[2]中道(ヨコ谷)~表道(石地峠)

12 竜ヶ岳1099m(大安町)

沢道から展望の峠道へ

笹原なびく竜ヶ岳山頂部
歩行時間  5:00 
総時間  7:00  
山行調査日 11/11/18
難易 B  安全  B  体力  C  展望  A
地形図 竜ヶ岳
問合先 大安町役場
留意点  ヨコ谷は鉄梯子あり高所恐㈲症者にはきつい。熊
      谷は歩き易い。
霊仙山や雨乞岳と同様に、樹木のないドーム状の山頂部に、爽快な笹原が拡がる竜ヶ岳は、三重県側から登る県境稜線上の山として人気が高い。竜ヶ岳の登山道も数多く拓かれているが、東麓の宇賀渓沿いに基本コースが集まっていて、前掲のホタガ谷道の他に、今回紹介する中道と表道も、山頂迄登山道が良く整備されている。但し岩壁や堰堤の乗り越しに、固定ロープや鎖や鉄梯子を使い、緊張を強いられる箇所も多い。
今回は往路に中道を登り、帰路に表道を降って石樽峠から小峠、そして熊谷から宇賀渓口に戻るコース設定で、宇賀渓駐車場から歩き始める。北河内橋を渡って林道に入り、終点を直進して橋を二つ渡り、宇賀川に沿った山道コースの遊歩道を歩く。五階滝の前で沢を渡り、少し先の分岐で中道の道標を確かめて右折し、ここから中道コースとなる。山腹の歩き易い平坦な道を暫く歩き、ガレ涸れ沢に出て左に降るとヨコ谷に着く。宇賀渓の長尾滝方向からも踏み跡があり、ここで合流して沢の遡行となる。但し遡行と言っても沢の中や水際の渡渉は無く、総て沢の左岸に沿った巻道と、連続する堰堤の乗越しである。まず最初の2つの堰堤は、側壁に埋め込んだ鉄梯子を垂直に登り、その先の堰堤は、固定ローブ等の付いた岩壁を乗り越え、上流の河原に降りて遡行していく。8つ目の堰堤に出ると、土石流が河原を埋めて前進不能となり、そこから右折して尾根に向う。ガレた岩場を横切って尾根に乗ると、踏み跡の明瞭な尾根道になるが、徐々に傾斜が増し、木の根を掴む急登になる。潅木帯の下を暫く登り、ロープで閉鎖したジャ谷道の分岐を過ぎた辺りから、空が拡がって展望が開けてくる。左の山腹に巨大なガレが覗き、右手には遠足尾根の稜線が見えてくる。山頂部に近くなり、道脇の低い笹が背丈を増してくると、細い雑木が消えて茫洋とした笹原になる。山頂迄一望出来る切開き道を登り詰めると、小広い空地に沢山の標識を立てた竜ヶ岳の山頂に着く。笹の頭越しに四周の展望が拡がり、とりわけ静ヶ岳から藤原岳の景観に迫力がある。
帰路は西の石榑峠に向って表道を降る。暫く平で遊歩道風の笹の切開き道が続き、前方に拡が深い山並みを眺めながら、歩調も緩みがちになるが、道脇左手の深いガレを過ぎると、細い踏み跡の急降下になる。笹の間に雑木が混じるよく踏まれた溝道を降るうちに、巨岩を積み重ねた『重岩』に出る。山合いを縫いながら、国道の白い曲線が湖東平野へ降る様子が、岩の周囲から俯瞰出来る。重ね岩の前で直角に左折すると、深く掘れた岩の溝道が、笹の切開きと交互に現われ、固定ロープの付いた岩壁を降ると砂質のザレ場に出る。風化したザレの頂部を慎重に通り抜け、鎖場の岩壁を降ると、再び溝道の急降下になった後、国道の通る石榑峠に着く。すぐ前には巨大な電波塔が建ち、その向うに県境稜線が三池岳方向へ延びている。駐車も出来る広い峠の空地で一息入れた後、車両制限のブロックを抜けて、国道を左折して小峠に向う。時々車が通る細い舗装道路を降るうちに、再び大きなブロックを抜けると小峠に着く。小峠から宇賀渓駐車場迄は幾通りかの道があるが、戻るだけなら、道が安定していて登りのない熊谷ルートが最も歩き易いようである。(熊谷・砂山・宇賀渓各コースは別途参照)