鎌ヶ岳と鎌尾根で繋ぐ展望コース

35 水沢岳 1029m(四日市市)

標高千メートルを超える鈴鹿南限の山

鎌尾根南端の水沢岳
歩行時間 : 4:30  
総時間  6:00  
山行調査日 11/8/9
難易 B  安全  C  体力  C  展望  C
地形図  伊船
問合先  四日市市役所
留意点  馬の背渡りの乗越しは慎重に、その手前のガレ場
      が唯一の展望台。
鎌ヶ岳から南へ張り出している鎌尾根の、尾根続きの先端で盛り上っている山が水沢岳(地形図では宮越山)である。遠くから眺めると鎌ヶ岳ばかりが目立って、水沢岳は存在感が薄く、しかも山頂には展望もなく、登山道は何をとっても難路が多い。従って水沢岳だけを目標に歩く人は稀で、鎌尾根から鎌ヶ岳へ登るルート上の山として歩かれるケースが殆どである。しかし南の入道ヶ岳や高円山から眺める水沢岳は、鎌ヶ岳にも遜色のない程の迫力で、武骨な山塊を堂々と横たえている。しかも鈴鹿で千メートルを越える南限の山でもあり、例え鎌ヶ岳への通過だけであっても、一度は歩いておきたい山である。
水沢岳の登山道では、宮妻峡から水沢岳に出て北へ直登するのが基本ルートで、国道から宮妻峡へ向い、宮口のバス停から更に3キロ程走った宮妻キャンプ場脇の駐車場から歩き始める(バス停から歩くと往復2時間程のアプローチが必要である)駐車場から林道が西へ続いていて、鎌ヶ岳登山口(カズラ谷道)を右に分けた後、地道と簡易舗装路が交互に現われる曲りくねった道を、内部川の深い沢音を左手に聞きながら、石橋を3回渡った後、林道が左へ大きく曲る所で、右脇に立てた『水沢岳登山道入口』の道標(焚びの学会と付記された銘板)を見て山道へ入る。身をかがめ樹林を潜ると、すぐに細い沢沿い(涸れ沢の時が多い)となり、明瞭な踏み跡が雑木や植林の下に続いて歩き易いが、沢を高巻く間で、幾度も山手から落ちてくる小沢や涸れ沢を渡る時に、踏み跡がきれて、その先の踏み跡が判別しにくくなるので、沢に入らない様に注意する。ロープを張った崩壊地を横切り、支沢を渡って左へ折れ、植林下を急登して進むと、倒木や崩壊で踏み跡が不明瞭になるが、その先の踏み跡へ出ると、すぐに沢沿いになった後、涌水の落ちる岩壁の前に出る。谷がV字状に挟まり、岩壁の間から沢の源頭部がゴーロ状になって登っている所で、沢を直登せずに、左折して崩壊地を急登して巻道に出て、崖淵の巻道を抜けて、雑木の絡んだ岩道を登り詰めると、大きな標識の立つ水沢峠に出る。
水沢峠は県境稜線の交差点で、南は宮指路岳に向い、西は元越谷林道から大河原に続いている。西へ降りたすぐ近くに水場もあり、峠で一息入れた後、北の水沢岳に向って登り始める。すぐ先で上に走るガレた溝があって紛らわしいが、左の潅木下についた踏み跡を、木の根を掴んで急登するうちに、入道ヶ岳を中心にして、東西に展望の拡がるガレ場の上に出る。ヤセ尾根を過ぎると、今度は両側の切れ落ちた砂質のガレ場が現われる。『馬の背渡り』と言う表現通りに、手掛かりのない頂部を、足元だけを見て慎重に渡ると、背の高い笹が出始め、程なく小さな空地の水沢岳山頂に着く。山頂は笹に囲まれて展望もなく狭いが、1分程北へ歩くと突端に出て、鎌ヶ岳の展望が開く休憩に良い場所がある。鎌ヶ岳へはその先から急降下となる踏み跡が続いているが、水沢岳から帰路につく時は、来た道を忠実に辿って駐車場へ戻る。往路で触れた踏み跡の途切れる涸れ沢の渡渉は、帰路は見る角度が変るので注意する。尚コースに変化を持たせるなら、水沢峠から県境稜線を入道ヶ岳方向に歩き、磐座尾根に入った鞍部から奥の谷を降っても、登山口近くの林道に戻れる。