2]白谷南尾根(周回)

41 仙ヶ岳961m(亀山市)

爽快な谷の遡行と大展望の尾根歩き

双耳峰の名山仙ヶ岳
歩行時間  5:10  
総時間  7:00  
山行調査日 11/11/5
難易 C  安全  D  体力  C  展望  A
地形図  伊船
問合先  亀山市役所
留意点  南尾根の降りは爽快感溢れるが、高所恐怖症者
      にはきつそう。

仙ヶ岳の登山道は、前掲の小岐須渓谷道を含めて、四周から十指を越えるルートが拓かれているが、山深いので何れも長丁場が多い。その中で、石水渓から入り、往路に白谷を遡行して復路で南尾根を降る周回は、修験道が盛んだった昔から踏まれた基本コースで、伏流の岩歩きから、固定ロープを使って岩峰の急登降まで、緊張の緩む間がない程スリルに富んでいるが、名の通りに二次林に囲まれた白く明るい谷歩きと、鈴鹿南部の大展望が終始拡がる南尾根の降りは、山歩きの醍醐味を感じさせてくれる名コースの一つである。但し南尾根の降りは、さほど危険を感じる岩場もなく存外楽に歩けるが、中空を飛翔する様な高度感があるので、風雨の強い時や、高所恐怖症の人は避けた方が無難である。
国道306号から石水渓に向い、以前は石水渓バス停から狭い集落を抜けたが、広いバイパス道が出来たので、車ならバス停を通らずに東海自然歩道迄走れる様になった。『御所平』と同じ要領で林道を走り、大きな堰堤のすぐ上の空地に車を置いて歩き始める。更に林道は続くが、道が荒れ車は入れず、30分程歩いた林道終点が登山口で、そのまま奥に進んで植林下の山道を歩き、ガレた沢を渡ると、営林小屋の廃屋が立つ白谷と南尾根の分岐に着く。白谷道をとって小屋の裏から左へ回り込んで沢を渡ると、山腹の広い溝道となる。道は対岸へ移って再び山腹の高巻となるが、岩壁のトラバースには鎖が付き、ガレには固定梯子や丸太橋が付いて道は良く整備されている。やがて踏み跡が沢の中州状に入り、御所谷分岐を過ぎて幾度か沢の渡渉を繰り返すと、石積の大きな堰堤の下に出る。右から堰堤の上部に回り込むと広い河原で、伏流になって水のない沢が、ゴーロ状になって上流に向っている。この辺りが白谷の中間点で、遥か前方には西峰の頭が覗いている。先へ進むと、谷沿いの踏み跡と沢中の岩を踏みながらの遡行が交互するが、急登しながらルートの選別で緊張した歩きが続く。やがて谷幅が狭くなり、源頭を過ぎるとようやく山腹の溝道に変り、一登りで尾根の鞍部に着く。左折して笹と潅木に埋もれた明瞭な踏み跡を登り、展望の良い西峰に出て一息入れた後、道を戻って東峰に向う。山近くの分岐で右をとると、すぐにこちらも好展望拡がる仙の石(奇岩)に着く。
大休憩(昼食等)の後、仙の石の右脇から、ツツジ科の雑木が密生する南尾根を帰路にとる。獅子の頭部を連想させる岩峰を左から巻いた後、尾根芯をとりながら、幾度となく岩峰のビークをアップダウンしながら降っていく。各々のピークの上は樹木のない岩塊で、四囲に展望が開いて見飽きないが、その先は岩の間から固定ロープを掴んでの緊張する降りの連続となる。降り終ってようやく鞍部の分岐に着き、すぐ先の岩壁を鉄梯子を登って上に出ると、不動明王(滝谷不動)の祠が修験道の昔を偲ばせて佇んでいる。分岐を戻り谷へ向って岩屑の多い山腹をジグザクに降ると、すぐに水流のない源頭に出る。少し谷中の岩を踏むうちに、沢に沿った薄い踏み跡が現われ、水も流れてくる。道を探しながら降るうちに、踏み跡も明瞭になり、やがて山腹を高巻きして杉林に入ると、程なく白谷との分岐に出る。その後林道終点から30分程歩いて駐車地へ戻る。