鈴鹿北部の秀峰烏帽子岳へは、北の時山方面からよく歩かれているが、東へ降る県境稜線沿いの篠立や古田からも、幾つかの登路がある。稜線の中程には、篠立側から眺めると、迫力ある山容で聳える留孫岳もあって、古くから里山として歩かれている様である。本項のコースは、古田から登って篠立林道へ降る周回で、狗留孫岳迄は良く踏まれた登山道があり、その先から烏帽子岳迄は、巡視路に整備されて更に快適に歩ける。雰囲気の良い二次林と、御池岳方向の展望台が随所で開く、秀逸なコースである。
三重県北部の、古田と篠立の境にある立田小学校横の交差点から、集落道に入った所に神社があり、境内の空き地に車を置かせて貰って、歌碑の立つ右手から林道へ歩き始める。杉林を奥へ進み、分岐に出て簡易舗装路へ左折すると、すぐに地道に変わるが、そのまま歩くと広い道は谷の前で終わり、渡渉すると山道になる。テープを目印に明瞭な踏み跡を辿り、山腹から尾根に出ると、木の根を掴む急登になるが、傾斜が緩んでくるとすぐに県境稜線に出る。高所へ左折する前に右折すると、樹木が切れて烏帽子岳の展望が開くカヤトの草地がある。来た道を引き返し、分岐から植林端のヤセ尾根になった後、篠立へ降る分岐を右折すると、広い二次林の稜線になって狗留孫岳に着く。山頂が伐採されて反射板が立ち、御池岳方向の大展望が開いている。
展望台の伐採地から、左手に注意してテープの付いた踏み跡に入ると、稜線に入って明瞭な道筋になる。ここから烏帽子岳の山頂下迄は、送電線の巡視路に整備されて、傾斜部は階段が付き、急登もなく二次林下を快適に歩ける。鉄塔へ降る分岐を三箇所過ぎ、その次の分岐で、巡視路を離れて尾根に登る。歩く人が減った為か道が消えて解りにくいが、深い笹を分けると五分程で烏帽子岳(最高点)に出る。樹林に囲まれて展望はない。
帰路は西の稜線に降り、巡視路分岐を左折して、山頂下の分岐から来た道を戻る。通過する鉄塔分岐に注意し、狗留孫岳手前の三つ目の分岐を右折して篠立林道へ向かう。山腹から尾根になって鉄塔に着き、道標「篠立」の所から、その先の山腹へ巡視路の階段が降っている。山腹から尾根に戻り、窯跡の横で再び山腹へ降る所で、尾根を降るテープもあって少し解りにくいが、左に折れる巡視路(階段)を忠実に辿ると、谷沿いになってすぐに林道に出る。左折して長い林道を歩き、長楽寺に立ち寄った後、篠立の集落道から駐車地に戻る。