青川峡から宇賀渓へ 10 銚子岳 1019m(永源寺町) 静ヶ岳1088m(永源寺町) 治田鉱山の歴史を偲んで |
![]() 静ヶ岳(竜ヶ岳山頂より)
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歩行時間 6:10
総時間 8:30 山行調査日 10/12/17 難易 B 安全 B 体力 D 展望 C 地形図 竜ヶ岳 問合先 北勢町役場 留意点 治田鉱山を偲ぶコース。セキオノコバは好雰囲気 。山ビル多い。 |
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藤原岳と竜ヶ岳の中間で、県境縦走路から少し西へ寄った位置に、静ヶ岳と銚子岳が立並んでいる。三重県側の国道からは、余程注意していないと見過してしまうが、滋賀県側のノタノ坂と旭山を結ぶ尾根上の鉄塔から眺めると、両山共に存在感が増して、静ヶ岳などは『どちらが竜ヶ岳か』と疑う程の迫力である。静ヶ岳と銚子岳を三重県側から登る道の一つに、北勢町の新町から治田峠へ出る基本コースがあるが、両山を通して歩くのはかなりの長丁場で、陽の短い季節は早立が必要である。紹介したコースでは、静ヶ岳から宇賀渓へ降ったが、その場合は車を下山口にも置く事が条件になる。勿論静ヶ岳から来た道を往復しても良いし、時間的にも大差はなさそうである。
国道306号を「青川』の標示から西に折れ、新町から林道に入って5キロ程の、右手の広い空地に車を置いて歩き始める。すぐ先の『治田峠入口』の道標から右折して青川に降り、丸木橋を渡った後、暫くは渡渉しながらの沢沿い道となる。大きな堰堤の右から上に出ると、広河原と呼ばれる広々とした河原に出る。両側の山肌が切り立って聳え、鈴鹿では珍しくおおらかな峡谷風景を見せている。谷幅が狭まると程なく、岩塊を繰り抜いたトンネルが現われる[新町から治田峠、そして滋賀県の茨川から君ヶ畑に通じたこの道は、江戸から明治にかけて、銀や銅を採掘した冶田鉱山が栄え、数知れぬ人で賑いを極めたそうである。それも今では、廃鉱されて一世紀余の歳月が、人の営みを総て風化して自然に還し、往時を偲ぶよすがもないが、トンネルだけが自然に同化して、今も時たま訪れるハイカーや人に道を開けている・・」そんな感慨に耽りながら、沢道を離れて山道を暫く登ると、小さな祠の中尾地蔵に着く。地蔵堂の空地で一息入れた後、山腹の堀割道をジグザグに急登して息が切れ始める頃、藤原岳や銚子岳の展望が開ける明るい治田峠に出る。踏み跡の交差する県境の治田峠を左折して銚子岳に向と、笹が密生し両側に細い潅木が立並ぶ県境稜線特有の道となる。木立の上から右手に、大きく聳える銚子岳を見ながら登るうちに、石灰岩が点在して来ると程なく分岐の尾根に着き、右折して少し稜線を離れ、平坦な雑木の下を尾根伝いに歩くと、5分程で銚子岳山頂に着く。少し先の突端に出て、藤原岳と御池岳の景観を眺めた後、分岐迄戻り右折して県境稜線を静ヶ岳に向う。背の高い笹の溝道を急降下し、鞍部から登り降りを繰り返しながら、右手に競り上がる静ヶ岳の山腹が、通り過ぎる様に進むうちに、尾根が拡がってきて平坦な二次林に入る。この一帯は『セキオノコバ』と呼ばれ、雰囲気の良いたたずまいに、思わず足が止る。やがて右手に大きな池が現れるとすぐに分岐に出て、戻る様に右折して尾根の一本道を登ると静ヶ岳頂上に着く。木立の切れ間から南西方向が開けて、竜ヶ岳から綿向山の展望が雄大に拡がっている。山頂から分岐迄戻り、帰路を宇賀にとって竜ヶ岳登山道に向う。笹と潅木の踏み跡アップダウンしながら尾根道を歩き、尾根を左に少し降って、笹に埋もれた山腹道から尾根に戻ると同時に、平坦で広い竜ヶ岳登山道に出る。右折して笹原を降り、ホタガ谷の岩の多い沢道から宇賀渓の駐車場へ戻る。 |
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