野州川流域の隠れた名コース

98 能登ヶ峰 759m(土山町)

鹿の楽園はハイカーの楽園

笹原で憩う(能登ヶ峰の北稜線)
歩行時間  3:40
総時間  5:40
山行調査日 11/4/11
難易 C  安全  B  体力  B  展望  A
地形図  土山
問合先  土山町役場
留意点  能登ヶ峰から東の稜線に価値があるコース。帰路
      の急降下足元注意

鈴鹿山地を横断する鈴鹿スカイラインと国道1号線の間は、鈴鹿の中央部から南に寄った山域で県境稜線には鎌ヶ岳と仙ヶ岳の両雄が立ち並んでいるが、県境から西側の野州川流域には、まだまだ深い山域は続いていても、名の知れた山や登山道は急に少なくなる。能登ヶ峰もその様な山域の一つで、野州川支流の田村川とウグイ川の間に競り上げている尾根上の山である。山頂付近は植林に覆われた平凡な山であるが、尾根を東へ1時間程縦走すると、鹿の楽園と言われる素晴らしい草原と、東西に雄大な展望が続いて、鈴鹿でも有数の名コースとなる。但し尾根に乗る迄の登山道が無いので、植林下の厳しい急登と急降下は覚悟せねばならない。
土山町の鈴鹿スカイラインと、国道1号線を結ぶ県道の国道寄りに、遊漁場で知られた黒滝へ向う分岐がある。分岐に入るとすぐに集落に出て、突当りを右折して川沿いの林道に出た脇の、広い駐車地に車を置いて歩き始める。舗装路を少し戻り、突当りの人家の右から山道へ入る。すぐに細い沢を渡り、沢沿いを登るうちに踏み跡が消えて植林下となり、ここから北に向って、歩き易い所を選んでの急登となる。前方を見上げると、尾根の稜線に木立が疎らで薄明るい所があり、そこを目指して登るうちに、ようやく尾根の一端に辿り着く。その後尾根下の巻道を少し歩いて尾根に出ると、歩き易い踏み跡が続き展望も開けてくる。山頂手前のピークを急登して乗越える辺りから、尾根の西側が二次林に覆われ、すぐ又植林に囲まれた後、回り込む様に登って能登ヶ峰に着く。木立で展望のない山頂から東へ緩く降ると、すぐに植林が消えて、二次林の下にカヤトと背の低いアセビが目立ち始める。踏み跡を少し左へそれると、尾根の突端から綿向山周辺の大展望が拡がる場所もある。踏み跡へ戻って先へ進むと、二次林が薄くなり、何処でも歩けるとアセビの群生する草原になる。展望も更に拡がって、右手に御所平の稜線と、仙ヶ岳から鎌ヶ岳の景観が迫ってくる。但し右手に寄ると、田村川沿いの林道迄、垂直に切れ落ちた絶壁のキレット脇に出るので、足元に十分注意して歩く。この笹原は同じ形のドーム状の峰が並んでいて、どちらの山腹にも、笹原の中に幾筋ものケモノ道が不規則な線を引き、アセビの黒い塊が点々と散在している。そこを過ぎてヤセ尾根を降ると、尾根と共にアセビの樹林が拡がり踏み跡も不明瞭になる。よく見ると薄い踏み跡があり、東へ寄りながら尾根の右端に沿って、左手のピークを巻きながら進む。左に再びビークが現われ、笹原の斜面が登っているので、これも右へ寄って尾根端を歩くうちに、前方が植林に覆われてくる。ここから左へ続く稜線と別れて右折し、植林と雑木の境を林道に向って急降下になる。往路と同様に植林下は踏み跡がないので、右手の雑木の谷へ降らない様に、特に急崖の谷淵は足元に十分注意しながら降る。やがて両側が急傾斜の尾根となり、尚も急降下を続けるうちに、沢音が聞こえ始め、程なく滝の様に水流を落とす小さな沢を横切って林道に出る。川幅が広く明るい田村川沿いの林道で一息入れた後、緊張感から開放された気分で、林道から駐車地へ向う。但し稜線を縦走した分だけ戻るので、1時間近くかかる林道歩きである。