[1]庵座谷道県境縦走路(周回)

18 釈迦ヶ岳1092m(菰野町)

猫岳1058m(菰野町)

鈴鹿の山歩きを満喫する谷道から稜線の周回

ガレ地の拡がる釈迦ヶ岳南面

歩行時間  5:20  
総時間  7:00  
山行調査日 11/12/8
難易 B  安全  C  体力  C  展望  A
地形図  御在所山
問合先  菰野町役場
留意点  基本コースだが谷道は荒れている。6月のドウダ
      ンツツジが見所。
鈴鹿山脈中部を東方から眺めると、御在所岳と竜ヶ岳のほぼ中間で、一際大きく複雑な山容を見せているのが釈迦ヶ岳である『釈迦の寝姿に似ているから』と言う山名の由来をよく耳にするが、南北から緩やかに高度を上げ、釈迦ヶ岳で頭となる県境稜線のイメージが、『釈迦入寂の図(寝釈迦)』と重なるからであろうか。鈴鹿山脈の長い稜線を占める釈迦ヶ岳は、登山道も数多く拓かれているが、基本的なルートで人気の高いのが、庵座谷と県境稜線の周回コースである。かなりの長丁場と、緊張の強いられるガレ道もあるが、テープの目印は十分過ぎる程あり、県境稜線の笹薮も切開かれて、以前より随分と歩き易くなった。
国道306号から朝明渓谷に入り、朝明ヒュッテ前の駐車場に車を置いて歩き始める。往路に庵座谷道をとり、バス停の左から道標を見て山道に入る。固定ロープの付いた土手と崖を乗り越え、鉄梯子を降って沢を渡ると、左の大きな堰堤の前舗装路に出る。道はすぐに橋を渡ってバンガロ村に入り、建物を過ぎた所で、右に寄って庵座谷の沢沿い道となる。少し沢中の岩を踏んだ後、テープを目印に谷を離れて岩道に入る。谷の左岸に付いた山腹道を高巻きしながら、固定ローブを頼りにガレ脇や涸れ沢を、緊張しながら登りきると小峠に出て、正面には庵座滝が見えてくる。峠の先から降りになり、岩壁を捕切りながら沢に着くと、眼の前に高度感のある庵座滝が、白い飛沫を散らしている。滝下に近寄って鑑賞した後、沢へ降りた横から岩ガレを登って山道に戻る。庵座滝を高巻きしてその先から沢に降りた後、少し沢中を岩を踏んで歩き、ゴーロ状の岩ガレが谷を含めて三股になる所に出る。中間のガレに入り、落石に注意しながら乗り越え、再び沢に戻ると、鉄パイプを組んだ古い堰堤に進路が塞がれる。左か乗り越えて上の河原に出ると、源頭が近くなったのか谷幅が狭まり『落石注意』の標識が立つ所から右折して谷を離れる。道はすぐに固定ローブと木の根を掴む急登となるが、低い潅木が疎らになり、空が開いて周囲の山並が頭を出してくる。左の草地と右手の巨大なガレの間を急登が続き、笹と潅木下の溝道に入ると、すぐに松尾尾根頭に出る。山頂部には広い裸地があり、樹木の上から東南方向に大展望が拡がっている。松尾尾根頭から北へ、笹と樹林の平坦な道を一歩きで釈迦ヶ岳に着く。こちらは東の一面だけ展望が開き、人程立つと満席になる狭さである。
帰路は少し戻った分岐を右折して、県境縦走路をとる。緩い降りの樹林帯を抜けると、密集した笹道に変るが、以前は笹の藪漕ぎに難渋した稜線歩きも、道脇の笹がきれいに切り開かれて、随分と歩き易くなった。笹が低くなると、朝明渓谷か伊勢平野の、東方の展望も開いてくる。少しの急登で猫岳を越えた後も、幾度もアップダウンを繰り返しながら、分岐のない一本道を徐々に降って行く。よく踏まれた溝道の笹が疎らになり、樹林帯に入るとすぐに、愛知川へ降る分岐に出る。直進して山腹を抜けると、砂ザレが富士形に盛り上がった羽鳥峰と、その先の羽鳥峰峠に着く。峠から岩の多い旧道を降り、沢沿いから林道に合流すると、荒れた地道が舗装路に変り、朝明川に沿った行楽地風の道を歩いて駐車場へ戻る。