松尾寺(霊仙寺別院)の遺構を訪ねて

64 松尾寺山 503n(彦根市)

八葉山 501n(米原町)

醒ヶ井養鱒場から二山周回

信仰の山松尾寺山(下に上丹生集落)
歩行時間  3:50  
総時間  5:30  
山行調査日 11/8/24
難易 C  安全  B  体力  B  展望  B
地形図  彦根東部
問合先  米原町役場
留意点  松尾寺山だけなら難易度安全度共にA。紹介路以
      外にも参道が多い

霊仙山と湖東平野に挟まれたカルスト台地の北方に、前衛峰の松尾寺山と八葉山が尾根通して立並んでいる。中世の昔、霊仙山が霊仙寺の建立によって、宗教上の一大拠点に発展した頃、霊仙山の周辺にも七か所の別院が建てられ、その一つが最後迄堂宇を残した松尾寺山中腹の松尾寺であった。それも今では、礎石だけが傍の御堂と九重塔に見守られて残るだけであるが、かっての参道がハイキングコースに整備されて、誰でもが寺跡を訪ねて『松尾寺の七不思議』と称される遺構と共に、往時を偲ぶことが出来る。一方八葉山は整備された登山道もなく、踏み跡を探して若干の読図力も要求されるが、松尾寺山だけで歩き足りない人には、一汗かける手頃なコースである。
国道21号を醒ヶ井駅前で南に折れて養鱒場に向う。名神高速道を潜り、上丹生から醒ヶ井渓谷を抜けて、バス停の手前を右折して大きな駐車場(有料)から歩き始める。醒ヶ井楼別館横の二股道を右にとり、人だけが通れる面白いゲートを潜って地道に変った林道を暫く登ると、道標の立つ分岐に出る。右折して戻る様に回り込み、薄暗い植林下を過ると、木立がきれて霊仙山が覗く展望台と、その先には『米原工芸研究所』の表札をかけた二階建の大きな家がある。林道は徐々に荒れてきて、夏草を除けて歩き易い所を選びながら緩く登るうちに、左から来た林道と合流して右をとると、石垣だけが残る坊跡(勧善院)を過ぎた所で寺門を抜けるとすぐに、石段を登って松尾寺跡に着く。小広い平地に、礎石と御堂と九重塔がひっそりと佇む寺跡から、右奥に回って山道を登ると、由緒のある岩(影向石=ようごうせき)を過ぎ、杉林からカヤトが覆う木の階段を登り、鉄塔の先で尾根の分岐に出て、右折した所が松尾寺山の山頂である。雑木に囲まれて展望のない山頂から、北へ尾根を少し歩くと、共同アンテナの先で琵琶湖方向の展望地があり、すぐ横に名勝の夫婦杉が、古色蒼然として1本だけ立っている。
松尾寺山から北の八葉山に向って尾根を緩く降る。地蔵峠迄は整備された遊歩道も、その先から尾根沿いの山道になる。始めのうちは踏み跡も明で楽に歩けるが、中程のピークに近づくと、笹が覆って薮漕ぎとなり、尾根が拡がってきて踏み跡も怪しくなる。薄い笹の踏み分けを注意して辿り、谷へ降らない様に進むうちに下草のない植林に出る。その先から再び明瞭な踏み跡が続き、鉄塔前に出て左へ回り込む踏み跡が延びているが、鉄塔下へ登りそのまま南に向って直登する。道は急登になるが、踏み跡がジグザグと山頂に向っていて、平坦になった所で最高所を確かめ、左へ入り込んで八葉山の頂上に着く。但し山名札もなく目立たないので、行過ぎて緩い降りになったら戻る。(雑木林の中にテープが三段に巻いてある)帰路は来た道を降り、鉄塔下で琵琶湖方向の景観を眺めた後地蔵峠へ戻り、峠から右折して尾根を離れる。急な降りに変った道は、幅の広い遊歩道になって山腹を回り込み、坊跡を過ぎた所で往路と合流する。右折して林道へ出た後、往路と変えて二股道を直進すると、同じ様に荒れた林道が続いているが、降るうちに舗装路になり駐車場に着く。尚松尾寺の遺構を詳しく見学したい時は1時間程加算すれば良い(道標を参考に)