はじめに


-------------------------------------------------
-----------------------------------------------------------

健康維持のスポーツとして「山をハイキングする」という行動は、中高年者を主として、年を追うごとに愛好者が増加し、定着し、そして多様化していると思います。そのような健康的で経済的な過ごし方に、微力なりともお役に立てれば、との思いで、今般「地図で歩く鈴鹿の山~ハイキング100選」と題するガイドブックを、中日新聞社から、出版させて頂くことになりました。

ところで冒頭に「山歩きの多様化」について触れましたが、例えば山の会に参加しながら、時には気の合う仲間や、夫婦・家族連れで歩くといった「行動」の多様化があります。花の観賞や写真撮影に、また古い峠や廃村を訪ねるといった「目的」の多様化もあります。あるいは百名山や三角点巡り、また古里の低山に親しむといった「選択」の多様化もあります。そのような多様化の拡がりと共に、必要性の高まるのがガイドブックですが、本書で取り上げた「鈴鹿の山」は、東海から近畿に跨り、四周を国道や交通機関が取り巻く、日帰り山行には全国でも数少ない好条件の山域です。そしてこの山域を対象にして「安全で楽しく」歩けるハイキングコースの紹介が、上級者はもとより、とりわけ初級者・中級者の、多くの方々から望まれています。

勿論「鈴鹿の山」と銘打つからには、三百山をゆうに超える山とそのルートを、出来る限り多く紹介することが、鈴鹿を愛好し、四季を問わず頻繁に歩く方々への使命とも言えますが、複雑な道筋が入り組み、言ってみれば、総ての山がバリエーションルートのような鈴鹿のコースを、誰にでも解り易く、理解出来る「ガイドブック作り」が、大きな課題でもありました。そして、その解決策が「地図を見て歩く」ことで、それが本書の主題になりました。地図に示した歩く情報によって、アプローチが解る。登山口が解る。分岐の取り方が解る。道の消えた所をどう進むのか解る。見逃しやすい見所が解る。そして山を歩きながら、要所要所での判断や、現在地の確かめや、経過時間の書き込みが、地図で示したガイドブックだから出来ます。そして、山行に利用し易いように、見開き二頁に一コースの地図と文章を納めるスタイルとしました。

三百山を超える鈴鹿の山、と申しましたが、本書収録の山は百六十程で、まだまだ残る山々の紹介を目指して、山歩きを楽しみながら、取材と執筆を続けたいと思っています。

平成十五年八月 西内正弘