烏帽子岳から派生する鈴鹿北部の秀峰

1 狗留孫岳772m(藤原町)

藤原町立田地区の信仰の里山

 
 
狗留孫岳(篠立の国道より)
歩行時間 3:10 
総時間 4:30 
山行調査日 11/5/31
難易B 安全A 体力B 展望C
地形図 篠立  
問合先 篠原町役場
留意点 逆コースで歩くと迷いやすいので注意。古刹・長楽
     寺は一見の価値
藤原岳の北方で、国道が分岐して多賀町と関ケ原町へ別れていくが、関ヶ原に向って北進し、員弁川を渡って山間を抜けると、『山村留学』の看板を掛けた篠立の集落と、その奥に屏風を立てた様に、堂々と聳える拘留孫岳が姿を現してくる。南北から眺めると、烏帽子岳から派生する『尾根上の小ピーク』程度に感じる山も、東から見ると入道ヶ岳や雲母峰に匹敵する山容で、中腹の古刹(長楽寺)と共に、立田の集落にとっては信仰と生活を支える重要な里山である。従って篠立と古田の両方から、良く踏まれた登山道と、充分過ぎる程の道標や目印があって、山頂迄誰でも容易に辿ることが出来る。健脚向きには、更に烏帽子岳や三国岳へ足を延ばすことも可能である。
国道365号を走り、県境に近い三重県最北部の篠立と古田の中程にある立田小学校(駐車場)に車を置かして貰って歩き始める。学校から裏手の道に出て、清水神明社の鳥居と歌碑の立つ右手の道に入る。傍には細かい文字で書いた『烏帽子岳案内図』が木に掛けてあり、杉林を奥に進みすぐ先の簡易舗装路を左折する。広い林道はすぐに地道となり、水槽を過ぎると植林の中に入って左に細い沢も流れてくる。林道が終って沢の前に出て、3回程渡渉した後、テープを目印に左の山腹へ登り、回り込んで稜線に続く尾根に乗る。尾根が拡がって踏み跡が薄くなる所もあるが、テープに注意して、尾根を外さない様に高所へ登り詰めて行く。踏み跡の周辺は、植林と二次林が交互に現われ、息のきれる急斜面を木の根を掴んで急登するうちに、低い笹とヤセ尾根に変り、程なく県境稜線に出る。稜線を左折する前に、右折して少し降りると、すぐに樹木がきれてカヤトの草原に出て、烏帽子岳から上石津町の集落が拡がる展望地がある。一息入れるのに良い場所である。来た道を戻り桧の若木が道を覆うヤセた稜線を登ると、篠立林道へ降る分岐に出る。すぐ横には『竜王コース』と記した谷沿い道の道標もある。分岐から先へ出ると、笹と雑木の中にはっきりした踏み跡が緩く登る歩き易い道となり、僅かに歩いて拘留孫岳山頂に着く。最近迄は植林や雑木が茂って展望の無い山とされていたが、現在は山頂部が大きく伐採され、一画には無線反射板が建つが、南半分が開けて、御池岳から鍋尻山辺りの大展望が拡がり、拘留孫岳だけの往復でも、山歩きの醍醐味が楽しめる山となった、と言えそうである。
更に烏帽子岳へ向って稜線は続くが、来た道を戻り帰路につく。分岐迄降った後右に折れて篠立林道へ向かう。背の低い笹が路面を覆っているが、密生した二次林に下に踏み跡が続き、笹を踏み分けながら降る。道は尾根に沿っているが、踏み跡は尾根芯を左右に外しながら降りるうちに、やがて左へ回り込んで山腹のジグザグ道となるが、植林の作業道でもあったのだろうか、林道の様な幅の広い溝道になる。小石が多く荒れているが、周囲の二次林が植林に変ると、下方に林道が見えてきてすぐに篠立林道に出る。林道を左折すると沢の横に『竜王さん登り口』の道標がある。谷沿いの中腹には『竜王の祠』があり、雨乞信仰の参道が稜線迄続いている。植林下の単調な林道を降りるうちに長楽寺に着く。馬頭観音を本尊とする古刹を参拝した後、参道を降って篠立の集落に出て、左折して車道を歩いて駐車地へ戻る。