[3] 東雨乞尾根大納言(周回) 1

92 雨乞岳1238m(永源寺町)

東雨乞・雨乞岳・南雨乞

好展望の続く尾根の周遊コース

雨乞岳(東雨乞より)
歩行時間  5:00
総時間  7:00
山行調査日 10/9/20
難易 D  安全  C  体力  C  展望  A
地形図  御在所・伊船
問合先  土山町役場
留意点  全般に踏み跡薄く山慣れた人と同行したい。帰路
      の尾根は好展望。

鈴鹿山地の主峰と言われる広い山域を持った山は、必然的に登山道も数多く拓かれている。鈴鹿中部で御在所岳と双璧をなす雨乞岳も例外ではなく、関西の岳人を中心に十指を越えるコースが歩かれている。今回紹介するコースは、東雨乞へ尾根を直登して、南雨乞から大納言谷へ降るバリエーションルートで、一般のハイカーで歩く人は殆どいないが、何れの登山口も鈴鹿スカイライン沿いにあって、車を利用すれば楽に日帰り可能の、尾根通しを主に展望に恵まれた楽しいコースである。但し道標や目印がなく、踏み跡の消える所も多いので、慣れた人との同行をお勧めしたい。鈴鹿スカイラインの武平トンネル西口から、少し降った駐車場に車を置き、3分程西へ歩いて道がカーブする右手の、防護壁とガードレールの境目から山道へ入る。すぐに沢を左へ渡って正面の山腹に取付き、北西に向って急登して尾根に上がる。その後も踏み跡の無い斜面が続くが、高所へ登りきると漸く平坦な尾根に出て、少し歩いた先で、左に派生する低い尾根が現われたら、そこへ左折して降った鞍部が、沢谷の源頭が突上げている沢谷峠である。南が大きく開き、鎌ヶ岳が好展望の雰囲気の良い峠から先へ登ると、尾根筋に薄い踏み跡が続き、シャクナゲの群生する脇や、左右に切開いた巻道を辿るうちに、尾根が拡がりやがてV字状の窪地に出る。周囲はブナやコナラの二次林が立並ぶ雰囲気の良い『コバ』と呼ばれる樹林帯で、一息入れるのに良い場所である。窪地から右手のピークに続く尾根に向って登り、尾根沿いを暫く歩くと、尾根が拡がって低い笹と潅木の樹林に変る。踏み跡が不明瞭になるが、何処でも歩けるので、尾根芯を外さない様に高所へ向ううちに、背の高い笹の藪漕ぎとなった後、登りきって小広い空地のある山頂台地の一画に出る。更に笹原に埋もれた踏み跡(獣道)を、藪漕ぎしながら北へ少し歩いて東雨乞に着く。
四周に展望の拡がる東雨乞から、笹原を降って雨乞岳に着いた後、西側の切開きに入り、背の高笹道を漕ぎしながら向きを南に変えて降るうちに、笹が低くなり東の展望が開けてくる。鞍部から緩い登りに転じるとすぐに、標識も無くそのまま通り過ぎても気が付かない程の、南雨乞のビークに出る。東南方向に好展望の山頂である。
南雨乞からの帰路は、西方の清水頭へ向う稜線と別れ、南に向って踏み跡の薄い潅木の林を降るうちに解り易い尾根道となる。尾根に沿って緩い降りを辿るうちに、樹木がきれて東の展望が良くなり、歩いてきた東雨乞と尾根の稜線が手に取る様に見えてくる。やがて道脇は植林の若木と細い二次林が好対照となり、植林がきれると尾根の両側が大きく切れ落ち、深い谷と山並がパノラマで飛込んでくる。尾根の分岐から左へ回り込む様にして、正面の大納言に向って低い尾根を降り始める。相変わらず好展望が続くが、カヤトが茂って踏み跡を覆い、足元の注意が先になる。尾根を降りきって谷へ近づくと、尚もカヤトの漕ぎが暫く続いた後、ようやく沢沿いとなり、山合に囲まれた沢を幾度か渡渉し、大きな堰堤の先から荒れた林道に変ると程なく車道に出る。尚登山口と下山口は6キロ余の距離があり、登りの舗装路を歩いて戻るのは大変なので、両方の駐車場に車を置いて送迎しないと無理のようである。