南部鈴鹿の主峰を巡る県境稜線コース

55 那須ヶ原山 800m(甲賀町)

 三つ頭山 774mm(甲賀町)
唐木岳730m(甲賀町)

南鈴鹿の雄那須ヶ原山
歩行時間  3:30  
総時間  5:00  
山行調査日 9/10/14
難易 B  安全  B  体力  B  展望  A
地形図  鈴鹿峠
問合先  甲賀町役場
留意点  稜線上の展望は布引山系が主。唐木キレットは巻
      道を。
県境稜線を南下して鈴鹿峠を越えると、鈴鹿山地も南端に近くなる。それでも県境には高畑山・那須ヶ原山・油日山と続く秀峰が鼎立し、その周辺にも広大な山域が拡がっている。中でも那須ヶ原山はこの山域の主峰で、山裾を張って堂々とした山容は、古くから人に信仰の山として崇められ、山頂には立派な神社の祠があり、良く整備された山道が続いている。しかし那須ヶ原山を山歩きの対象として山頂の往復だけでは、いかにも物足りないので、山頂から稜線を巡って坂下峠から周回するコースをお勧めしたい。快適な樹林帯の踏み跡、随所に拡がる雄大な展望、そして唐木キレット周辺のスリルに富んだ岩場歩きと、まさに山歩きの醍醐味溢れるハイキングコースである。
長石山と同じルートをとり、大原ダムを過ぎて林道を暫く走ると参道橋の分岐に出る。橋を渡って傾斜の強い簡易舗装路を登ると、右手に広い空地と、登山届箱や標識の立つ登山口に着く。車を置いて登山道に入ると、石や木の階段で良く整備された山道が続いている。小屋の脇を過ぎ、滝の前から沢を渡った後、植林下のジグザグ道を急登しながら高度を上げていく。山腹から支尾根に出て傾斜が緩やかになると、後方にダム方向の展望が開け、右手から登って来る裏参道の分岐を過ぎると、程なく那須ヶ原山の山頂に着く。山頂には神社の祠と立派な避難小屋があり、立木も少し伐採されて、南に展望が覗いている。
祠の裏から東へ少し歩くと、すぐに県境稜線の分岐に出る。右は油日岳方向の道で、左をとって三つ頭山へ向う。稜線は低い潅木と笹の茂るはっきりした踏み跡が続き、樹木が途切れると周囲の展望が拡がって快適な縦走路となる。小さなアップダウンを繰返しながら進み、4つ目のピークで布引山地の大展望を眺めた後、道は岩の間から急降下し、鞍部から木の根を掴む急登に変る。登りきると山名札で気が付く程の、樹林の中の三つ頭山に着く。稜線を更に東へ進むと、すぐにヤセ尾根で緊張する道となるが、そこを抜けると樹林の中の平坦なトンネル道に変り、快適なプロムナードになる。所々で木立がきれて展望が拡がり、周の景観を楽しむうちに、樹林の中の唐木岳に着く。その先で左手の深い谷脇を過ぎると、唐木キレットの西端に出る。垂直に削れた岩壁は直進出来ないので、右へ回り込んで巻道を降り、すぐに急登してキレットの東端に出る。少し離れて振返ると、目の眩む様な岩壁が聳え、周囲の樹木と混じり合って南画風の光景である。その先も暫く続くザレ場や岩場を慎重に降り、正面に溝干山の大きなガレを見た後、右に寄りながら潅木帯の溝道を降って坂下峠に着く。
坂下峠から不老谷林道を降り登山口へ戻る。林道と言っても名ばかりで、車はおろか歩くのも難儀する程荒れている。道沿いの山肌も至る所で崩壊したガレが痛々しい(峠の滋賀県側は道路工事中である。数年の内には鈴鹿峠迄通じるのだろうか)それでも降るうちに凹凸の道は平坦になり、地道は簡易舗装路に変る林道を、50分程歩いて登山口に戻り着く。参道橋からの帰路の登りが辛い時は、車を参道橋付近に置いても良いし、車が2台以上ある時は、登山口と林道奥の駐車地に振り分けて送迎すれば、時間短縮も可能である。