、幾度か渡渉して山道へ入り、岩を敷き詰めた涸れ沢道を急登して根の平峠に着く。峠から笹の切り開愛知川方向に降り、黄色の道標を下げた分岐を左折して、溝道を辿って広い谷へ出て左折すると、上水晶谷右岸の谷沿い道になる。少し高巻きの後谷へ近づき、谷淵を慎重にヘツルと、谷が拡がって道標のある分岐に出て、渡渉して地獄谷へ入る。同じ形状のガレ谷が並んでいて紛らわしいが、左の谷へ入って谷中の岩を踏み、踏み跡に沿って笹藪に入った後、崩壊した谷や溝地が並ぶ台地状に出る。一番左の谷へ寄りながら、源頭が消えた山腹を急登して、大岩の左から上に出た所が望湖台である。
四周に展望の拡がる望湖台から、三角点を回って遊歩道を歩き、裏道登山道から山道に入る。良く踏まれた登山道を降って国見峠に着き、湯ノ山へ降る道を離れ、広い空き地から笹を分けて上水晶谷へ入る。右手の溝に水が流れ始め、右岸に移ると谷沿いに明瞭な踏み跡が続いている。二次林に混じって背の低い杉が目立つ谷沿い道を降ると、谷は徐々に岩を増し、涼しげな木陰と音は、湯ノ山側の登山道と一味違った雰囲気がある。ほどなく地獄谷の分岐に出て、往路で歩いたルートをとって根の平峠から駐車場へ戻る。冒頭でも触れたが、時間に余裕のある時は、愛知川迄降って「鈴鹿の上高地」と呼ばれる右岸の二次林下を歩いて、根の平に戻るコースがお勧めである。道が無いので多少慣れた人向きであるが、左の愛知川と右の傾斜になる間は、何処でも快適に歩ける。