中道から一ノ谷新道

22 御在所岳1212m

展望の岩峰を歩く(菰野町)

中道の奇岩「負ばれ石」
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「鈴鹿の盟主」御在所岳は、その座に相応しい多くの名コースを兼ね備えている。わけても中道(中登山道)は、迫力のある岩峰歩きと、広大な展望に終始するまさに男性的なルートで、岩登りで名高い藤内壁のハイカー版である。但し中道を歩く場合は、雨天やガスの中では価値が半減するので、展望のきく晴天日が望ましいことは言う迄もない。今回のコース設定は、往路で中道を登り、帰路は一の谷新道を降って周回したが、裏道と比較した場合、距離が短いので所用時間がかなり少なく、それに中道と同じ登山口に戻れるので便利である。
湯ノ山温泉街を抜けて舗装路を最奥迄走り、行き止まりの駐車場から歩き始める。尚最近はスカイラインの料金場跡へ駐車する車も多いようである。車道へ出て左折し、二分程歩くと右手の谷沿いに中道登山道の標示が立っている。右折して山道へ入ると、最初から急登で砂質の溝道が続くが、岩の乗り越しには梯子や鎖が付いて整備されている。裏道へ出る分岐を過ぎ、ロープウエイの下を通り抜けると、大岩の間を縫う岩道になり、自然の造形に感心する「負ばれ石」や「地蔵岩」を過ぎると、鎌ヶ岳や雲母峰周辺の展望も開いてくる。岩尾根にはテープやペンキの目印があり、踏み跡を辿って岩峰の上に出る。頭上を行き交うゴンドラを見過ごし、鎖を使ってキレットに降った鞍部から再び登りに転じ、急登しながらロープや鎖に誘導され、展望の良い大岩の上に2回出た後、岩溝を登り階段を踏んで山頂部の遊歩道に出て、すぐ脇の富士見台や見晴台に立ち寄ってから、階段道を通って朝陽台広場に着く。
朝陽台広場から三角点の間は山上公園で、行楽客に混じって遊歩道や公園(水芭蕉池や山野草の新しい施設も出来た)を散策の後、レストラン左の「一ノ谷新道」の道標から山道へ入る。ロープを張った山腹を急降下し、大岩を左から巻くと、本谷と大黒岩の分岐に出る。中道程ではないが岩が増えてきて、高い岩が並恵比寿岩を右から回り込むと、緩やかに尾根が拡がってきて、この付近だけが少し解りにくくなる。薄い踏み跡とテープの目印に沿って、左へ回り込んで行くと明瞭な尾根筋になる。岩が減り変わって木の根が違うヤセ尾根になるが、展望の開く岩へ寄り道した後、急降下すると広く良い尾根道になり、松茸状の岩の先尾根を離れて山腹へ降ると、左手に堰堤や建物が見えてくる。そのまま降ると「御在所山の家」の裏に出て、回り込んで玄関の前から、階段と鉄橋を渡って出た所が中道の登山口である。