坂本から表参道を登る

42 野登山851m(亀山市)

鳩ヶ峰719m(亀山市)

原生林に古刹が佇む山

野登山()と鳩ヶ峰

歩行時間  5:10  
総時間  7:30  
山行調査日 11/3/16
難易 A  安全  A  体力  B  展望  B
地形図  伊船
問合先  亀山市役所
留意点  野登寺境内の古木が、台風禍で道を塞ぐ倒木が
      多かった(調査時)
亀山市から国道306号を北へ向って市街地を抜けると、安楽川の向うに南鈴鹿の山並みが一斉に姿を現してくる。中でも人里に最も近く、堂々とした山塊を見せるのが野登山で、その右手には鞍部を挟んで前衛峰の鳩ヶ峰が立並んでいる。北へ進むに従って入道ヶ岳と雲母峰が登場してくるが、その入道ヶ岳と比べても遜色のない野登山は惜しいことに山腹を車道が走り、山頂には巨大な電波塔が聳え、鳩ヶ峰も又山腹を石灰岩の採掘で痛々しく削られている。山頂迄車で行けることもあってか、登山人気は入道ヶ岳の比ではないが、野登山の山頂部には、開基千年をゆうに越える野登寺が伽藍を今も並べ、杉やブナの原生林に守られて静かに佇んでいる。南麓の坂本からは、表参道の良い道が続いているので、信仰に彩られた見所の多い山を一度は歩いてみたい。少し往復の登降がきついが、鶴ヶ峰迄足を延ばしても5時間程の山旅である。
国道306号から石水渓に向う県道に入り、少し先から新しいバイパス道に入った後、池山の集落で石水渓と別れて細い田舎道を坂本に向う。集落に出て抜けるとすぐに『鶏足山表参道コース』の道標が立つ二股道に出る。車は少し先の橋脇に数台の駐車地があり、車を置いて少し戻り、二股道に入って山手に登り始める。広い農道から橋を渡ると、尚も広い山道が沢沿いに続き、支流を渡渉すると山腹の急登になる。分岐には道標があり所々に道しるべの石仏が立つ歩き易い道を登るうちに、いつしか両側が深い谷の尾根道に変る。植林を伐採して展望の開けた場所を過ぎると程なく、山の中腹を切通した車道に出る。車道を跨ですぐ又道標と共に山道が上に延び、植林下の良い道を歩くうちに目の前に人家が現われる『何でこんな所に』と驚きながら庭先に出ると、伊勢平野の大展望が拡がっていて二度驚く。『夢創庵』と記した看板を掲げ、喫茶と軽食も営業している様である。家から車道に出てすぐ脇から再び山道に入り、無線反射板を過ぎるとカヤトの草原が拡がり、広い空地の寺の駐車地に着く。鶏足山と刻まれた正面の石門を潜ると、杉の原生林が林立し始め、寺門の先には石仏が並び、石段を登って本堂の前に出る。(台風禍で巨木が到る所で倒れて道を塞ぎ堂宇も半壊していた)
野登寺の本堂から踏み跡を上に歩くと、電波脇の道に出る。車道を右折して緩く降り、分岐から右の林道へ入ってもう一度分岐を右にとると国見広場に着く。明るい草地が拡がり、入道ヶ岳を中心に大きく展望の開けた広場から鳩ヶ峰に向う。右奥からネットを潜って山道に出て、笹と潅木の尾根道を急降下して鞍部(マド)に着く。
鞍部から東へ直進し、植林と尾根端の境を登ると踏み跡がすぐに薄くなるが、テープを目印に左右へ降らずに高所へ向ううちに、ピークに出て道が平坦になる。更に東へ踏み跡を辿ると鳩ヶ峰山頂となる。二次林に囲まれた雰囲気の良い所で、カヤトを掻き分けると、伊勢平野と伊勢湾の展望が拡がっている。鳩ヶ峰から来た道を戻り帰路につく。鞍部から急登で息が切れるが、一頑張りして国見広場に戻り、往路と変えて三角点から寺の下に出て、夢創庵から車道を歩いて駐車地に戻る。舗装路で展望も良いが、時間は山道の方が早い。