鈴鹿山地で最大の古刹は永源寺である。八日市から国道(八風街道)を山手に向うと、永源寺ダムの下流で、愛知川を挟んだ対岸の山腹に伽藍を並べた永源寺が、大きな看板と共に見えてくる。寺へ渡る朱塗りの日渡橋の付近には、有料駐車場や土産物店が並び、紅葉の頃ともなると、参詣行楽の車で国道が大渋滞になる。その永源寺から東へ『永源寺集団施設地区探勝歩道』と長い名前の付いた遊歩道があり、整備された道が日本コバの南麓の山腹を愛知川沿いに延び、笠松山から永源寺ダム入口のダム公園迄続いている。『シキロの滝・永禅の滝』等と見所も多く、帰路は舗装路を戻る周回ルートもあって、誰でも楽に歩けるファミリーコースである。
八日市から八風街道を永源寺に向い、国道から寺へ渡る橋を渡らずに通り過ぎると、すぐに道が二股になる。左をとって家が立並ぶ細い道へ入り最初のT字路を左折して橋を渡り、少し先の広い永源寺駐車場から歩き始める。駐車場から西へ向う舗装路が寺へ行く裏道で、永源寺会館を過ぎると程なく二股道に出て、右へ上がると駐車場があり、その左奥から石段の付いた遊歩道が始まっている。(永源寺を参詣する時は、受付所の前から左の道を歩いて境内に入り再びここへ戻る)遊歩道へ入ると所々に『順路』の標示があり、幾つもの石仏が道脇に祀られている。自然歩道らしく立木には『アカガシ』等の樹種名札が付き、傾斜道は木の階段が整備され、細い常緑樹に太い古木が混じった自然林の下を快適に歩くうちに『この先危険』の標示が出ると、足元が急に悪くなって急降下したり、石積で防護した崩壊地の脇を通る道となるが、木橋や階段や鉄製の手摺等で整備され安心して歩くうちに林道に出る。道脇には東家の建つ広い公園があり、公園の右から歩道を奥へ進むと、現在は閉鎖中の『もみじ荘(国民宿舎)』に着く。人の気配もなく、自然の中に埋れている様な建物の玄関前から駐車場に降り、道標に従ってシキロ谷へ降りる。沢を渡るとすぐに道標を見て左折し、沢沿いから堰堤を越えるとシキロ滝の前に出る。二段に飛瀑を落とす豪快な滝を見て分岐に戻り、先へ出るとすぐ又永禅の滝の道標がある。左折して今度は少し距離があるが、しっかりした踏み跡を辿って往復30分程、二筋の見応えのある滝を鑑賞して分岐に戻る。その後道は尾根に向って山腹の登りになるが、二次林下の広い遊歩道には、所々にベンチやテーブルを置いた休憩所があり、周囲が植林に変ると尾根に出て、右に回り込む様にして登り詰め、北東に展望の開く鉄塔横に出た後、すぐに笠松山の山頂に着く。狭い頂上は立木が伐採されて南東方向の展望が良く、一画には山名の由来でもある笠状の老松が1本聳え、俯瞰するとダム湖や佐目の集落も近い。帰路は南の尾根から、ダム公園に降る歩道をとる。尾根の両脇は松茸山らしく赤松の目立つ樹相で、分岐を左折して山腹へ降る前に、寄り道をして尾根を直進すると、鉄塔の立つ突端に出て切開きから水谷岳方向の展望が拡がる所がある。分岐に戻り山腹を降るとすぐにダム公園に着く。休憩所や石仏像の建つ公園から、車道に出た所がダム入口の堰堤近くで、右折して愛知川右岸の広い舗装路を歩いて駐車場に戻る。
