[1]鞍掛峠道(往復)

3 三国岳 880m(藤原町)

伊勢・近江・美濃国境の名山

三国岳最高点峰(鞍掛峠尾根より)

歩行時間 3:30  
総時間 5:00 
山行調査日 10/10/6
難易 B 安全 B 体力 B 展望 D
地形図  篠立  
問合先  藤原町役場
留意点 本峰から三角点峰へは高低差が大 で、往復40分が意外
       にきつい。
 鈴鹿山地の北部は、三重県と滋賀県の間に、岐阜県がY字状に食い込んで県境を縁どり、その三県の交わる所が三国岳である。勿論三国岳の山名古くからあった筈なので、現在の県境がそのまま昔の伊勢・近江・美濃の国境だったと思われるが、南隣の鈴北岳から眺める三国岳は、霊仙山と御池岳の狭間で、どこか女性的な雰囲気を持って烏帽子岳と妍を競うかの様に、似た様な山容で立ち並んでいる。三国岳の登山道も数多く拓かれているが、北麓の時山の集落から、里人の生活道路でもあった阿蘇谷に沿って登る道が、最も基本的なコースとされている。しかし最近は車の利用が一般的となり、また国道が山裾を走る利便性もあって、南の鞍掛峠から登るケースが増えてきた。歩く人が増えて踏み跡が固まると、それ迄は『薮漕ぎがきつい。迷いやすい』とされた道も、やがてハイカーが楽に歩ける様になる。鞍掛峠と三国岳を結ぶコースも、その様にして歩き易くなった道の一つであろうか。
 東西から国道306号を鞍掛トンネルに近ずくと、入口の両側に駐車場と登山口がある。但し西から登る道は、鞍掛峠迄総て薄暗い植林の下である。暗さに拘ることもないが、トンネルを抜ける時間は僅かなので、歩くなら展望の良い東の三重県側から入りたい。駐車場からトンネル方向に歩き、すぐ右手に登山道の道標が立つ所から山道に入る。入ると同時に分岐があり、そこを左折すると山腹を巻く急登道となる。展望が良く歩く毎に国道の蛇行が遠ざかっていく。山腹から尾根に出た所が鞍掛峠で、西側から来る道や御池岳に向う道の合流点でもある。北に向かうと両側に雑木の密生した急登となり、鉄塔の右を過ぎると尾根が別れた三叉路に出る。左へ進む前に、時間が許せば『冷川バス停』と標示のある右の尾根を少し歩いてみたい。6分程行くと岩峰のピークから大展望が拡がり、5月の開花期には薄紅色の花で染まるシャクナゲの群生が見られる。三叉路に戻って左へ進むと、急降下の後道が平坦になってヤセ尾根に変る。尾根に食い込む様に右手にガレ場が出るので足元に注意して歩く。ここを過ぎると危険な所はなくなり、しっかりした踏み跡が山頂迄続ている。途中のピークに出ると、尾根が分岐して少し迷いやすい所がある。ここは西へ進まずに、正面に三国岳を見て北に向かって降りの道をとる。降りきった鞍部が『篠立鞍掛峠』であるが、樹林が拡がって左右の谷へ降る踏み跡は解らない。鞍部から登りに変り、二次林の下のしっかりした尾根道が続いた後、尾根が拡がって踏み跡が不明瞭になってくる。尾根芯を外さない様に歩き易い所を選びながら高所へ向かううちに、平坦になり最高点のピークに着く。小さな札が遠慮がちに付けてあるが木立の中で展望はなく、気が付かずにそのまま通り過ぎそうな頂上である。
最高点から三国岳(本峰)に向かう。細い樹林の茂った緩い降り道には、白いカレンフェルト(石灰岩)が点在して、鈴鹿北部の雰囲気が漂よってくる。平坦な道から少し登ると、三国岳山頂に着く。こちらには立派な標識があるが展望はあまりない。少し西へ移動すると、木立の間から南西へ鈴ヶ岳から鈴北岳そして天狗堂から仏供山に続く稜線が覗いている。山頂から北へ三角点や烏帽子岳へ続くが、来た道を戻って帰路につく。