日野町の鎌掛にシャクナゲ群生地がある。国の天然記念物にも指定されていて、約2万本の本シャクナゲが、開花期になると渓谷一面を淡紅色に染めて、見事な景観を見せてくれる。群落地(シャクナゲ)からは、国道421号の南を走る尾根上の砥山と猪の鼻ヶ岳を周回するコースがある。砥山は鎌掛地方の最高峰で、秀麗な富士形の山容を見せ、猪の鼻ヶ岳は地元では宝殿ヶ岳と呼ばれ、北麓には蒲生一族の音羽城趾が近く、往時は物見台の山だったのであろうか。しかし現在は、山共に植林や雑木で展望は優れない。
日野町から鈴鹿スカイラインへ向う国道の中程で、綿向山登山道のある北畑バス停手前に音羽の交差点がある。ここを南に折れて雲迎寺の前からT字路を左折し、山間を走り鎌掛峠を越えるとシャクナゲ渓入口に着く。右手には近江富士ゴルフ場があり、左角の駐車場から歩き始める。沢沿いにシャクナゲ渓谷迄舗装路が続き、沢の左岸には遊歩道があって、どちらも同じ程の時間でシャクナゲ池に着き、池脇の案内板を見て、群生地沿いに整備した遊歩道に入る。尚山腹にも遊歩道が併設されていて先方で合流する。遊歩道が終ると沢に沿って山道が続いていて、少し歩き踏み跡が不明瞭になった所で、沢を渡って対岸の踏み跡に出る。(沢に目印の丸太が1本渡してある)戻る様に山腹を回り込みながら良い道を辿るうちに、谷へ降る分岐に出る。正面に[30−1」の表示がある所で、ここから左折して低い土手を登って尾根に乗る。尾根の両側は松茸山らしく、雑木の混じる赤松林で、道の両脇はビニール紐を張って、廊下を歩く感じである。やがて急登に変り、息を切らして登りきると、少し降った後明るい地道の林道に出る。一息入れた後林道を右折して砥山へ向う。道の途中に、帰路に向う猪の鼻ヶ岳の登山口が、岩壁の先の小さな切開きにあるので確かめておく。右手に展望が開けた後、鹿除けネットが現われ、低い尾根が出た所で林道を離れて尾根に登る。若い植林下の尾根芯には明瞭な踏み跡が通り、すぐ下には林道も見えている。低い笹が茂り始め、尾根が拡がって踏み跡が消える山腹を、高所へ登り詰めると砥山に着く。植林で展望のない山頂から、先へ急降下するとすぐに鞍部に降り、左を見ると近くを林道が通っていて、楽に林道へ降りた後左折して猪の鼻ヶ岳へ向う。
右手の植林の切れ間から、綿向山や蔵王ダムの展望を眺めながら林道を戻り、確かめておいた登山口から山道へ入る。尾根に乗る踏み跡へ入らぬ様に注意して、右へ降る山道へ入ると、植林下の山腹からすぐに尾根道になる。尾根下を巻く所もあるが、総じて良く踏まれた道を歩くうちに分岐に出る。尾根上や左にも踏み跡が交錯するが、右22の道をとり回り込んで山腹を降る。高度が下り尾根が高く離れて少し心配に成るが、道標の立つ分岐に出て左折すると、山腹をジグザグに急登する踏み跡に変り、薄暗い樹林に入って道が平坦になるとすぐに猪の鼻ヶ岳に着く。山頂に展望はないが、少し北に出ると夏草の上から日野の展望が少し開いている。帰路は来た道を戻り、道標の立つ分岐を左折して植林下を降り、宝殿林道に出て左折すると鎌掛峠の車道に出る。車道を右に降って一歩きで駐車場に着く。