御池岳の山頂部には、古くから名の知れた池や、近年になって探索された多くの池がある。自然に溶け込んだ様々な池を、日本庭園を鑑賞する如くに味わえるのは、ハイカーにとって至福の時でもある。ただ二つの池を除くと、他は総て登山道から離れて、隠れた場所にある池ばかりで、総てを探し訪ね歩くことは、一般ハイカーには至難の技である。そこで本項では、池の数は十に限定されるが、易しく池巡りの出来る一日コースを紹介した。但し晴れて見通しの良い日に山行し、いざとなれば安全な登山道にエスケープ出来ることが条件である。
コグルミ谷からカタクリ峠に出て、右折して登山道に入る。右手から県境稜線が降ってきた所で、稜線の尾根に登って石灰岩が集中する所に出て、左下を覗くと最初の「幻池」が見える。幻池から南西へ山腹を降るとすぐに登山道に出て、右折して真の谷源流の涸れ沢を離れ、鈴北岳の道標脇を左折すると「道池」の前に出る。池の左から一般道を歩き、見晴らしの良い草原に出た所で、右手の低い尾根の前から、溝地を越えて灌木帯に入ると「北池」が現れる。入口が解りにくい時は、道沿いの「真の池」が見えた所で、戻っても一分とかからない。真の池を過ぎると、快適な草原の台地となり、道が鈴北岳に向かって右折する所で、道標を見て直進し、深い笹と灌木を分けて進むと「元池」に出る。池の後ろに出ると、池越しに丸山の展望が拡がっている。背の低い笹原に戻り、南西方向から西の尾根に入って傾斜が緩くなった所で窪地へ降り、登り返して尾根を越えると、「おはな池」がある。ここからは山頂部の西側を、急崖の淵に沿って南へ向かうが、登山道はないので崖を目印にして尾根に乗ると、ピークの「西ボタンプチ」と岩峰の「夕日のテラス」に着く。双方共に鈴鹿北西部の雄大な展望が拡がっている。岩峰から尾根を離れて南東へ山腹を降ると、窪地に「ひょうたん池」があり、そのまま進むと両側が尾根に挟まれ笹原の窪地に「丸池」がある。南へ出ると傾斜を増した山腹と、急崖の間の平な笹地になり、薄い踏み跡を辿って正面に現れた尾根を越えると「風池」が見える。もう一度尾根を越えると広々とした笹原に変わり、笹を分けて「天狗鼻」と「ボタンブチ」に着き、ここから登山道になる。少し歩いてテープの付いた分岐を右折し、小ピークを越えた先の窪地に最後の「幸助の池」がある。登山道に戻り、深い笹の切り開きから尾根に出て、カタクリ峠迄一歩きする。時間に余裕があれば最高点の「丸山」も近い。