永源寺ダム湖畔の秀峰

84 黒尾山 948m(永源寺町)

巡視路から手強い尾根を歩く

黒尾山 (永源寺ダムより)
歩行時間  3:40
総時間  5:30
山行調査日 11/9/13
難易 C  安全  C  体力  B  展望  C
地形図  日野東部
問合先  永源寺町役場
留意点  前半巡視路・後半尾根道、その継ぎ目が解りにく
      いので注皀。

八風街道沿いの永源寺ダムは、三方を日本コバと水谷岳、そして黒尾山の山塊に取り囲まれた谷間に、愛知川の水系を集めた鈴鹿山地最大のダムである。ダムを取り巻く三山の中では、湖畔に秀麗な山容を映す日本コバと、雨乞岳方面に縦走路が通る水谷岳は、その知名度と関心度で歩くハイカーも多いが、黒尾山だけは何故か一般受けしない様である。しかし八日市から八風街道に入ってダム管理棟周辺迄の、見透しのきく場所からの避望は黒尾山だけで、武骨な稜線の地味な山ではあるが、一度は歩いておきたいものである。それに銚子口や庭戸山へも尾根続きで、山頂往復の次は、周回コースもとれる楽しみ多い山である。永源寺ダム沿いの尾集落から上流に向うと、愛知川を渡る手前で、湖畔に古い鳥居を建てた大滝神社が現われるので、神社前の空地に車を置いて歩き始める。(3台程の駐車地なので、車が多い時は所々にある湖畔沿いの空地に分散させる)神社を左折して1分程歩き、右手の黄色い標示を立てた巡視路口から山道に入る。道は関西電力の鉄塔に向う巡視路で、最初からきつい急登になるが、踏み跡は明瞭である。但し先へ出ると、腐食した階段に鉄棒だけが突き出ているので、足元に注意する。最初の分岐を右折して更に急登が続くが、直進すると谷に出て水場がある。道はやがて尾根に乗り、ジグザグと登って2度目の分岐を右にとると、程なく木立がきれて明るくなり、カヤトの茂る鉄塔下に出る。一息入れながら、北西に見える日本コバと、その下に青く光るダム湖をしばし眺めた後、踏み跡を上に伝って桧の若木の横を緩く登ると、二つ目の鉄塔下に着く。その先の分岐を左にとると、山腹に出て踏み跡が消えてしまう。以前は有った巡視路の道が、岩屑に埋まって消失したらしく、滑り易いザレに注意しながら足元を選んで東方向へ登っていく。前方を見上げると、木立が疎らで尾根筋の見える鞍部がある。そこを目安に登り詰めて尾根の鞍部に出る。左へ降る巡視路標示の立っている場所である。
ここから右:折して山頂迄は、尾根筋となって迷い易い分岐もなく、踏み跡もほぼ明瞭なので、尾根を忠実に辿っていく。但し途中に5か所の小ビークがあってアップダウンを繰り返すので、歩く距離以上に足の負担が大きく感じられる。又両側の切れ落ちたヤセ尾根や、木の根が覆って足場の悪い所も多いので慎重に歩く。二か所のピーク下では、尾根が拡がり巻道もあって紛らわしいが、尾根芯に注意して進めば、先へ出て明瞭な尾根に戻る。尾根周辺の樹相は、東の植林と西の二次林が多く、一本調子の登降で息がきれる頃、道が平坦になった後三角点の埋まる黒尾山に着く。山頂は樹林の中で展望はないが、すぐ先の突端に出ると、竜ヶ岳から雨乞岳へかけての展望が、斜面から伸びた樹木の上に拡がり、左右には別方向へ尾根とテープが続いている。
来た道を戻って帰路につく。鉄塔標示のある尾根の鞍部迄降り、左折して山腹へ入るが、踏み跡がないので、滑り易い岩屑のザレに注意しながら西へ降ると、木立の間に鉄塔が見えてくる。鉄塔に出れば、その先は明瞭な踏み跡で登山口迄解り易い。尚尾根の鞍部を直進すると、数分で東の展望が良い鉄塔に出て、もう一つの鉄塔を経て往路に合流する巡視路(サブルート)もある。