藤川谷道から衣掛山東尾根の周回

81 日本コバ 934m(永源寺町)

衣掛山 870m(永源寺町)

永源寺ダム湖畔の秀峰

日本コバ(上方)
歩行時間  4:30
総時間  6:00
山行調査日 11/10/8
難易 B  安全  B  体力  B  展望  D
地形図  百済寺
問合先  永源寺町役場
留意点  鈴鹿西部の名峰も展望がf憂れない岩屋(洞窟)
      が見所。

鈴鹿山地の源流を集めて、滔々と流れる愛知川は、湖東平野の山裾で永源寺ダム湖となる。そのダム湖の中程から北方を眺めると、台形の巨大な山塊を横たえ、山裾から山頂迄を湖面に映す山、それが『日本コバ』である。山域の広い滋賀県でも、とりわけ山と関わって暮す人里が、日本コバ周辺には多い。日本コバという異色な山名も、山で生きる人々から生れた言葉なのであろうか。幾つかある日本コバの登山路の中で、藤川谷道を往路にとり、帰路を衣掛山から東へ延びる尾根を、政所(川西)へ降る周回は、以前は迷い易い難コースとされていたが、最近は登山道と道標が整備され、誰でも安心して歩けるコースとなり、下山口から登山口の車道歩きも楽な距離である。
永源寺ダムの先から上流に向うと、最初の集落が政所(中畑)で、日本コバの登山口が政所郵便局の裏手にある。少し先の空地に車を置いて歩き始め、道標を見て石段を登ると植林下の山道になる。崖上に渡した鉄橋を渡り、右手の小振りな春日神社を過ぎると、沢の転石を踏んで渡渉して藤川谷の左岸沿いとなる。但し藤川谷道の特徴は、渡渉以外は沢を離れた高巻きで、沢の流れを見ることがない。草や潅木が覆ってくるが、明瞭な踏み跡が山腹に続き、後方の展望も開けてくる。沢に近づいて岩の散乱する所から木の板を踏んで右岸に移ると、路面に石灰岩が増えて歩きにくくなる。谷が二股に分かれる所で渡渉し、急登するうちに岩壁の前に出て、岩の角や木の枝を掴んで慎重に乗越えると『岩屋』の前に着く。左手の踏み跡を降りながら回り込むと、深い洞穴のある巨岩が並んでいる。岩屋から先へ出ると雑木林が拡がり、分岐を左にとって緩く降って沢を渡る。直進して湿地帯に入る道が塞がれ、左折して沢沿いに道がつき、道標に従って進むうちに平坦地を抜けて尾根に乗り、登り詰めて日本コバに着く。山頂には大きな標識が立ち、雑木が伐採されて展望も開けているが、夏草や所々の松で視野は狭い。帰路は来た道を戻り、分岐から『政所』の標示方向へ、往路と分かれて左折する。山腹の薮を抜けると尾根に出て、左折して2分程登ったピークの衣掛山に着く。植林や雑木の中で展望は無く、山名札も無い存在感の薄い山である。道を戻って分岐を直進すると、境界の赤い杭と歩き易い踏み跡が尾根芯に続いている。暫く歩いて登りからピークに出ると『衣掛山』の小札が吊してある。文献では『日本コバの北で山裾に岩屋』とあり、この標示は多分間違いと思うがよく解らない。その先から境界尾根を離れて右折し、山腹の道を降って東の尾根に乗ると、登りを避けて平坦で歩き易い踏み跡が、尾根の右下を巻いている。分岐に出て道標を見て左折し、山腹から左の尾根に移ると、広い尾根道がヤセ尾根に変った後、道標を左折して植林下の山腹をジグザグと降り、再び尾根に乗って降るうちに、車の音が聞こえ民家の屋根が垣間見えてくる。尾根の端に出て右折し、山腹を急降下するうちに、集落に入って民家の裏に出る。家の間を縫う様にして車道に出て、右折して駐車地に向う。コセチ谷の変った堰堤や、新しい政所墓地を見ながら御池谷に沿った車道を歩き、君ヶ畑道の合流点に出た所が駐車地である。帰路の東尾根は複雑なルートであるが、道標が要所にあるので誰でも安心して歩ける。