毘沙門尾根から阿蘇谷尾根

3 三国岳894m

二次林と池の鑑賞(上石津町)

二次林に覆われた「ひょうたん池」
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三国岳の登山口がある上石津町の時山は、今でも幾つかの炭焼小屋が稼働中だけに、原木を供給する二次林が豊富で、阿蘇谷や谷等の谷筋から尾根筋まで、秋深くなると目を奪われる様な落葉樹の黄紅葉で、見応えのある里山歩きを提供してくれる。時山から三国岳へのルートは、阿蘇谷道が一般的によく歩かれているが、本項で紹介する毘沙門谷の東尾根から阿蘇谷西尾根の周回は、変則ルートと思えない程に、二次林に覆われた快適な尾根筋で、初心者でも安心出来る歩き易いコースである。
国道から時山へ向かい、阿蘇谷登山口の白い橋脇の駐車地から歩き始める。家並の続く集落を抜けて谷林道の分岐を過ぎると、地道に変わった道は次第に荒れてくる。造成中の道路が山手に離れた後、谷沿いを歩くとすぐに毘沙門谷の出合に着き、木橋を渡って谷沿いの踏み跡に入る。三分程歩き左手に「405」の黄色の番号札が立つ分岐で、谷を離れて階段の付いた巡視路を登ると、すぐに尾根の末端に出て鉄塔下に出る。鉄塔から先の尾根は、毘沙門谷に沿って、南東方向にほぼ一直線で緩く登りながら、「ダイラの頭」と呼ばれるピークで県境稜線と接続していて、幾つものピークを登降しながら、二次林下の広く歩き易い尾根を、踏み跡の薄い所は尾根芯を外さぬように、尾根が拡がる所は高所へ登り詰めて行くうちに、山腹に石灰岩が増えてきてダイラの頭に着く。ここからは県境稜線になり、三国岳に向かって木の枝を頼りの急降下となるが、最近は歩く人もいるようでテープ類が多い。鞍部の分岐で阿谷道と合流して、三国岳へ往復した後分岐迄戻り、往路を分けて阿蘇谷道をダイラへ降る。
二次林の拡がるダイラで、一息入れた後帰路を阿蘇谷の西尾根にとり、ダイラの頭方向へ溝地沿いに少し登り、傾斜のある山腹になる前に向きを変え、踏み跡は無いが、自由に何処でも歩ける平坦地を北へ向かって行く。この平坦地は鈴鹿山地ではまれに見る広さで、昔は炭焼きや鉱山で賑わったらしいが、幾つかの窯跡を除けば、今はその面影も無い。両側谷地や傾斜のある山腹を避けて歩くうちに、平坦地が狭くなり、左から尾根が近づいた所で尾根に登る。右折して緩く降ると、尾根が拡がって二重山稜になり、二次林の窪地の中に「ひょうたん池」と呼ばれる池がある。池から先へ出ると左に植林が現れ、尾根端の二次林との境を急降下すると、程なく林道風の広い谷道に出る。左折すると駐車地迄僅かな距離である。