時山から横根山(東横根)

69 横根山 750m(多賀町)

五僧峠で歴史を偲ぶ山旅

東横根より三角点峰
歩行時間  5:20
総時間  7:00
山行調査日 10/1/11
難易 C  安全  B  体力  C  展望  D
地形図  篠立
問合先  上石津町役場
留意点  県境稜線から横根山の取付きに注竟(巻道を直
      進すると行過ぎる)

霊仙山の東から南下する県境稜線は、鞍部の五僧峠から再び高度を上げて三国岳へ向うが、五僧峠と三国岳のほぼ中間の尾根上から、西へ延びる山塊が横根山である。展望の良い鍋尻山から東望すると、東横根・西根(三角点)・最高点と呼ばれる高度の似た三つの峰が、烏帽子岳の手前に確かめられるが、山深い位置にあって、何処から目指してもアプローチが長く、3峰を周回するのは容易ではない。そこで今回紹介するのは、岐阜県側の時山から、五僧峠を経て県境稜線上の東横根迄を往復するもので、これなら陽の短い秋から春にかけてでも、誰でもゆっくりと歩ける。
烏帽子岳や三国岳と同じアプローチをとり、国道365号から時山に向い、6キロ程走り集落を過ぎた『薮谷橋』を渡った所で、左手の空地に車を置いて歩き始める。ここから先は、狭い集落内の道から、造成間もない川沿いの広い道になる。集落を過ぎてから、山に向って道路を拡張するのは、いつかは五僧峠を越えて湖東平野へ車道が繋るのであろうか、等と思い巡らすうちに、舗装路はすぐに地道の林道に変り、谷が合流する毘沙門谷出合からは、歩くのがやっとの山道になる。
植林下の谷(登谷)に沿った道を、岩壁をへつったり、沢の渡渉を幾度か繰り返しながら遡行した後、太い木に付けたテープの目印から、左折して谷を離れ、急登のジグザグ道となる(左折に気ずかず直進しない様に注意する。山道に入って25分程の距離である)峠に向う山道は、傾斜がきつく歩行のペースも落ち息も切れるが、登りきると急に平坦な台地に出て『五僧峠』に着く。峠には五僧の由緒来歴を記した大きな案内板が立ち、杉林の奥には、廃村集落の古い家屋が幾つか立並んでいる。一息入れながら案内板を読む。『五僧峠は古くから美濃と近江を結ぶ交通の要地で、関ケ原の合戦では、島津義弘の軍がこの地を通って薩摩に帰ったので島津越えとも言う云々・・』鈴鹿山地には歴史を偲びつつ辿る山路が実に多い。
案内板の左手から、山腹を右に回り込んで県境稜線に乗ると、明るい二次林の心地良い尾根道となる。『測點地理寮』と刻印された標石を過ぎ、冬枯れの頃なら、左右に覗く烏帽子岳や鍋尻山を垣間見ながら、緩やかなアップダウンを越え、目の前に立ち塞がるピークを急登して登りきると、ようやく平坦な稜線となるが、すぐに尾根が拡がり踏み跡が薄くなる。ここから尾根は東に向きを変えるので、直進して南に降らぬ様に、テープに注意して左折する。稜線は次第にヤセ尾根となりシャクナゲの群生するピークを過ぎた辺りから、岩塊が露出する岩尾根となり、左には急崖が続くので、足元に注意して歩くうちに、尾根が南に向きを変え、正面に目指す横根山が見えてくる。尾根道が緩い降りの山腹に変り、横根山が右にそれた所で、テープの続く踏み跡から右折して斜面に取付き、高所へ急登して山頂に着く。頂上は木立に囲まれているが、少し南へ移動すると展望の開く場所があり、御池岳方向からすぐ右手には、三角点峰がガレた岩肌を見せている。
帰路は来た道を戻り、急登したピークの先の鞍部から、道を変えて左の谷へ降ると、谷沿いから五僧の廃村集落迄良い道が続いている。立並ぶ廃屋の脇から、杉林を抜けて五僧峠に出て、後は往路を歩いて駐車地に戻る。