秘境の尾根縦走コース

79 ヒキノ(843m)

旭山 (755m)
(781m)

愛知川に映える『岳』の雄姿

歩行時間  4:30
総時間  6:30
山行調査日 10/4/28
難易 C  安全  B  体力  B  展望  A
地形図  竜ヶ岳
問合先  永源寺町役場
留意点  長い尾根縦走で車の移動と送迎が条件。鉄塔下
      は何れも好展望。

愛知川へ注ぐ御池川と茶屋川を両側に隔てて、北からやや南西に向って長い尾根が走っている。藤原岳の展望丘から眺めると、右手の土倉岳から遠く永源寺ダム近くの岳まで、隆起した緑の樹海の中に、点々と白く禿げた部分に鉄塔を乗せた送電線が一望出来るが、そのお蔭で秘境だった鈴鹿の奥深い尾根筋も、巡視路が整備されて、尾根を縦走する格好のハイキングコースとなった。但しワンデーハイクを条件とするなら、御池川沿いの県道を12キロ程北上した小又谷林道口の駐車場迄車を走らせ、ノタノ坂から尾根を南下してヒキノ・旭山岳の三つ山を巡り、途中九箇所の鉄塔切開きで大展望を楽しみながら、黄和田へ降るルートが最適である。尚下山口から車を取りに戻る為に、近くにも車を置いておくと便利。パーテイが多い時は、国道脇の『ひろせ駐車場』に、断って置かせて貰っても良い。
駐車場から地道の小又谷林道を歩き始めると、すぐに次の流れを転石を踏んで渡った後、道標のある所から右手の山道へ入る。沢沿いに幾度か鉄鋼板の橋を渡りながら、急登道を登りきると明るい尾根上のノタノ坂に着く。左へ土倉岳の指標があり、木立の間から東に銚子岳が見える。右に折れて歩きやすい尾根道をヒキノに向う。途中に幾つかのピークがあり、緩いアップダウンを繰り返すが、巡視路なので傾斜道には必ず樹脂製の階段が付けてある。右手が植林で左が二次林の、対照的な樹相が続く尾根道を、ノタノ坂から1時間程でヒキノに着くが、途中3個所の鉄塔下は、いずれも大展望が拡がっていて見飽きない。
ヒキノから南へ降り、鉄塔を二つ越えた後、右手の暗い植林下を急降下して小さな沢迄降り、再び左の山腹をジグザグに急登して尾根に戻ると、良い道を一歩きで旭山に着く。木立で展望のきかない山頂から先へ進むと、急に道幅が拡がって快適なプロムナード風となり、日本コバ辺りの展望も開けてくる。但し道脇に植えた桧の若木に、倒れ止めのロープが、道の上から張ってあるので注意して歩く。右手の小池を過ぎると間も無く、西に降る踏み跡が二箇所出てくる。この辺りが『山の神峠』らしいが目立った道標はない。その後鉄塔を過ぎてから、急降下と急登を再び繰り返し、植林がきれて両側が二次林で雰囲気の良い場所を過ぎ、少し行くと周囲が細い沢と大杉の聳える脇に出る。ここから右に回り込み、踏み跡のない山腹を、高所に向って尾根に出て、そのまま進むと岳に着く。木立が茂って展望のない山頂である。岳からの帰路は、大杉戻って黄和田に降る道があるが、戻らずに先へ進むと、山頂の台地が拡がって踏み跡が不明瞭になる。左手に大きなヌタ場があり、右から前進すると突端に出る。南に愛知川や杠葉尾の集落が見下ろせるが、眼下は急崖である。テープが付けてあるがそこは避けて、右に寄って北西に降る。暫くは道のない雑木林の下を、木を掴み両側の谷へ入らない様に急降下すると、ようやく植林の集った尾根の先端に着く。尾根から先はしっかりした踏み跡があり、鉄塔を二箇所過ぎた後、植林下のジグザグ道を辿ると黄和田の集落に出る。車を『ひろせ』に置いた時は、集落から国道へ向う。振り替えると、今降りてきた岳が、富士形の山容を夕日に輝かせていた。