[2]甲津畑杉峠~大峠~甲津畑(周回)

91 雨乞岳 1238m(永源寺町)

清水頭 1095m( 同 )

千卓越えの古道を偲ぶ山旅

笹原の清水頭
歩行時間  6:10
総時間  8:00
山行調査日 11/6/5
難易 C  安全  C  体力  D  展望  A
地形図  御在所・日野
問合先  永源寺町役場
留意点  余裕あれば東雨乞も往復したい。清水頭~大峠
      間の尾根筋が複雑。

雨乞岳の登山道は、鈴鹿スカイライン沿いの、武平峠や稲ヶ谷から登る道が現在の主流となっているが、以前は御在所岳と雨乞岳の北麓を通って西の甲津畑と東の千草を結ぶ『千草越え』と称される道が主流で、中程の杉峠から南の雨乞岳へ直登するルートがある。千草街道とも呼ばれるこの古い道は、織田信長が通行中に狙撃されたり、御池・向山鉱山が沿道にあって、賑いを極めたという史実を偲ぶ道でもあるが、甲津畑から雨乞岳へ登り、清水頭を経て大峠からの周回は、長丁場ではあるが、鈴鹿の山歩きの総てを凝縮した山旅、と言えるコースである。
国道307号から八風街道へ入り、山上新田付近から甲津畑へ向い、集落の手前で左折して林道へ入る。少し走ると林道が左へ曲って橋を渡る手前で、右手に登る林道の分岐に出る。送電線が頭上を通る傍で、車を付近の道脇に置いて歩き始める。『林道岩ヶ谷線』と標識のある細い林道へ登り、籐切谷に沿った簡易舗装路を歩くうちに、広い空地の林道が枝別れする所から荒れた地道となる。暫く歩き右脇に『桜地蔵』の祠を過ぎた後、手摺のない鉄橋を渡ると、二次林下の快適な山道となるが、すぐに沢を高巻しながらガレや急崖の続く山腹に変り、帰路に戻るツルベ谷の分岐を過ぎた後、岩の散乱する道を抜けると、再び広く傾斜の緩い歩き易い道となり、蓮如上人旧跡や大シデ(古木)の立つコバに着く。その後も老木が立並ぶ古道を偲ばせる良い道と、岩屑を敷詰めた荒道を繰り返しながら登り続けていく。途中には向山鉱山跡があり、石積やセメント成型物の残骸が放置され、幾つかの窯跡もある。やがて源流に近づいて沢が消えると程なく、枝の曲った特徴のある老杉が目印の杉峠に着く。東に続く根の平峠に向う道と別れて、右折して笹の切開きを急登し雨乞岳に向う。笹は深いが踏み跡は明瞭に続き低い潅木下の掘割状の溝に沿って木の根を掴んで登ると、平坦地に出て左手に展望が開けてくる。道が山腹から尾根に変り、東雨乞に続く稜線を見ながら笹の踏み分けを登るうちに、深い笹薮に潜り込んで池(大峠の沢)に出て、右から回り込んで雨乞岳山頂に着く。
山頂で一息入れた後、西の切開きから南雨乞に向う。深い笹薮を急降下し、南へ曲ると笹が低くなり、周囲の展望が拡がってくる。鞍部から緩く登ったピークが南雨乞で、西に折れて笹と潅木の問をして尾根に乗ると、雄大な展望が拡がって、低い笹道の遊歩道風の快適な稜線歩きとなり、苦も無く清水頭の山頂に着く。迫力のある鎌ヶ岳と鎌尾根の景観が拡がる山頂から、樹林の密生する尾根に降って大峠に向う。その先も二次林に囲まれた明瞭な踏み跡が続いているが、ヤセ尾根にアセビやシャクナゲの群生が道を覆い、岩が混って歩きにくくなる。中程で西から北へ回り込む所は、尾根が拡がり踏み跡も消えるが、テープを目印に進むとすぐに細い尾根に乗り、大岩の先から急降下すると踏み跡の交差する大峠に着く。直進して祝岳へ急登する道を分け、右折してツルべ谷の源流に向って谷芯を降ると、すぐに水流が現われて谷沿いの道となる。幾度か渡渉しながら降るうちに広い河原から植林に入り、往路で歩いた分岐に出て、駐車地迄山道と林道を歩く。