米原町から彦根市にかけて、霊仙山の西方にカルスト台地が拡がっている。霊仙山から眺めるとかなり長大な山域が、送電線と共に南北に走っているが、その南半分を占める『比婆之山・イワス・男鬼山』を歩いた。鳥居本から山に向うと、仏生寺の集落から細い林道になり、上に出ると広い車道が走っていて驚かされるが、新旧の道を交差しながら、少年山の家(男鬼集落跡)比婆神社・鉱山採掘跡地へ続く、山の登頂よりも山歩きの中に見所が多いコースである。
国道8号の鳥居本駅からすぐ南に『比神社』の看板が立つ交差点がある。そこを山手に折れてT字路を左折し、『男鬼・武奈』の道標があるY字路を左折して狭い集落を抜けると、すぐに植林下の林道になる。道なりに登るとT字路に出て、左折して広い林道へ入る(T字路を右折しやすいが、Y字路に出たらUターンする)広い舗装路を回りながら登ると、右手に降る林道があり、もう一つ先の林道へ右折して降り、古い舗装路を走ると、比婆神社の先で家屋の立並ぶ『少年山の家』に着き、広場に駐車して歩き始める。少年山の家は、男鬼廃村集落を少年の夏期合宿施設に改装したもので、二十軒程の家に『はぎの家』等と花の名が付けてある。家並を過ぎると比神社の石鳥居に出る。近江高天原説のある由緒ある神社で、宝歴以前の建立と記されている。鳥居から山上の本殿に向って、舗装された参道を歩き始める。尚尾根沿いの古い参道もあるが、夏草で取付口が不明瞭である。高度が上り霊仙山が東に見え出すと程なく、山上にも石鳥居が立ち、その奥に本殿がある。石灰岩に埋もれる様にして、小振りな本殿の祠が、趣のある雰囲気を見せている。本殿から少し戻って左の尾根に乗り、雑木林の薄い踏み跡高所へ向うと、登り詰めて比婆乃山に着く。林とカヤトに囲まれて展望は優れない。
山頂から西へ降り、すぐに左へ寄って尾根に乗ると、植林と二次林の間に良い踏み跡が続き鉄塔下に出る。その先は巡視路が西へ向っていて、分岐を左折して少し降り、堰堤の上を歩いて草地に変るとすぐに、雄大な展望が拡がる鉱山採掘跡の上部に出る。すぐ前は絶壁状の岩壁で緊張するが足元に注意しながら右へ登りイワスに着く。岩壁の縁から松林へ少し入って戻り、採掘跡の縁から雑木林に入り、廃屋の前から右折して降り、古い踏み跡に出て右へ回り込むと、採掘跡の下部の廃屋前に出る。周囲は広い草地で、屏風の様な岩壁の前を奥に歩くと、左に古い道がありそのまま林道になる。地道から舗装路に出て右折すると、すぐに車で通った新道に出る。右折して登り分岐を左にとり、送電線近くで階段の付いた巡視路へ入るとすぐに尾根に乗り、送電線に沿って良い踏み跡が続いている。二つ目の鉄塔下に出た後、切開きのカヤトを分けて東へ出ると、植林下の山腹となり、薄い踏み跡をテープを目印に高所へ登り詰めると、植林に囲まれた男鬼山の山頂となる。山頂から来た道を戻り、鉄塔下へ登らずに鞍部から左折して水の無い谷間を南へ降ると、正面に低い尾根が現われ、そのまま石灰岩を抜けて進むと造成中の林道に出る。その後新旧の林道を歩いて駐車地へ戻る。尚林道へ出た近くの草地から左の谷に見える小屋に降る近道の林道もある。